甘粛省大縦断の旅−1
(2008年10月22日)


  中国には10月1日の国慶節の休日を中心に一週間の連休がある。その連休を利用して甘粛省大縦断の旅をしてきた。旅行したところは河西回廊とも言われ、シルクロードの通り道になっていて、河西回廊ともいわれるところである。

  旅行したところは、蘭州―510K−張掖―225K−嘉峪関―400k−敦煌 と走り、距離は合計1135Kになるが、実際は嘉峪関から敦煌までは、タクシーで楡林窟と鎖陽城を観光して敦煌に行ったので、実際に走ったその日の距離は530kにもなった。それで、大移動の旅と名前を付けたが、これくらいでは大縦断とは言えないかもしれにない。実は昨年も蘭州から甘粛省の最南端甘南地区まで行き、ちょっと四川省にまで入り、蘭州まで引き返した旅をして、このときもやはり大移動の旅をしている。これを加えれば甘粛省の南から北まで制覇したことになる。二つあわせれば二年がかりで本当に甘粛省大縦断の旅をしたとも言える。

  しかし蘭州の南と北とでは全く印象が違う。蘭州から北には石窟などの仏教遺跡が多く、長城と城砦のような遺跡があっちこっちにある。やはり蘭州から北の河西回路は、異民族との攻防の地であり仏教伝来の道であることが実感できた。これに対して蘭州から南の地(昨年5月に旅行した所)は、回族とチベット族の地で、3000m以上の高原に草原が広がっていた。そこには黄河の上流が流れていたり、鳥葬の丘があったり、チベット族が馬に乗っていたりして、やはり異民族の地であった。後のニュースによれば、回ってきた辺りの各地で、チベット族の騒動が起きていた。

  しかし今回のシルクロードへ入り口、河西回廊は、始めは緑もある農地であったが、武威から西はゴビタンの風景であった。行程や見物したところは以下のとおりである。

9月28日  飛行機で、北京ー蘭州15:10 発-17:10着 蘭州泊まり
9月29日  長距離バスで、張掖まで510k、8時発ー3時着7時間
    4時からタクシーをチャーターして張掖丹霞地貌へ  張掖泊まり
9月30日  タクシーをチャーターして馬蹄寺風景区(62k)へ
    昼食後タクシーをチャーターして黒水国遺跡(15k)へ  
    その後市内観光、大仏寺、木塔寺、鎮遠楼  張掖泊まり
10月1日  嘉峪関まで長距離バス225K 9時半発
    三時ごろからタクシーをチャーターして、文殊山、長城第一敦、
    懸壁長城、嘉峪関の観光   嘉峪関泊まり
10月2日  嘉峪関から敦煌まで観光しながらタクシーで530K、
    8時半発、敦煌6時10分着   敦煌泊まり
10月3日  バスで莫高窟へ、
    四時ごろタクシーで月牙泉へ、ラクダに乗る 敦煌泊まり
10月4日  飛行機で北京へ 11:40発ー14:40着

  全て個人で手配した旅行で、飛行機とホテルは事前に予約しておいた。長距離バスは前日に切符を購入し、タクシーも朝から移動するとか観光するとかの場合は、前日に、タクシーの運転士を探して交渉し、予約しておいた。泊まる場所も一箇所変更したが、それも旅行中にネットで事前に変更した。辺境の個人旅行でありながら、スムーズに問題なく旅行できた。しかし旅行の直前なって、汽車の切符が買えなくて、飛行機に替えたりで、急な変更があった。この理由は頭に来る原因だったが。やはり中国だからである。

  昨年の国慶節の休みの旅行では、「宜昌」からの帰りの行機のチケットを買うべきところを、「宜賓」からのチケットを間違って買ってあったので大変だった。つまり帰りの飛行機のチケットが無かったのである。しかしその話しは昨年の話しである。今回は無駄無く効率的にも観光できた。

  二日目の蘭州から張掖までの長距離バスの旅も7時間もかかって、トイレ休憩も満足に無く(一回はあった)、昼飯も食べずの7時間であった。

  長距離バスの7時間の旅は、蘭州から出るところで、黄河を渡った。既にここの黄河は黄色に濁っていた。道はずっと舗装されていて良かったが、交通事故を二回も見た。接触事故なんて程度ではなく、グチャッと車体がつぶれていた。その為の渋滞もあった。何故か理由のわからない渋滞もあって、遅れるのかと心配したが、大渋滞は無かった。蘭州から出てしばらくは、黄土地帯である。何故それがわかるかというと、平らな土地の端が、突然垂直に崩れ落ちて、崖になっているからである。この地形は黄土地帯特有の地形である。黄土地帯は農村地帯でもある。

  途中、高い峠らしいところを越えた。そこにチベット仏教の塔が見えた。この辺りは回廊という名前のとおり、青海省と内蒙古にはさまれて狭いところなので、隣の青海省のチベット仏教の影響も受けているのだろう。チベット仏教の塔が見えた。

  ずっと小麦とかトウモロコシの農村地帯だったが、既に木々の黄葉が始まっていて綺麗だった。武威を過ぎた辺りからだろか、風景が荒涼としたゴビタンの風景になってきた。ゴビタンの中に延々と続く長城が見えた。北京にあるようなレンガによる長城ではなく土塁であった。この頃白い雪を被った祈連山脈も見えるようになってきた。右側に見えていた長城が道路を横切って、左に見えるようになってもまだ、長城は続いていた。長城といわれるだけに本当に長かった。これが山丹長城の遺跡らしかった。はるか昔漢の時代に作られ、明の時代に修理されたものだという。山丹長城を左に見ているうちに、7時間かかってようやく、張掖についた。

  やはり飲まず、食わずの旅は大変だった。飲まず、食わずの7時間というより、中国のその広さに改めて感心した。

  ホテルに入って一時間後の4時には、食事も抜きで、張掖丹霞地貌の見物に出かけた。今回の第一の目的地である。

  旅行二日目の写真は、バスからの写真なのでよく撮れていませんが、写真がありますので見てください。