旅先でのばかばかしいお話

  雲南を旅行してきたのですが、やはり地方に行くとばかばかしいようなお話があるものですね。話と言うのはあまり品の無い話なんですが。羅平というところに菜の花を見に行った時の話です。菜の花が満開でとても綺麗でした。羅平は小さい町で、そこに、菜の花を見ようとしてその時期だけに人が大勢集まるので、ホテルが不足して空いている部屋を探すのに不安になりました。幸い三軒目でデラックスルームが一つだけ空いていると言うのでそれにしました。デラックスルームと言っても田舎の町のホテルですから高くなかった(3000円)です。しかしデラックスルームですから、ベットルームの他に別の部屋がついていました。そこで見たばかばかしいテレビの話です。

  羅平は小さい町で、そこのテレビ局の番組を見たのですが、そんな街のテレビ局ですから本当に小さな零細局なんでしょう。そこで健康知識のような番組をやっていましました。司会者が、識者とか専門家にインタービューするような形式の番組です。専門家の一人は市で一番大きい病院の中西結合病院の女院長でした。そこが1番大きい病院と推測したのは、市の中心にある長距離バスのターミナルの前に、その病院があるのを見たからです。「中西結合」とは漢方と西洋医学を結合したと言う意味です。内容はセックスの健康相談のような番組のように思えましたが、後で考えてみると健康相談を装った病院の宣伝番組だったかもしれません。しかし宣伝にしては長々とやっていました。

  回答者である女院長ともう一人の女性も、性医学会会員と言う肩書きがありました。その二人が交互に解説するには、結婚が上手くいかない原因の殆どは、小さい為だと言っていました。離婚の原因の80%は小さいのが原因で上手くいかないのだとも断言していました。顔を黒眼鏡で隠した中年女性が登場して、結婚生活が上手くいかないので、離婚しなければならない、その理由は相手のが小さいためだと、最後には涙を流して泣き崩れていました。

  二人の回答者が言うには、相手がそういう状態では確かに問題がある、そうであればきっと快感が不足する・・・・・・   とかかなんとか、書くのもはばかられるようなことを、真面目な顔をして堂々と解説していました。時刻は夜の9時ぐらいのことです。その時間であれば子供がテレビのそばにいるのではないかなんてことも心配になりました。

  性医学会会員の女院長が、続けて言うのはいい薬があると言うのです。それはアメリカで研究された薬で、太平洋のマリアナで採れるタツノオトシゴを原料にしたもので、これを使えば効果抜群だという解説です。泣き崩れていた女性に対しても、これで離婚しなくても済むはずだと、効果を強調していました。薬の名前までは覚えていませんが、立派な名前が付いていました。原料は海馬と言っていましたからタツノオトシゴに間違いはありません。私は中国語が下手なくせに海馬なる単語は知っていたのです。マリアナという発音も日本語に近かったのでハッキリと聞き取れました。

  これが病院の宣伝だとしても、街一番の病院の院長がこんなことをテレビで言ってもいいものでしょうか。あきれてびっくりしましたからよく見ていました。私が受けた感想は、中国における中央と地方の格差の大きさです。私が住んでいる北京でも、あやしい薬の広告も多いですが、流石にテレビでここまでやることはありません。中央ではこれを虚偽、偽薬の広告と当然認定すると思いますが、雲南のこの地方では、小さいのがタツノオトシゴの薬で治せると言うのですから、ずいぶん乱暴な話です。

  あの性医学会会員でもある女院長は本当に薬の効果を信じているのか、信じてはいなけれども、病院の経営の為に嘘を言っているのか。どちらにしても医者としては失格のはずで、地方には大変な医者がいるもだと思いました。

  ある人にテレビで見た話をしたら、中国では性に対して大らかで、開放的なのでそういうテレビがあるのだろうとう事を言っていましたが、大らかであるのは、あのような妄言を言っていても、病院の院長でいられるという大らかさの方にびっくりです。中国には虚偽の広告を取り締まる法律もあります。それなのに地方ではその法律で取り締まらない大らかさ、そんな広告だか健康知識をすんなりとテレビで流してしまう大らかさ、子供がテレビを見る時間に、こんな話をする大らかさ、羅平の町がこんなにも大らかなのは、町の周りが菜の花ばかりの田舎の町だからなのでしょうか。それともこういうことを直ぐ信じてしま人が多いからなのでしょうか。

  もう一つのお話もホテルでのことで、昆明でのことでした。昆明で泊まったホテルは羅平よりはずっといい四つ星のホテルでした。四つ星ですから、無料でいろいろなものが置いてあります。バスルームには妊娠を防ぐ為のものも置いてありました。しかしこれの本当の目的はエイズ防止の為かもしれません。ここまでホテルがサービスしてくれるのを見たのは初めてでした。これは昆明ならではのサービスかなと思いましたが、最近見たニュースでは、淅江省ではホテルにこれを置くことが義務付けられたとのことです。このサービスはばかばかしいのではなくて、案外深刻な問題なのかもしれません。特に雲南だからかもしれません。

  ばかばかしいのはそれではなく、有料で小さいビンに入っている、スプレー式の液体でした。これは何に使うものか、箱を取り上げて説明を読んでみました。どうモこれはことを行う前に、消毒の為に吹き付けるもののようでした。これもなんかばかばかしいことのように思えました。しかしよく考えれば昆明あたりでは、案外理に叶っていると思われているのかもしれません。まさかこれでエイズが防止できるとは思えませんが。

  これが何の目的で使われるのか、何故直ぐわかったかというと、昆明留学の女子学生のブログの中に、この事が出てきたので覚えていたのです。その留学生が何故そんな話を知っているか不思議なのですが、そのブログに拠れば昆明男はこれをよく使うと書いてあったように思います。

  現物を始めて見ましたが、昆明では事の前に、お互いに吹き付けて消毒し合うものなんでしょうか。これって滑稽に思えないでしょうか。普通は洗えば清潔になると思うのですが。

  こんなことを日記に書くほうもばかばかしいですね。ほんとに。