中国に政治家一家はあるのか
(2009年9月9日)


  最近は、選挙の話題で賑やかで、二世議員のことが話題になったりしていて、それで思い出したことがある。ずっと以前のことであるが、ある日本人女性から、中国の政治家一家の息子と結婚したいのだがどんなものだろうと聞かれたかとがあった。それを聞いたとき、なんだかこの話は怪しい話だと思った。中国にいる中国人が自らの家族を政治家一家と言うのは、なんだか怪しいと思ったのである。

  中国に政治家一家というのはあるのだろうか。日本になら政治家一家は確かにある。日本の政治家は国会議員、地方議員、国の首長、知事などの地方首長等、公選によって選出された人が政治家であるが、公選によらない副知事、副市長、閣僚も政治家と言っていいかもしれない。更にそのような地位にない人でも、政治を志している人なら政治家といっていいだろう。

  だから日本には、父親が元議員であって、息子が選挙で落選したがまだ政治を志しているとすればその家族を政治家一家といっても差し支えない。そしてそのよう家族は日本に確かに存在する。

  然るに中国では公選制ではなく、議員はいないのだから政治家と言える人は極めて少ないのではなかろうか。中国には全国人民代表大会と言うのがあり、日本の国会に似ていて、その代表は3000名近くもいるのであるが、彼らは選挙で選ばれたのではなく、指名されて代表になり、年に一回大会を開くだけで、他の期間は政治活動をしている様子もないのだから、政治家とは言えないだろう。

  中国にも 省長や市長もいて、その「副」もいるから、彼らを政治家と言ってもいいかもしれないが、とにかく中国に政治家といわれる人は少ないのである。話題は少しずれるが、中国には、“副”が着く人がとても多い。例えば副市長は7、8人もいる。北京市でも小さな市でもそうである。副市長も政治家だとすれば、中国にはこの手の政治家が結構いるにはいる。

  話を元に戻して、中国では「私は政治家になりたい」と政治家として自分を主張する人はいるのだろうか。日本の政治家一家は、例えば政治家の息子が、自分も政治家になりたいと表明するから政治家一家になりえるのだろう。鳩山家も小泉家も、いずれも政治家になりたい言う表明があって政治家になった。しかし中国の場合、「私は次の市長になりたい」と主張できるのだろうか、そう言ったとしても中国では共産党によって指名されるのだから、市長にはなれないと思うし、そのようなことを言うことは許されないのではなかろうか。多分共産党に反対する政治活動家として睨まれてしまうのではないかと思う。とにかく中国には政治家は少ないし、政治を志していると表明することもできないのだから、中国に政治家一家と言える人は殆どいないと思う。

  だから先の話の結婚の相手が、「私の家は政治家一家だ」といったことは、極めて怪しいのである。中国には官僚一家ならあるだろう。政治行政混合一家と言うのもあるだろう。中国ではある者が権力のある地位に就くと、その地位を利用して、家族を行政組織の責任者にしたり、政府関係企業の責任者にしたりするから、恐らく結婚の相手が、自ら政治家一家と言っているのは、政治と行政または企業とかが、一家族親戚の中で癒着している家族なのではないかと思った。こういう家族なら中国には確かにいるのである。そしてこのような一家は大抵が汚職を働くような人物の一家なのである。そのような例はこの日記にもずっと以前に書いたことがある。だからこの日本人女性の結婚相手の一家は怪しい一家と言える。

  とは言えこの一家が日本のように汚職で掴まるかというとそうとも言えない。息子を行政組織の役職に押し込む程度ならば、地位と富に恵まれ幸福な結婚生活が送れるかもしれない。汚職にしても日本とは程度が違って、掴まる汚職の程度は日本と全く違うのである。