中国で美人に生まれた人の宿命

  中国では美人に生まれると、必ず金持ちと結婚出来るということになっているらしい。日本にも"玉の輿"と言う言葉が有り、中国と同じだと言われそうだが、やはり少し違うのである。中国では美人に生まれた本人は、金持ちと結婚出来るということをハッキリと自覚しているようである。金持ちと結婚できると言うよりは、金持ちと結婚しなければならないという宿命と圧力を本人は感じているらしい。周囲の人もその様に見ている。そして人の噂をするのに遠慮が無い社社会であるから、彼女はその対象として相応しい人を探しているとか、ついに対象を探し当てたとかの経過が分るのである。結果は、期待に違わず、相応しい金持ちを探し当てることが多いようである。

  私の体験でも、外国人の私でさえも、ある美人が大学の副学長の息子を探し当てた経過が耳に入ってきた。大学の副学長は金持ちではなかったが、中国人が命の次に大事にする特別の"関係"(人脈)を持っている家族であって、ついに夫婦とも日本に来ることが出来た。ちなみにこの大学の歴代の学長の子供は、全てが外国に留学したことがあるか、住んでいるかしている。

  しかし美人が、周囲の期待を裏切る様な結婚になってしまった場合とか、30才になっても結婚出来ないとかということになると、大変なことになるらしい。金持ちと結婚出来ないのは、何か人に言えない欠陥・理由があるのではないかといった類の噂になる。或意味では大変厳しい社会である。勿論美人ではない十人並み女性に対しても、結婚が遅れるとつらい事になる。30歳くらいの独身の女性とタクシーに乗り合せたとき、運転手が、"何故未だ結婚しないの?"と、直截にハッキリ聞いているのを横で聞いたことがある。この様な場合、中国人は遠慮が無いのである。

  中国では、この様な立場の人はこの様にするという、取るべき態度がハッキリしている様に思える。例えば金持ちになったら、どの様な態度や行動を取るとかの類である。中国の金持ちは態度がでかような気もがする。また金持ちになったら美人で若い奥さんを持たなければならない、といった行動様式があるように見える。実際に中国ではでっぷりと肥った男が、若い美人を連れて歩いているのは、よく目に付く光景である。

  次のような話を新聞で読んだことが有る。中国の庶民が乗る硬い席の汽車に一人の美人が乗っていたら、周囲の人は、普通ならばこの様な美人が、庶民が乗る汽車に乗るはずがない。あの位の美人ならば、当然柔らかい方の席(グリーン席)に優雅に乗れるはずだ。それが出来ないのは、きっと何かの不幸な理由が有るに違いないと噂したそうである。つまりこれが中国の庶民が美人を見る一般的な見方の様である。美人に生まれても庶民の期待通りになればいいが、そうならないとつらいことになるのである。