サイクロイド振り子


一直線上を滑ることなく回転する円の周上の一点の軌跡を『サイクロイド』といいます。
サイクロイドには興味ある性質がいろいろありますが、ここではサイクロイド振り子に
ついてまとめてみました。





1 サイクロイド曲線


(1) サイクロイド曲線の方程式
$\hspace{3em}$
$基本形      \ C_1: x=a(\theta - \sin \theta ), \quad y=a(1- \cos \theta)$

$x軸の折り返し  C_2: x=a(\theta - \sin \theta ), \quad y=-a(1- \cos \theta)$

$x軸方向に -\pi a,\quad y軸方向に 2a 平行移動して$

$\hspace{2em} x=-\pi a+a(\theta - \sin \theta )=a\{(\theta -\pi)+\sin (\theta - \pi)\}$
$\hspace{2em} y=2a-a(1- \cos \theta)=a\{(1-\cos (\theta - \pi)\}$
$\hspace{2em} \theta - \pi \rightarrow \theta$ と置き換えて

$\hspace{7em} C_4: x=a(\theta + \sin \theta ) , \quad y=a(1- \cos \theta)$


(2) 弧の長さ
$\quad C_4: x=a(\theta + \sin \theta ) ,\quad y=a(1- \cos \theta)=2a\sin ^2\cfrac{\theta}{2}$
をそれぞれ微分して
$\hspace{2em} dx=a(1+\cos \theta )d\theta =2a\cos ^2\cfrac{\theta}{2}d\theta$
$\hspace{2em} dy=2a\sin \cfrac{\theta}{2} \cos \cfrac{\theta}{2}d\theta$
微小弧長は
\begin{eqnarray*} ds&=&\sqrt{(dx)^2+(dy)^2} \hspace{2em}\\ &=&\sqrt{(2a\cos^2\cfrac{\theta}{2})^2+(2a\sin \cfrac{\theta}{2} \cos \cfrac{\theta}{2})^2}d\theta \\ &=&2a\cos \cfrac{\theta}{2} \sqrt{\cos^2\cfrac{\theta}{2}+\sin ^2\cfrac{\theta}{2}}d\theta \\ &=&2a\cos \cfrac{\theta}{2}d\theta \\ \end{eqnarray*} よって \[s=\int_0^\theta ds=\int_0^\theta 2a\cos \cfrac{\theta}{2}d\theta=4a\sin \cfrac{\theta}{2}\] $\therefore \quad \sin \cfrac{\theta}{2}=\cfrac{s}{4a}$

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2 サイクロイドに沿った運動



サイクロイド曲線 $C_4$に沿って往復運動する質量$m$ の質点の運動を調べてみましょう。


$\hspace{3em}$
1(2)より
$\hspace{2em} y=2a\sin ^2\cfrac{\theta}{2}=2a\big(\cfrac{s}{4a} \big)^2=\cfrac{s^2}{8a}$

ここで、物理法則のエネルギー保存則が使われます。
$y=0$ における質点の速さを $v_0$ とすると

$\hspace{2em}\cfrac{1}{2}mv^2+mgy=\cfrac{1}{2}mv_0^2$
  $\hspace{2em} v=\cfrac{ds}{dt}$ だから
$\hspace{2em} \cfrac{1}{2}\big(\cfrac{ds}{dt}\big)^2+g\big(\cfrac{s^2}{8a}\big)=\cfrac{1}{2}v_0^2$

両辺をさらに$t$で微分して

$\hspace{2em} \cfrac{ds}{dt}\cfrac{d^2s}{dt^2} + \cfrac{g}{4a}s\cfrac{ds}{dt}=0$

$\hspace{2em} \cfrac{ds}{dt}$ で割って $\quad \cfrac{d^2s}{dt^2} =- \cfrac{g}{4a}s$

$\hspace{2em} \cfrac{g}{4a}=\omega ^2$ とおくと $\quad \cfrac{d^2s}{dt^2} =- \omega ^2 s$

となって、$\theta$ に無関係な単振動の微分方程式が得られます。

周期$T$ は $T=\cfrac{2\pi}{\omega}=4\pi\sqrt{\cfrac{a}{g}}$

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3 サイクロイドの伸開線


一般に、ある曲線に沿って、ピンと張った糸を端点を固定したまま、はがしたときのもう一方の端点の軌跡を 伸開線といい、元の曲線を縮閉線といいます。
 右図は、サイクロイドの一端Oを固定したまま、頂点Aをピント張ったままQまではがした図です。
伸開線は点Qの軌跡です。

弧APと線分QPの長さは等しくなることに注意して伸開線の方程式を求めてみましょう。

$P(x,y),\quad Q(x_1,y_1) とします。$
$C_1: x=a(\theta - \sin \theta ), \quad y=a(1- \cos \theta)$ にもどって
$\hspace{2em} dx=a(1-\cos \theta )d\theta =2a\sin ^2\cfrac{\theta}{2}d\theta$
$\hspace{2em} dy=a\sin \theta =2a\sin \cfrac{\theta}{2} \cos \cfrac{\theta}{2}d\theta$

$\hspace{2em} ds=\sqrt{(dx)^2+(dy)^2}$

$\hspace{2em} =\sqrt{(2a\sin^2\cfrac{\theta}{2})^2+(2a\sin \cfrac{\theta}{2} \cos \cfrac{\theta}{2})^2}d\theta$

$\hspace{2em} =2a\sin \cfrac{\theta}{2} \sqrt{\sin^2\cfrac{\theta}{2}+\cos ^2\cfrac{\theta}{2}}d\theta$
$\hspace{2em} =2a\sin \cfrac{\theta}{2}d\theta$

弧長OPは $[\ 0,\theta \ ]$ の長さだから $\ s_1 \ $ とおくと
\[s_1=\int_0^\theta ds=\int_0^\theta 2a\sin \cfrac{\theta}{2}d\theta=4a(1-\cos \cfrac{\theta}{2})\] $線分の長さ \ s_2 \ は弧長OAが \ 4a \ であるから$
$\hspace{2em} s_2=4a-s_1=4a-4a(1-\cos \cfrac{\theta}{2})=4a\cos \cfrac{\theta}{2}$
点$P$における接線ベクトルは速度ベクトルと向きが同じだから$\quad \vec{PQ}\ //\ \vec{v} \ $

$\hspace{2em} \vec{v}=\big(\cfrac{dx}{d\theta},\ \cfrac{dy}{d\theta}\big)=(a(1-\cos \theta), \ a\sin \theta)$  より

$\hspace{2em} \vec{PQ}= k\ (a(1-\cos \theta ), \ a\sin \theta)  を満たす実数kが存在する。$

$\hspace{2em} |\vec{PQ}|=k\ a\sqrt{(1-\cos \theta)^2+ \sin ^2\theta}=k\ a\sqrt{2(1-\cos \theta)}=2k\ a\sin \cfrac{\theta}{2}$

$\hspace{2em} PQ=s_2$  だから

$\hspace{2em} 2ka\sin \cfrac{\theta}{2}=4a\cos \cfrac{\theta}{2}$
$\hspace{2em} \therefore \quad k=2\cot \cfrac{\theta}{2}$

一方
$\hspace{2em} \vec{PQ}=(x_1-x, \ y_1-y)  だから$

$\hspace{2em} x_1-x=2a\cot \cfrac{\theta}{2}(1-\cos \theta)=2a\cot \cfrac{\theta}{2}・2\sin ^2\cfrac{\theta}{2} =4a\cos \cfrac{\theta}{2}\sin \cfrac{\theta}{2}=2a\sin \theta$

$\hspace{3em} x_1=x+2a\sin \theta =a(\theta - \sin \theta) +2a\sin \theta =a(\theta + \sin \theta)$

$\hspace{2em} y_1-y=2a\cot \cfrac{\theta}{2}\sin \theta =4a\cos^2 \cfrac{\theta}{2}$

$\hspace{3em} y_1=y+4a\cos^2 \cfrac{\theta}{2}=a(1 - \cos \theta) +4a\cos ^2 \cfrac{\theta}{2} =a(1 - \cos \theta) +2a(1+\cos \theta) =a(1 + \cos \theta) +2a$

$これで Q(x_1, \ y_1)  が求まりました。$


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4 サイクロイドと伸開線の関係

$\hspace{3em}$

サイクロイド$C_1$を$x$軸方向に$-\pi a,y$軸方向に$2a$平行移動すると

$\hspace{2em} x'=-\pi a+a(\theta - \sin \theta )=a\{(\theta- \pi) + \sin (\theta - \pi) \}$
$\hspace{2em} y'=2a + a(1- \cos \theta)=a\{1+\cos(\theta - \pi)\}+2a$

$\hspace{2em} \theta - \pi \rightarrow \theta $ とおくと
$\hspace{2em} x'=a(\theta + \sin \theta ) , \quad y'=a(1+\cos \theta) +2a$

となり、伸開線$Q(x_1,y_1)$ と一致しますから、サイクロイドの伸開線 はまたサイクロイドとなります。

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5 サイクロイド振り子

サイクロイド曲線$C_4$と合同な$C_5$と$C_6$を図のように置き、2つの壁に挟まれた点Oから 長さ$4a$の糸の先に質量$m$のおもりをつけて振り子とします。

糸は2つのサイクロイドに沿って動きますので、おもりの軌跡は$C_5$ と$C_6$の伸開線ですから、 サイクロイド$C_4$となります。
これをサイクロイド振り子といいます。

$2より$
$\hspace{2em} \cfrac{d^2s}{dt^2} =- \omega ^2 s (\cfrac{g}{4a}=\omega ^2)$

$でしたから、これは、l=4a \quad の微小角度の単振り子に相等します。$

$なお、重要なことはサイクロイド振り子は振れ角\theta に無関係なことです。$





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