ハトのなかまにはキジバト、アオバト、カラスバト、そして、公園や寺社でよく見かけるドバトなどがいる。逆に埼玉県の一部だけにいるシラコバトなどという珍しいハトのなかまもいる。
このようなハトたちのなかで身近なハトと言えば、やはりキジバト(写真上)とドバトだろう。どちらも市街地に適応したハトだが生い立ちはかなり違う。
写真は巣立ちして間もないキジバトの兄弟?だ(写真下)。まだ、じっとカキの木にとまっている。近くに親が心配そうにいることもある。給餌もまだ行っている。キジバトは背側の茶色っぽい網目模様が目立つ。首の青い色も美しい。ドバトの固体ごと千差万別な体色に比べ、野生らしい統一感と美しさが感じられる体色をしている。平地、山林に生息し、昔から市街地にも見られた。が、「今は市街地で見られる」と言ってよいほど、街中で多く見られる。急速に、都市に適応したハトだ。「デッデッポッポー」と特徴のある鳴き方をする。野生のまま、徐々に都市の生活に適応してきたハトだと言える。
一方、ドバトは野生から人工的な飼育、品種改良、そして再び野生化という道筋を経てきたハトだ。ドバトの祖先はエジプトから中国にかけて生息していたカワラバトだ。これが人に飼われ、品種改良されたのが伝書鳩。そして、品種改良の途中でその道を離れていったものがドバトだ。伝書鳩とドバトは親戚だが、その身体機能はだいぶ違う。伝書鳩は馬でいえば、サラブレッドだ。その飛行距離は優秀なものでは数百kmから1000kmにも及ぶ。ドバトはそのような長距離を飛行することはもちろんない。飛行速度も訓練された伝書鳩では時速数十km、風向によっては時速100kmを超える場合もあるそうだ。ドバトはもちろんそのような高速は出せない。伝書鳩は人工淘汰を繰り返され、身体機能を極限までレースのために高められたと言える。一方、道をはずれた?ドバトはのんびりとした身体機能になったのかもしれない。のんびりといっても、その生活がのんびりしているかというと、そうもいかないようだ。都市の生活はやはり鳥にとってはそんなに楽なことばかりでもないであろうし、最近はオオタカのように都市化してきている猛禽もいる。糞害が問題にされることもある。それにしても、公園などでドバトを見ていると様々な色、模様がある。残念ながら気品が感じられるものは少ないような気がする。大げさに言えば、人にいじられたものの一種の悲哀のようなものを感じることもあるが、都市環境で一生懸命生きている姿は健気だ。