GWの旅―非中国的世界ー鳥葬など

  今年のGWを利用して中国国内の旅行に行ってきたのですが、どこに行ったかを説明するのはなかなか難しいです。場所で言えば甘粛省の蘭州から南下して、甘粛省と四川省の境にある朗木寺に行き、四川省に入ってルーアールガイ大湿原を抜け、黄河の上流である瑪曲に出て、帰りには夏河の近くにある甘加草原に行き、蘭州に戻る旅でした。そこは甘粛省の南ですから“甘南”と言われるところです。そう行っても中国の図で確認して貰わないと分からないと思いますが。

  そしてそこはどんなところなのか? そこは中国らしくないところなのです。漢族も少ないところです。中国のどこにでもあるような、中国式の寺や遺跡なども有りません。ならばそこはチベットとか新疆なのか? 違います。行ったところは甘粛省ですからチベットではありません。しかしチベット族がいる高原なのです。甘粛省の“甘南”はチベットから続く青藏高原の東南の端に位置するところなのです。



  “甘南”は殆どが3000m以上の高地からなり、地形的には山地や草原がほとんどです。山と言っても富士山の中腹より高いですから木が有りません。見渡す限り低い草の草原です。そこにヤクがいたり、羊、山羊などが放牧さている風景が、行けども行けども続いていました。意外なことに小型の黒豚も放牧されていました。その辺りの特産だそうです。そこには主にチベット族が住んでいて、チベット族と切り離せないヤクがいて、祈りの印であるタルチョがあったりして、チベットではないんですが、雰囲気はチベットに良く似たところです。だから中国的ではない、チベット族地帯と言ってもいいところです。そしてチベット族地帯は空気が薄いのです。高山病にはなりませんでしたが、ホテルの階段を上っただけで息が切れました。

  そこには高原の雄大な風景が広がっているのですが、その中をバスとかかタクシーで6日間走り回りました。もっと正確に言えばそのうちの2日はチョッと標高が低いところで、回族が住んでいるところですから、回族地帯を走ったと言った方がいいかもしれません。更に北京から蘭州まで飛行機で往復二日掛かりますから、合計8日間の旅でした。

  “甘南”の一番奥のあたりには何があったか? 例えば郎木寺には鳥葬がありました。ルーアールガイ大湿原には花湖と言われる静かな湖があり、そこでは渡り鳥が浅い水辺の中の餌を漁っていました。真っ平らな湿地は中国第二の大湿原だそうです。更に瑪曲に行くと、普通は東に流れるはずの黄河が、大湾曲して西に向かって流れている黄河がありました。高原の草原を蛇行して流れている黄河の上流です。

  瑪曲から戻ってくる途中の夏河では、夏河の近くの甘加草原に、八角城という漢代にできた砦がありました。漢代といえば相当古いです。その砦の廃墟の中にチベット族と漢族の農民が住んでいました。今回の旅の中で中華らしい中華と言えば、この遺跡だけだったかもしれません。あとは中華民族ではない異民族の世界です。もっとも出発点の蘭州は古くから中華の世界です。

  蘭州は中華の世界ですが、蘭州から“甘南”に行く途中も、中華の世界ではありません。“甘南”に行く途中の村村には、モスクの尖塔がたくさん聳えています。そして男性は回族の白い帽子を、女性はスカーフのようなものを被っています。その辺りは回族の世界なのです。そうして“甘南”の高地に至るとチベット族の世界になるのです。

  旅の出発点である蘭州では、中華の母なる河、黄河の濁流が流れていますが、“甘南”の一番奥である瑪曲にも黄河の上流が流れています。そもそも瑪曲はマーチュイと読み、チベット語で黄河のことだそうで、瑪曲にはチベット語の黄河が流れていて、中華の世界ではないところなのです。瑪曲はチベット犬でも有名なところらしく、チベット犬をたくさん見ました。金持ちに見えたかもしれない旅行者の私達にも、買わないかなんて言われましたが。当然買いませんでした。

  まず鳥葬に付いて書きたいと思いますが、甘粛省と四川省のちょうど境に郎木寺と言う小さい町がありますが、そこには・・・・・・  

  まだ書き掛けです。続きが有ります。