ベッコウハゴロモは4月から10月、夏季に見られる1cmに満たないハゴロモ科の小さな昆虫だ。北海道から沖縄まで広い範囲で出現する。ベッコウハゴロモは茎にとまっていると三角形で、ガのように見えるが、ハゴロモ科のなかまは頭部が幅広く、前ばねが大きい特徴がある。
ベッコウハゴロモはクズを中心にセイタカアワダチソウ、ヤマノイモ、ミカン科の植物などにいる。概して、荒地や放置された土地に生える植物を好む傾向があるようで、使われていない土地が多い千葉ニュータウンではよく見られる昆虫だ。ベッコウハゴロモは植物の茎に管を刺して植物の汁を吸う。そのため、植物にとってはあまりありがたくない昆虫だ。
昆虫は当たり前なのだが変態するものが多い。そのため、ときには成虫と幼虫が、その姿からはうまく結びつかないものも多い。ベッコウハゴロモは成虫と幼虫はなかなか結び付けにくいのだが、よく見ると納得できるという微妙な昆虫だ。なかなか、結び付けられない理由として幼虫の尾部にある毛をあげることができる。まるで、キク科の植物の冠毛のような毛が生えている。これが目立ちすぎ、成虫と似ているところをカムフラージュしてしまう。よく見ると頭部、体色、肢などは成虫とよく似ている。幼虫は人が近づくと危険を察知し、ぴょんという感じで飛び跳ねる行動を見せる。
放置された造成地などがあったら、クズをはじめとする植物の茎を、よく見てみるとかなりの頻度でこの昆虫に出会える。