ヒダリマキマイマイ
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カタツムリ、でんでんむしという呼称のほうが有名なマイマイ。実はカタツムリ、ナメクジなどは正式な呼び方ではない。陸生の貝類のなかで殻を持つ腹足類で、蓋を持たず触角の先に目を持つ有肺類のなかまの通称がカタツムリだ。他に殻を持たないナメクジのなかまや蓋を持つなかまもいる。これらのすべてが有肺目となる。通常、我々が見ることができるカタツムリはオナジマイマイ科やナンバンマイマイ科などの陸生貝類だ。関東で普通に見られるのはオナジマイマイ科のミスジマイマイ(
Euhadra peliophala)、ウスカワマイマイ(
Acusta despecta sieboldiana)、ヒダリマキマイマイ(
Euhadra quaesita)、オナジマイマイ(
Bradybaena similaris)、コハクオナジマイマイ(
Bradybaena pellucida)、ナンバンマイマイ科のニッポンマイマイ(
Satsuma japonica)などだ。ミスジマイマイは樹上生活、ウスカワマイマイは開けた場所など種類により棲み分けしている。人家近くに多くいるオナジマイマイは東南アジアからの外来種、コハクオナジマイマイは西日本からの国内外来種だ。カタツムリのなかまは雌雄同体で有名だ。ちょうど殻の前端直下腹側に生殖口があり、その中に雌性生殖器と雄性生殖器を持つ。目は2対ある触角のうち、後部の大きな触角の先端にある。他の陸生貝類では目の位置が異なる。触角の先に目があったり、雌雄同体であったりとちょっと見た感じでは我々とは大きく異なる生物に感じるが、肺、肝臓、腎臓、胃、口、食道、心臓と内臓器官はしっかりとヒトと同じように持っている。

これはヒダリマキマイマイ。天気の悪い日に利根川の岸部、防災用の船着場のコンクリート上にいたものだ。殻の巻き方が他のものと異なるためこの名前が付いた。写真のように中心部から反時計回りに殻が巻いていき開口部となる。亜種にはチャイロヒダリマキマイマイ、ヘグラマイマイがいる。他のカタツムリはヒダリマキマイマイとは殻の巻き方が逆で中心から右に時計の針の進行方向に巻いていき開口部となる。
ヒダリマキマイマイは有肺目-真有肺亜目-柄眼下目-マイマイ上科-オナジマイマイ科-マイマイ属。半樹上生活で、人家や水田ではあまり見られない。環境の変化により見る機会は減っているようだ。ただ、コンクリート上の藻を食べることもあるようで、天気が悪く湿っぽい日だったこともあって、このような場所にいたとも考えられる。ゆっくり、どうどうと移動していた。大きさも殻の径が5cmほどになるとのこと。写真のものも殻は4cmほどの径があった。
カタツムリといえば食用のエスカルゴを想起するが、もちろん、全くの別種でリンゴマイマイ、アフリカマイマイなどということだ。自然の中にいるカタツムリを食べることはないだろうが、消化管の洗浄を済ませてからのほうがよいようだ。また、カタツムリは広東住血線虫の中間宿主になる(口に入れなければよい)。雑菌も多いので、触ったあとは手を洗ったほうがよい。特に小さな子供には「でんでんむし」として親しまれているし、小さな子は指をしゃぶることもあるので注意したほうがよいようだ。
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