オリンピックに向けて浄化される北京
(2008年7月20日)


  最近北京では、乞食が全く見えなくなりました。わたしの家の近くでいえば、回教徒用スーパーの入り口、牛街回教寺院の入り口や、仏教寺院である法源寺の入り口には、いつも乞食が居たのですが、今は全くいません。そこから立ち退かせただけはなさそうです。立ち退かせただけなら、ほかで又乞食をやるかもしれませんが、全くいなくなったことから見て、拘束してどこかへ連れて行ったのではないでしょうか。

  北京には臭豆腐と言う食べ物もありますが、それも販売禁止になったそうです。これは確かに辺りに異様な臭いを撒き散らす食べ物なんです。日本からのニュースだと、北京のレストランでは、犬肉の料理を販売するのも禁止になったとか。なお、今日聞いたばかりの話なのですが、臭豆腐を食べに行ってみた日本人の情報によれば、普段は臭い臭豆腐が、臭くなかったそうです。中国人の、ことに対応する技は、すばやいようです。

  会社の直ぐ目の前にある、何故か取り壊しを免れていた建物も、急遽取り壊されて、きれいになりました。大通りには花が飾られるようになり、ここも綺麗になり華やいだ感じになりました。

  私がよく行く潘家演の骨董市場のあたりには、人力三輪車が沢山有ったのですが、これも全く見かけなくなりました。先日は疲れたので人力三輪車(タクシーよりは安い)に乗りたかったのですが、居ないので、ヤミのオート三輪があったので、それに乗って移動しましたが、金の支払いのとき外に見られないように用心していました。

  乞食もいなくなりましたが、北京戸籍を持たなくて、ちゃんとした仕事の無い地方人も追い出されるようです。7月20日以降、建設工事はできなくなり、従って、外地から働きに来ている人たちは故郷に帰らざるをえなくなるようです。意味もなく、北京に留まることは禁止ですと。そう言えば、私がよく昼飯を食べに行く、ウイグル人がやっているケバブの店は、すでに三週間くらい前から閉まっています。

  7月20日以降、一時的に北京に留まる外地人も居留証のような証明書が必要らしいです。そうと聞いたので、例によって、潘家園に行った時に、そこで古物を売っている知り合いに聞いてみましたら、やはり20日以降は帰らなければならないそうです。実質的な、地方人の追い出しですね。

  地方人の居住を厳しくするのは、どう言った理由なんでしょうかね。地方人は教養が無いからなのか? がーっとタンを吐くからなのか、しかし北京人でも腹だし男も沢山いるし、痰もガーっとよく吐きますよ。北京にはオリンピックに向けて、「文明にこだわろう」なんて標語がたくさんあるのですが、北京人でも、この文明の意味がわかっていないらしく、中国語の文明とは礼儀とかの意味に過ぎないのですが、文明つまり礼儀の具体的な教育が無いので、北京戸籍の腹出し男は、腹を丸出しにしながらでも、「文明にこだわっている」とのだと、思っているかもしれません。今日、北京の地下道を歩いていたら、前の人がガアーとやり、痰を吐くかと思ったらゴミ箱に痰を吐いていましたが、地面に吐かなければいいってものではないでしょう。既にガアーの音が外国人に対して、脅威である事を教育されていないようです。

  長距離バスで北京に入っている地方人にたいしても、検査が始まるのだとか。居留許可証みたな証明が無い人は、勿論追い返されることになるのでしょう。

  ますます北京は浄化されていきます。北京が浄化される事は良いことなんでしょう。

  別の話題ですが、最近、気象局がオリンピックに向けての、新聞記者発表を行いました。オリンピックの為に7年もの準備をしたとか言っていましたが、それにしては開会式の気温がどうなのか、空気はどうなのか、は、一言も言っていません。

  しかし、開会式に雨が降るかどうかについて言っていました。これがなんともおかしなもので、「我々は雨を降らす研究や、雲を散らす研究を長年研究してきたが、みなさんもご存知のように、台風や大雨が押し寄せてきた場合、雨が会場に来る前に雨を全部降らせてしまうことは、とてもできないのです。技術はあるが、効果は限定的なのです」 と 今更のように本当のことを言っていました。主席気象専門家の発言はここ

  中国では人工降雨に成功した話が良く新聞に載ります。以前からオリンピック開会式で、雨が降らないように、雨をコントロールするとかいうニュースも、よく新聞で見ました。それに気象局がオリンピックの為に7年も準備したと言うなら、雨のコントロールが出来そうなものですが、結論は、極めて常識的な「できない」ということを発表したのです。

  今この時期に、その「できない」という常識的な結論を発表しておかなければ、あとで責任問題になると思ったのかもしません。それで今になって、本当の事を告白しておいたのでしょう。 

  気象局のオリンピックに向けての発表で、他の発表には、「暴風雨の可能性は極めて少ない、当日に雨が降る可能性は40% とチョッとだ」と発表していました。

  当日暴風雨の可能性が極めて少ない、とは、ごくごく当たり前のことで、そんなことは発表しなくてもいいと思うのですが、その次の、当日雨が降る確立は40%?
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  問題なのは当日に、ではなくて開会式の2、3時間に、どの位雨が降るのか? のはずです。対象の時間を長く取れば、確率的には雨が降る確率は当然増えます。オリンピック期間中に、であれば100%の確率で雨が降るでしょう。問題の開会式の2、3時間に雨が降る確率はどれくらいなのか? それは発表していないのです。確率を計算すれば、40%の3分の1には下がるでしょう。しかし、その数字を言わないで、当日40%と言っているのは、降水確率40%であるから開会式に雨が降っても当然。もし開会式に雨が降っても、気象局に文句を言わない頂戴ね、と言っているように思うのですが。これが中国式レトリックかもしれません。

  いやぁ〜、新聞記者への発表も奥が深いです。