疑惑の街・安徽省阜陽市・奇怪な手足口病
(2008年5月8日)


  これは全くの個人的な感想であるが、安徽省阜陽市の手足口病は怪しい気がする。怪しい気がするだけではなくて、ちゃんと根拠もある。病気のことに限らず、安徽省阜陽市は怪しいことが多い街なのである。

  まず手足口病にについてだが、時々駐中国の日本大使館から注意を促すメールがくる。今回は中国で今流行っている手足口病についてであった。メールの内容は手足口病が流行っているから注意してください、しかし、重篤となる病気ではないとも書かれていた。そして国立感染症研究所のページにリンクしていて、手足口病についての情報も詳細に読むることができた

  それによると「HFMは基本的にはポピュラーな軽症の疾患である。目下のところこれらの重症合併症の発生は稀なことであり、HFMになったすべての患者に厳重な警戒を呼びかける必要はないと思われる。」と書かれている。

  一方中国の手足口病であるが5月6日の発表では全国で26名の死亡者(幼児だけらしい)が出ていて安徽省だけでは22名出ている。安徽省だけの統計では、すでに治った手足口病患者は3000名以上であるが、そのうち重症・危篤になった患者は104例もあったとしている。

  これは日本で言う手足口病の症状とあまりにかけ離れている。阜陽市の死亡例では、ほとんどが肺炎に似ている症状が出て死亡しているらしい。そして阜陽市の手足口病のビールスはEV71と特定されている。しかし日本のは、上の頁で見る限り、この病気は、夏風程度であって、重症患者がそんなに出る病気ではないらしい。さらに日本のEV71の場合、「まれに髄膜炎の合併があり」とは書かれていたが、呼吸器系の合併症はほとんど起さないらしい。

  私の個人の意見であるが、中国の手足口病は、日本の夏風程度の手足口病とは違うのではないだろうか。呼吸器系の重症の合併症を起こすのは、EV71とは別のビールスなのではないのだろうか? 上のページをよく読んで、中国の症状を読んで比較してみれば、十分に疑わしい。

  第一発見者の劉暁琳小児科主任も言っているが、最初の三つの死亡例は急性の肺水腫を起こして、右心房が衰弱して死亡している。これは、肺水腫を起こさない一般の肺炎とは違っていて、通常の肺炎では左心房が衰弱するのだそうである。劉暁琳医師は中国の手足口病の症例も調べたらしいが、それは発疹があり、重症の患者は脳炎であった。これは日本の手足口病と似ている。しかし阜陽市のは発疹が起こらなくて、肺炎のような症状で死亡している。つまり阜陽市のは中国国内の他の地区の手足口病とも似ていない。

  私は医学の知識があるわけではないが、中国の医療とか防疫の体制を見れば、やはり怪しさを感じる。劉暁琳医師がこの病気は普通ではないと気が付いたのは3月28日のことであるが、省の衛生庁には3月31日に報告された。しかし省の衛生庁から三度専門家が派遣されたが、原因が解らずついに国の衛生部に応援を求めて、国の衛生部から専門化が派遣され、やっと4月23日になってEV71ビールスによる手足口病だと確定されたのである。

  それまでの間に、病人はどんどん増え、死者も出たが、市や省からの適切な指導や情報が無く、そのため“幼稚園で「怪病」が流行っている”という噂がメールで駆けめぐり、阜陽市全域が噂とデマで覆われたのだとか。そういう噂に市は気が付いても、市からはたいした情報は無く、噂はますます捻じ曲がって伝わり、子供のSARSではないかとかことまでになってしまった。

  僅かに4月15日に市からの情報で、呼吸道感染症の重症患者で数例の死亡例があるが、伝染はしないと言う情報を流したらしい(感染症なんだから感染するのではないかと思うのだが)。しかし実際はかなりの幼児が死亡しているようであり、幼稚園の入り口には、手足口病(病気の名前が呼吸道感染症ではない)の予防法の張り紙があって、矛盾だらけで、市政府の言うことは信用されなくなってしまった。

  ある幼稚園では子供が急死してしまった親から賠償を求められて(死亡した翌日に賠償を求められた)、幼稚園はことの重大さに、初めて気が付き慌てて対策を立てたりした。そしてついに国の衛生部と、世界衛生組織からのお墨付きをもらって手足口病といいうことになったのだが、そのころには、小児科の専門病院では、手足口病の患者で廊下まで溢れかえり、医療関係者は怒った親たちに囲まれて、怒鳴り声が鳴り響く状態にまでになってしまった。

  以上が安徽省阜陽市の手足口病のは話なのであるが、本当に手足口病から肺炎の様な合併症が起こり、手足口病は死亡率が高くて危険な病気なんだろうか。肺炎を起こす呼吸道感染症と手足口病とは別の病気ではないのだろうか。別の病気ではないとすれば、日本の国立感染症研究所では手足口病が危険なことに気が付いていないらしい。日本の国立感染症研究所は日本の医療のためにも、情報を集める必要があるのではないだろうか? それとも阜陽市のは、手足口病と別の病気が混ざって一度に流行しているのだろうか? とにかく阜陽市の手足口病は怪しいと思うのだが。

  実は安徽省阜陽市が怪しいのはこの件だけではなく、数々の怪しい事件が起きていて、「妖魔化都市阜陽」とまで言われているのである。中国で一番イメージの悪い街かもしれない。それで、市の第一書記はマスコミに阜陽を妖魔化都市と呼ばないでほしいと訴えている。

  その怪しい数々の事件の、最初の事件とも言える4年前の偽粉ミルク事件の発見者も、前出の劉暁琳医師であった。偽粉ミルクを飲ませ続けたので、大頭の子供になってしまった事件である。

  そしてつい最近の最も怪しい事件は、阜陽市の不正を通報した人物が、かえって自分が逮捕され、留置所で首吊り自殺死体で発見された事件である。その自殺が不自然であり、体に痣があったから、何かが密かに行われたと疑えるのだが、未だに未解決である。そもそも阜陽市の不正と言うのは、阜陽市にホワイトハウスソックリの、それよりも豪華とも言える建物を不正な手段で作ったことであって、これ自体も阜陽市が妖魔化都市といわれる所以である。阜陽市の空は疑惑の黒い雲で覆われているようである

  その冤罪事件の自殺事件は、正しく調査され、適正な法によって裁かれるのだろうか? それは殆ど期待できない。何故なら、阜陽市が妖魔化都市といわれる理由の一つには、汚職が多いことも含まれているのである。汚職が多いことは、中国では警察も裁判官も例外ではないのである。阜陽市は、中国で一番ダーティーな都市かもしれない。

  衛生医療関係では集団売血で村がエイズ村になってしまった事件も起きている。

  上手く纏める事ができれば、阜陽市の怪しい事件の数々を続けて書いてみます。