秋になり、だいぶ、涼しくなってきた。梅雨時と同様に秋はキノコの季節だ。花の丘公園を歩いていると何種類かのキノコが見つかった。キノコは日本だけでも数千種あり、同定は慣れていない私などにはとても難しい。ましてや、食べる勇気などない。「キノコはその山をよく知っている人と採集し、その人が大丈夫と言うか、言わないかが、毒キノコと食用の見分け方」というようなことをなにかで読んだことがある。その通りだと思う。一方では「きれいなものが毒キノコ」とか「たてに裂ければ食べられる」などということが言われているが、さすがに、今はこれを信じる人はいないであろう。
さて、キノコについては無知な私でも名前がわかったものがある。ヒトヨタケだ。正確にはヒトヨタケのなかま言っておこう。ヒトヨタケ科ヒトヨタケ属に属するキノコだ。そのなかに、多くの種が存在する。名前の通り、すぐに溶け、消え去るキノコだが、実際は一夜ではなく数日で消えるようである。出てきたすぐの幼菌のときは、傘が垂れ下がり、卵のような形をしている。しだいに、傘が開き、ひだの部分の色が白色系から黒色に変化し、めくれるようになる。こうなるとひだがヌルヌルとしてきて、溶け出してくる。
ヒトヨタケは食用であり、毒キノコである。通常は食用になるとのことだが、アルコールとの相性が悪いキノコだ。このキノコにはコプリンといわれる物質が含まれ、この物質がアルコールの分解を阻害する。そのために、酒の類とともに食すると激しい中毒症状を起こすそうである。できれば、食して、数日間はアルコール類の摂取はさけたほうが良いそうである。中毒の症状は、顔面紅潮、動機、息切れ、不整脈等、ありとあらゆる症状が出る激しいものだ。このようなキノコは結構あり、ホテイシメジなどが有名なようだ。やはり、同じコプリンが含まれている。
ただ、ヒトヨタケの場合、私は食べたいと思うような姿形ではないような気がする。基本的に「自然に生えているキノコは食べない」ほうがよいようだ。