戸神の農道の人家近く、農道のわきに単子葉の植物が花をつけていた。4月ころのことだ。花はほぼ白色、だが真っ白というわけではない。細長いのだが、やや幅を感じる20cmほどの葉が目立つ。花は直径3cmほどで花被片はわりと幅広だ。花被片の中央に縦に筋がある。この植物はハナニラIpheion uniflorum。ユリ科の植物だ。ハナニラも帰化植物で、アルゼンチン原産。観賞用に栽培される多年草で、世界中に広がったようだ。多年草なのだが、花だけでなく、葉も春にしか姿をあらわさない植物だ。通常は2cm径ほどの鱗茎として地中で過ごしている。 日本には明治時代に移入されたとのこと。繁殖力がつよいため、野性化している。この植物は名前の通り、全体に韮の香りがする。ただ、よほど近くに寄らなければ、また、手に取らなければそんなにくさいわけではない。
姿を見せている期間、花の期間は短いが、けっして派手ではないが美しい花を咲かせる。英名は花の形からspring
star-flowerという。園芸用の品種も多く、青みの強い花を咲かせるものや、大輪咲きのものなどいろいろあるようだ。今回のものはなかなか質素なほうだと思われる。花の中心部のつくり(おしべなど)が花被片のつくる真ん中のくぼみにそっくりと入っているように見える。春にはどこかで必ず見かける、そして春だけ見かける植物といえる。