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太田洋愛、ボタニカルアートの先駆者
2011.6.22

 太田洋愛氏をご存知だろうか?最近、ボタニカルアートが広く認知されるようになってきた。植物を描く!のだが、芸術作品の中の1テーマ、背景的な存在として植物を描くのではなく、植物そのものをテーマとして描いている絵である。博物図譜の植物分野として考えてよいかもしれない。昨今、荒俣宏氏の書籍、研究の影響で、植物以外の博物学関係の図譜も市民権を得てきていることは既知であると思われる。さて、太田氏であるが1910年に愛知県に生まれた。1988年に亡くなられている。氏はまさにボタニカルアートの嚆矢であった。平凡社をはじめ多くの植物図鑑、図譜、書籍に氏の図譜が使われていた。また、日本ボタニカルアート協会創立委員でもあられた。大賀ハス(2000年ほど前の遺跡から見つかった種子を発芽させた古代のハス))で有名な大賀一郎氏に師事し学ばれたとのこと。
 先日、国立科学博物館で開催されていた「日本のボタニカルアート −太田洋愛画伯の原画を中心として−」を見てきた。6月の26日まで開催されている。特別なイベントではあるが特別に別途、料金を払わず見ることができる。日本館(旧本館)のワンルームを使っての展示だ。平凡社の図鑑の挿絵の原画が多く展示されていた。レイアウト上の注意点やメモが多く書き込まれていて興味深かった。たまたま、その原画が使われている図鑑を持って見学されている方がいた。確かに同じ図であるが、印刷物と原画の違い、もちろん、サイズも違うため、ちょっと見ただけでも違いがあるのが印象的であった。


 




 今日はたまたま、不忍口そば囲碁センターのビル前を通った。ここの1階には古書店がある。一見、表の一角を利用し、仮店舗的に営業しているように見える。実は奥に続いており(これがわかりにくい)、広いフロアを古書が埋め尽くしている。しかも、ジャンル別に整理してる訳ではないので、書籍の巣窟?吹き溜まり的な感じだ。学術書の脇にアダルト書籍が並んでいるという雑然とした雰囲気がなかなかよい。それでも、似たジャンルの書籍が集めてある感じはする。それが、何箇所にもあるのが問題だ!きっと、無計画に拡充していったのだということを物語っている。アダルト書籍もあるが芸術関係、地誌的なもの等々、陳列してある書籍の質は高い。ブックオフのような店舗を期待するとあっという間に店を出ることになるだろう。 
 さて、その店でやっとのことで植物関係の書籍、図鑑が集まっている場所を見つけた。種々の図鑑や随筆がある。その中に「原色図譜 園芸植物 路地編」(浅山英一 画 太田洋愛 二口善雄、平凡社)を見つけることができた。この図鑑は、現在はネット上で見つかっても品切れが多く、あっても高価であったりする。それが表示定価の1/5くらいの価格だ。これも何かの縁であろう。先日、科博の展示を見てから気になっていたので即、購入した。図鑑というのは知識的には新しいもの、版のほうがよい。でも、これは画集!ひとつひとつの図譜がすばらしい。最近、種々の古い図鑑を見直すことが多い、それぞれの図鑑の挿絵は本当に見ていて飽きない。図譜のすばらしさだ。しかし、写真が悪いと言うわけではない。植物でいえば、富成氏の写真、昆虫でいえば栗林氏の写真などは写真としてすばらしい。ところで、図譜を描いた画家の名が表紙にでることは滅多になく、はしがきに触れられる程度が多い。しかし、この図鑑、しっかりと表紙に太田氏、二口氏の名が表示されている。題名が「原色図譜・・・・・・」となっているためもあるのかもしれない。
 「原色図譜 園芸植物 路地編」とともに「復刻版 植物記 牧野富太郎」も購入した。植物記のほうも2巻セットなので、両方合わせるとかなりの重さになる、その他の買い物もあったので....。しかし、しっかりと歩いて帰ることに、で、上野駅公園口付近、文化会館、正岡子規球場、動物園前と歩を進めていった。動物園野正門前で、何かいつもと違うという感覚が.....「あれがない!」そう、正門前にあった売店だ。跡形もなくなっていた。これもか