今日の昼はスパゲッティーボロネーゼ

  今日のお昼は、会社の前の五つ星ホテルに行って、スパゲッティーボロネーゼ゙を食べてきた。今日そこに行ったのは中国の旧正月前なので会社の食堂が休みになってしまったからである。スパゲッティーは中国のことであるから茹で過ぎであるが、ミードソースの方は西洋料理のスパイスが効いていて美味しかった。しかしこの文章の趣旨は味についてではなくて、値段の方である。値段は40元で、更に税金かサービス料が付いて46元になったから日本円で700円くらいになる。日本で食べる値段としては高くないが、中国の昼食にしてはとても高い。

  そのホテルで珈琲も飲みたかったが、高いので頼まなかった。私がいる会社の辺りは、外国人は殆どいなくて、スパゲッティーが食べられるところなども殆ど無いが、会社の前のホテルには好きなスパゲッティーがある。それでたまにはそれを食べるのだが、やはり値段が高い。中国人の社員にどこで食事をしてきたかと聞かれ、46元の「イタリー麺」を食べてきたと言うと、高いのでびっくりするだろう。

  それなら普段は幾らぐらいのものをどこで食べているかと言うと、会社があるビルの地下にある社員食堂で10元(150円)の定食を食べることが多い。その料理はどんな物であるかについては以前書いたので、再びは書かないが、数種類のおかずが付くが、それらを全部混ぜ合わせても、何の違和感も無いという中国料理なのである。当然ホテルのスパゲッティーの方がずっと口に合う。

 他には弁当屋に弁当も頼める。会社の部屋まで持ってきてくれる。これも時々食べるが、6元(100円)で安いのだが、やはり地下の食堂と同じ系統の料理だから美味しくない。

  それでおかずだけを家から持ってきて、ご飯は人から貰って食べることも度々ある。これだと料理の材料費は別としてただである。しかし安いからこういう方法で昼飯を食べているのではない。自分で作った料理の方が確実に美味しいからである。私の料理の腕が良いと言うより日本の味だから私にとっては美味しいのである。大分が日本の醤油で煮た煮物で、砂糖と出汁の素など使うから日本料理風になる。

  ここで、何故ご飯をただで貰うかについて書いておくと、これは決してけちでそうしているのではない。弁当を持ってきて貰うと、マントウをただでサービスする弁当屋がある。そして中国人の中にはご飯より餡の無いマントウの方が好きという人がいる。そう言う人に、「今日はご飯をちょうだい」と頼むのである。「ご飯をちょうだい」と言ってただで貰うのは乞食みたいで嫌なので、ご飯の代金は1元くらいに相当するので、「1元、あげる」と言うのだが、それを受け取らないのでただになる。

  実はご飯をただで貰ってばかりいるわけではなく、他の人におかずをあげることもある。家で料理を作るのだが、一人分の食事と言うのはほんの僅かで足りてしまう。しかし料理を作ると、どうしてもたくさん出来てしまうというか、作ってしまうと言うか、とにかく料理の量が多いので、時々は会社に持って行ってみんなで食べるのである。作るものは私が食べたいものだから、煮物とかカレーライス程度だが、これが結構評判が良い(と思う)。普段はダイエットで昼飯を抜いている小太りの人事課長(女性)が、私がおかずを持って行く時は食べるので、やはり美味しいのだと思う。

  日本料理の味と中国料理の味とは全く違う。作り方も全く違う。そんなことは当たり前なのだが、中国の炒め料理と日本の煮物料理を並べてみると、自分では全く別のものもだと思える。それは醤油が違う。出汁が違う。材料も違う。ジャガイモ、人参、シイタケあたりは同じだが、レンコン、里芋になると、あまりこちらでは食べない。よく煮物に使うイカ、ブリとかシャケの頭、ちくわ、ハンペンなどになると、こちらの人に取っては珍しいものである。北京では珍しいものであるからは値段も高いのである。だからけちでご飯をただで貰っているわけではないことは分かっていただけると思う。高いと言ってもホテルのスパゲッティーほどの値段にはならない。

  会社には自分で弁当を作って持って来る人もいる。たまにではあるが私も弁当(ご飯とおかず)を持っていくこともある。冷凍しておいた炊き込み御飯を前日の晩から解凍しておいて持って行き、冬の季節の今は、会社の湯沸し器の上に弁当を載せておくと、ちょうど温まって食べごろになる。私はご飯とおかずは別の容器で持っていくが、こちらの人の弁当というのは、容器の中でご飯とおかずが、ごちゃごちゃになっていて、見るからに美味しそうではない。こちらにはお洒落な弁当箱なんて無いのである。弁当とか弁当箱の伝統が無いからなのだろう。これは前に書いた事であるが、よく見てみるとこちらには箸箱と言うのも無い。そう言えば弁当屋の弁当の容器も白い発泡スチロールでなんともお粗末である。

  お昼に皆で食事する時、中国らしいと思えたのは、女性達はお互いの弁当箱を突っつきあって弁当を食べることである。これは大皿を皆で突っついて食べる中国料理の伝統からくるのかもしれない。そして同じ釜の飯を食うというい親しさの現われかもしれないが、日本人はあまりやらない行為である。

  他の昼食のパターンはたまには会社の外に出て外食することもある。それはマクドナルドやケッタッキ-フライドチキンに行くこともあるが、多くは安い新疆料理に行く。シシカバブー四本と腰がある新疆の麺をたのんで10元である。路地裏の汚い店であるが、味は私の口に合う。何故かと言うと新疆の麺はトマトソース味のスープの無い麺で、スパゲッティーの味と似ていなくもない。硬さはかなり硬く、会社の前のホテルのスパゲッティーよりはずっと硬い。それも気に入っている理由である。

  実はお昼の食事はいつも安いものばかりではない。日本からお客が来るからその時は高い中国料理レストランで食事する。これは食堂の料理よりは数段美味しいが、自分で作った日本料理よりは劣る。でも自分で作る料理というのは、種類が少ないので、それがよくない。接待用の中国料理は種類をたくさん注文するから、中には美味しいものもある。これは交際費で食べる。

  交際費で思い出したが、会社の前のホテルは5星でレストランも高いのだが、結構そこで食事を人がいる。誰がここで食事をするのだろうと観察してみると、どうも近くの政府系の会社の社員や公務員ではなかろうか。この近くには水利局などの政府の機関や電力会社などがある。だから大勢人を集めた会議などが多い。それだけでなく何かにかこつけて、交際費で高いレストランで昼食を楽しんでいるようにも見える。確たる証拠は無いが、そう言っている人は結構いる。中国の国営系の会社などでは、結構お手盛りの宴会なども多いらしい。ただで中国人の口に合う中国料理を食べられる人は幸せである。私の場合はただでも中国料理ばかりだと困るのである。