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10月のある日、「ちょっと来てください」と言われた。どうしたのかと思うとかなり大型の鳥の死体があり、首がないとのことである。見てから死体の首は犬や猫にやられたものか、切り取られたものか判断してほしいとのことである。近くでニワトリやアヒルのような家禽はかっていないが、たしかに小学校で飼っている動物や鳥がいたずらされたことを聞いたこともあるので、見に行った。見てみると確かにかなり大型でずんぐりした鳥の死体があった。大型の雄のニワトリほどはある。一見すると、茶色でずんぐりしていて、首の部分に首がない。しかし、首をとられたような傷跡がない。不思議に思ってよく見てみると首はしっかりとついている。ただ、首があまりに短く、顔が丸く、うつむいた状態なのでまるで首がないように見えるのである。よく見てみると羽毛に埋もれて黄色で短く、丸まった嘴も見える。そして、あしである。がっしりとした爪があり、恐ろしい猛禽のあしだ。すぐにこれはフクロウのなかまだということがわかった。
ただ、なぜという思いがよぎった。もしかしたら人に飼われていたものが逃げて死んでしまったのだろうか。それともこのあたりに生息しているのであろうか。調べてみると何種類かのフクロウのなかまがいる。夏季に繁殖するコノハズクや冬季にいるコミミズク、周年いるフクロウ、森に棲むものや草原で生活するものなど様々である。フクロウは本当に面白い鳥だ。夜行性の生活を円滑に行うために光をあつめることができる目、獲物を捕らえるためのがっしりしたあし、獲物の位置を正確にとらえるために上下に位置がずれている左右の耳、音を立てずに飛ぶことができる羽の工夫などそのからだの特徴は多く、また、奥深いつくりになっている。ミミズクと呼ばれるなかまは羽角が耳のようにみえるがもちろん耳ではなく、フクロウもミミズクも同じフクロウ科の鳥である。
ところで、死んでいたフクロウだが調べてみるとフクロウ(フクロウという種類です)のようだ。前にタヌキの死体を紹介したが、今度はフクロウだ。しかし、夜行性なので、生きたものを観察するのは不可能に違いないので死体でも仕方がない。外傷はないようなので自然死であろうか。写真では右側が頭だがよく見ないとわからない。あしはがっしりしているが、あしの裏はゴムのようだ、ちょうどゴム付き軍手のゴムが集まったように見える。フクロウは周年、日本にいる上に、分布も全国なので、このあたりにいても不思議はない。しかし、肉食であるので、自然に生息していたとすると、それを支える食料があるということである。食性やネズミや小鳥のなかまがほとんどのようだ。昆虫ではなくこのようなほ乳類や鳥類を捕らえるなかまのフクロウのあしは毛でほごされているそうで、確かに写真のあしもそうなっている。また、神社の大木などのうろを巣にすることが多いので、フクロウがいるということはそのような大木が残っているということにもなる。いずれにしろこれが野生のものであるなら、フクロウのような大型の鳥類が生息できる環境がこのあたりでいつまで維持されるのであるのか心配である。千葉県のレッドデータブックではB:重要保護鳥類に指定されており、県内では限定された地域のみ生息してとのことである。鳴き声は有名で「ゴロスケホッホー」と鳴く。


確かに首がないように見える。あしには鋭い爪が。
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