東京国立博物館、アナザ・サイド

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 東京国立博物館は広大な敷地を持つ施設だ。その中に個性的な建物が立ち並ぶ。順に表慶館、本館、因州池田藩屋敷門とその鬼瓦。
本館、表慶館は対照的な建物だ。どちらもかなり遠くから見える立派な建物だ。本館は徳川霊廟から見る後姿もよい。表慶館は夜にライトアップされることもあり美しい建物だ。池田藩は徳川に関係の深い藩だ。この門は維新後、東宮御所など数箇所を転々としてここに落ち着いたそうだ。

 さて、東京国立博物館は我が国屈指の博物館であることはいうまでもないが、もうひとつの側面がある。それは広い園の中に数多くの樹木が植えられていることだ。そのほとんどにはきちんと樹木名のラベルが貼られている。しかも、どれもがかなり樹齢のある立派で個性的な姿に成長した木々だ。ちょっと、植物園気分でこれらの木々を楽しむのも国立博物館のひとつの楽しみ方だ。

 とげとげした葉が特徴のヒイラギとハナミズキだ。ヒイラギは葉のとげとげしい鋸歯が有名だが、実はこれは若葉の特徴だ。このような形の葉をした木はほかにもあり、ヒイラギナンテン、ヒイラギモクセイなど「ヒイラギ」という語句が付加されているものが多い。国立博物館裏門外の生垣はヒイラギナンテンなのでまちがわないよに。ハナミズキの葉は緑が鮮やかだ。







 針葉樹は博物館にマッチした生きる化石と言われることもあるメタセイコア。コケむしたケヤキと思われる大木もある。カヤの木は今回、非公開の庭園内にある。残念だ。











 大きな葉の植物はタラヨウ、次も大きな葉のタイサンボク。本館入口のすぐわきにある。大きな花が咲いていた。花のにおいをかぐとまるで柑橘系だが、モクレン科の植物。ミカン科ではない。このにおいがよいので料理などに花弁を添えることもあるそうだ。緑の若葉はモッコク。先が丸っぽい葉が特徴だ。



 園内のところどころにあり、細長い葉をつけたバラ科の植物はキクモモ。花がキクのように見えるためこの名がある。ちょうど、6月には実をつけている。「モモ」という語句が種名についているが、実はウメにそっくりだ。これはキクモモがハナモモ系のモモで花を楽しむためのもので、実が大きくならないためだ。この木は旧博物館動物園駅から国立博物館正門に向かって歩いていくとフェンスの外からも見えるものもある。ラベルも外から確認できる位置だ。
 ウコギ科のカクレミノは分裂葉と通常の葉の両方をつける珍しい樹木。高木では分裂葉は少なく、幼木では多いようだ。常緑樹で分裂葉をつけるものは珍しいそうだ。
 ゆっくり、木を見ながら楽しむ国立博物館もなかなかだ。東京国立博物館は創立1872年だ。ここはもともとは輪王寺宮。そのため、園内にはいくつかの茶庭もあり、庭園が整備されている。ただ、公開されていない場合がある。


 国立博物館裏、鶯谷駅南口方面は多くの院が集中している。古びた石灯籠も見られる。この一角だけまわりと雰囲気が異なる。











*今回の写真はすべて携帯のdocomo ソニー・エリクソンSO5050iで撮影。