中国のではなくて、日本の弁当について(11月20日)


  最近、私は会社に弁当を持って行くようになりました。それは自分で作った料理の方が、昼に食べる会社の食堂の料理なんかより美味しいからです。中国味より日本味の方が美味しく感じるという事ですが、弁当をもって行くようになったのは、もう一つきっかけがありました。それは弁当箱にするに相応しいプラスチックの箱が見付かったからです。そうです。中国にはまっとうな弁当箱は無いのです。箱はあります。ありますが、仕切りが無いのです。仕切りが無い弁当箱は料理が混ざるのです、それは日本式の料理にはチョッと相応しくないと思います。卵焼きとカレーライスが混ざってしまったら、困ると思います。しかし中国料理の場合混ざっても困らないのかもしれません。実際に会社の食堂の料理では、数種類の料理が混ざってしまいますが、混ざってしまっても何の違和感のない料理なんです。

  とにかく、最近弁当を持っていくようになりました。すると、会社の女性にいろいろ聞かれました。

女性、 昼ご飯を持ってきたのね。
わたし、昼ご飯じゃないよ、弁当だよ。
女性、 それは昼ご飯でしょう。
わたし、日本語では、昼ご飯を持て来たなんて言わないよ。
     弁当を持ってきたと言うんだよ。
女性、 弁当って、知っていますよ、簡単な食事のことでしょう。
わたし、弁当って、簡単じゃないよ。わたしのは簡単だけど。
女性、 知っていますよ、「便當の小生」が持ってくるのが弁当でしょう。
     あれは簡単な食事ですよ。
解説、 「便當の小生」という弁当屋がいて、注文すると昼に会社に
     持ってきてくれる。運んでくる自転車には「便當の小生」と
     日本語のように書いてある。「の」の字もそのまま。
     「便當」は日本語の発音に近いので日本からの外来語だろう。
わたし、弁当には豪華な物もあるよ。それに弁当とは、特別の言葉で、
     弁当箱と言う弁当専用の箱があるんだよ。
女性、 中国にも弁当と同じ言葉がありますよ、それに弁当箱も
     あるし・・・・
わたし、いや、チョッとちがうんだなぁー、中国語では箱に入れたご飯。
     弁当箱は、ご飯を入れる箱でしょう。
 
     日本の弁当箱は中国のと違って、仕切りがちゃんとあって、
     こっちの料理とあっちの料理が決してごちゃごちゃにならないように
     なっているんです。中国のはごちゃごちゃになるでしょう。

     日本には弁当の作り方の本がたくさんあるんだよ。
     中国にはそんな本ある? わたしは見たことないけど。

     それにさぁー、日本のデパートの地下に行くと、綺麗で美味しそうな
     弁当が並べてあって、 日本の弁当は見た目にも綺麗で・・・

     しかし、中国のは、あっちとこっちの料理が混ざっても
     何の問題も無いような料理ばかりで、それが実際に混ざって
     しまって・・・・・  なんか日本のとはちがうんだなぁー

     それに日本の弁当には愛情も入っているんだ。奥さんが作って
     くれた弁当は「愛妻弁当」と言うんだ。

  と、日本の弁当について、熱く語るわたしでした。

  ところで、日本の弁当は日本が誇る食文化でもあるんですが、この日本の弁当の食文化が、日本人と結婚した中国人に、とんでもない災難をもたらすというお話です。この話は中国人と結婚した日本人から聞いたばかりの話なんですが。

  二人の間に子供が出来て、子供が日本人学校に行くようになったので、弁当を持たせなければならなくなりました。その弁当作りが中国人の奥さんにとってはなんとも大変なんだそうです。弁当は綺麗に、見栄えもよく作らなければならないからで、中国人の奥さんには、そんな弁当は作った事も無く、手を抜いて、中国式に簡単にすると、子供たちの厳しいチェックにあるのだとか。別の上海人の奥さんは、奥さんが作らないので、旦那が毎日作ったそうです。上海人の女性は、家事洗濯は男子がするものだと思っているらしいです。別のカップルは、弁当作りも理由の一つで、子供を日本人学校に入れるのをあきらめたそうです。

  弁当は日本の文化と言えども、外国人にとっては、毎日のことなので大変なことらしいです。