観光地になった南鑼鼓巷(11月17日)


  南鑼鼓巷は、最近道がレンガで綺麗に舗装され、胡同の乱雑さが見違えるように綺麗になって、ますます観光地になってきました。私は、外人が訪れるようになって初めて観光地と言えるのではないかと、勝手に思っているのですが。行ってみたら確かに南鑼鼓巷には外国人が大勢来ていました。
   
南鑼鼓巷は中国人より、むしろ外国人向きの観光地かもしれません。何故なら中国人がわいわいがやがや食べるレストランは少なく、外国人が静かにコーヒーを飲むようなところが多いですから。胡同の古い建物を改造して作ったレストランや、コーヒーショップがたくさんできていました。ところで会社の元からの北京人に、南鑼鼓巷を知っているかと聞いてみたら、そんな小さい路地のことなんて、誰も知りませんでした。観光客の方がよく知っているかもしれません。やはり外国人向けか、一部の若者の中国人だけがくるところかもしれません。



南鑼鼓巷は、鼓楼東大街を鼓楼から東に500m位行ったところから始まります。また地安門東大街から北に入っても南鑼鼓巷に入れます。つまり南鑼鼓巷は、鼓楼東大街と地安門東大街の間を南北に走る道です。南鑼鼓巷は、ここをのんびり散歩していると、喫茶店でコーヒー飲みながら一休みするとか、スパゲッティーを食べるためにレストランに入るとか、そんなこともしたくなるところです。日本語の張り紙もありました。

ところで、南鑼鼓巷にはおしゃれなコーヒーショップがあるのですが、そのすぐ横には、観光客には想像すらできない驚くべき生活があることに、多くの観光客は気が付いていないと思います。それは古い四合院がであったところが、大勢の所帯が雑居する「大雑院」になっていることです。狭い空間に大勢の人が、小さい違法建築を作って住み着いているのです。それは道に向かって開いている小さな門の奥の世界です。それがおしゃれなコーヒーショップのすぐ隣にあるのです。

   

その小さな門の中にはなかなか入り難いですが、門の中の上のほうに、電気のメーターが10個も20個も並んでいるところが、別世界への入り口です。この門の奥の狭い空間に、電気のメーターの数だけの所帯の人が、密集して住んでいるのです。このような空間を「大雑院」と言います。「大雑院」の中は文字通り大混乱、大混雑の状態だと思いますが、南鑼鼓巷に向かって開いている「大雑院」の門は、門だけは綺麗に改装されていました。門を綺麗にしたのは、市から強制されたのか、それとも市がお金を出したのか? そんな事もあって、門の奥に「大雑院」があることは、観光客には殆ど分からないでしょう。

南鑼鼓巷は南北の道ですが、南鑼鼓巷から東西に細い路地が何本も伸びています。その路地は胡同と呼ばれ、その胡同の名前はなかなか趣があって、面白い名前があります。例えば黒ゴマ胡同、炒り豆胡同、帽子胡同、蓑衣胡同、綿花胡同、菊胡同とかです。今では「大雑院」になっているところが多いですが、名前からは歴史を感じさせる街です。

大雑院の中では、トイレが無く、今でも暖房や煮炊きには練炭が使われています。初冬の今の時期には、南鑼鼓巷にも、そこから東西に走る胡同にも、練炭売りがリヤカーで練炭を売り歩いていました。