ブルーギル

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 ブルーギルは本当に身近になってしまった?魚だ。この魚の影響や害は様々なところで話題になる。帰化生物の在来種への影響を扱うニュースや記事では魚類として、このブルーギルやブラックバスが必ず取り上げられる。

 ブルーギル(Lepomis macrochirus RAFINWSQUE)はスズキ目スズキ亜目バス科の魚だ。体側に10本ほどの横縞があり、タイのような形をしている。鰓蓋の一部が後方に飛び出し、黒っぽくなっているのが特徴的だ。この魚が日本に移入された時期は珍しくはっきりとしているようで、1960年と言われている。はじめは養殖用に移入されたとのことだ。一説には渡米した当時の皇太子が土産に貰ってきたという話もある。また、はじめに移入されたのは伊豆の一碧湖と言われる。意外と氏素性がはっきりとしている。とにかく、最初はその食用としての有用性に着目されたようだ。最大、30cmくらいになるようで、実際に採集したもので最大のものは20cm以上あった。しかし、日本では環境のせいか20cmになるものは希とのことだ。また、皮に臭みがあるため、食用としては広がることはなかった。一方で、釣マニア(というよりバス・マニア)によって、ブラックバスとともに放流されたこともあるようだ。ブラックバスの餌として考えられたようだ。しかし、ブルーギルは雑食性で稚魚や魚卵も好む傾向があり、逆にバスの繁殖を抑制してしまうこともあったようだ。

 一時は爆発的に増え、印旛沼でも異常な増え方をしていた。釣り糸を垂れれば、ギルが食いつくという感じであった。フナや他の魚を釣る暇も与えぬほどであった。現在はそれほどでもないようだ。帰化生物が日本に入るとはじめの10年くらいで著しい増殖を見せ、そのあとの経過により存続できるかが決まるという話を聞いたことがある。本当に定着するのかは100年くらいの時間、見てみることが必要なようだ。植物などでは「在来の」と言われる種のほとんどが時間を遡れば帰化した種だ。そう考えると、帰化が必ず悪いと断定できないし、心配もないのかもしれないが、ブラックバスやブルーギルはかなり人為的に分布を広げた(広げられた)ことが大きな問題であろう。

 魚としてあらためて見てみると、体形もタイに似ていて、体色も地味ながら特長があり、人にもなつくようで、観賞魚としてもそんなに悪くはないかもしれない。また、生存できる水温の範囲もひろく、飼いやすい魚だ。餌もなんでもよく食べる。ただ、害魚としてのイメージがあまりに強くなってしまったため、先入観を持って見てしまう傾向がある。

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