太田洋愛氏をご存知だろうか?最近、ボタニカルアートが広く認知されるようになってきた。植物を描く!のだが、芸術作品の中の1テーマ、背景的な存在として植物を描くのではなく、植物そのものをテーマとして描いている絵である。博物図譜の植物分野として考えてよいかもしれない。昨今、荒俣宏氏の書籍、研究の影響で、植物以外の博物学関係の図譜も市民権を得てきていることは既知であると思われる。さて、太田氏であるが1910年に愛知県に生まれた。1988年に亡くなられている。氏はまさにボタニカルアートの嚆矢であった。平凡社をはじめ多くの植物図鑑、図譜、書籍に氏の図譜が使われていた。また、日本ボタニカルアート協会創立委員でもあられた。大賀ハス(2000年ほど前の遺跡から見つかった種子を発芽させた古代のハス))で有名な大賀一郎氏に師事し学ばれたとのこと。
先日、国立科学博物館で開催されていた「日本のボタニカルアート −太田洋愛画伯の原画を中心として−」を見てきた。6月の26日まで開催されている。特別なイベントではあるが特別に別途、料金を払わず見ることができる。日本館(旧本館)のワンルームを使っての展示だ。平凡社の図鑑の挿絵の原画が多く展示されていた。レイアウト上の注意点やメモが多く書き込まれていて興味深かった。たまたま、その原画が使われている図鑑を持って見学されている方がいた。確かに同じ図であるが、印刷物と原画の違い、もちろん、サイズも違うため、ちょっと見ただけでも違いがあるのが印象的であった。