私たちはどこに住んでいるのか、大地
今回は少しスケールの大きな視点で自然をみてみる。私たちが踏みしめている大地をみることとする。千葉県北西部には下総台地が広がっている。そして、台地や谷津と呼ばれる低地など様々な地形が展開されている。
台地の部分と低地の部分では踏みしめている大地の歴史、でき方は違う。 台地では、まず、大きな特徴として関東ローム層(写真)と呼ばれる層がある。関東ロームというと赤土が有名だ。よく、耳にすると思う。台地で少し地面を掘り下げると、本当に赤茶っぽい鮮やかな色をした層が広がっている。これをローム土という。このローム土は保水力が強く、天然のダムのはたらきがあるということを聞いたことがある。実はこのローム土の下には凝灰質粘土の層もあり、ローム土とこの凝灰質粘土層をまとめて関東ローム層という。その下には成田層と呼ばれる地層が広がっている。成田層は上から(堆積した年代の新しいものから)木下(きおろし)層、上岩橋層、清川層といわれる地層から成り立っている。
一方、低地では、まず、沖積層と呼ばれる堆積物の層があり、その下に前述の成田層が現れる。このように台地と低地では踏みしめている大地の構成は異なっている。
では、どのようにして私たちが踏みしめている大地はできたのであろうか。ベースとなる成田層から見てみよう。成田層ができたのは10万年ほど前から。このころ、千葉県は北、西、南を陸地に囲まれた海であった。このころ、海面は今よりずっと高い状態であった。このすり鉢状の海底地形の海に周囲の陸地からの流入物が堆積してできたのが成田層だ。そのため、成田層からは現在、多くの海生生物の化石がでる。バカガイ、タマキガイ、ハスノハカシパンなどは見つけやすい。絶滅種でキオロシアサリも多い。
2万年ほど前になると寒冷化のため、関東は陸地化した。そのころの火山活動により降り注いだ火山灰が積もることにより関東ローム層ができた。富士山の噴火による影響も大きい。さらに、陸となった関東ローム層、成田層には河川により多くのV字谷ができた。
6000年ほど前になると再び海面が温暖化のため上昇し、V字谷に海が入り込んで、土砂の堆積が起こった。この堆積物が沖積層である。
その後、海面が低下して現在の大地が現れる。そのため、下方に向かい、台地では表層土、関東ローム層、成田層というような構成となり、低地では表層土、沖積層、成田層という構成になる。
なにげなく、踏みしめている大地だが、地球の温暖化、寒冷化、水のはたらきなど多くの要素が絡み合い、長い歴史とそれにともなう変化を経てかたちづくられている。