中国紹介の記事にちょっと異議あり
(06年11月21日)

  まず下の記事を読んで頂きたい。
http://www.nikkei.co.jp/china/special3/20061013cg9ad000_13.html

  この中で、【中国でデートする】という題で、北京なら什刹海が良いと紹介しているのだが、その中に《人前で手をつないでも違和感はないのだろうか? デート代はどう分担するのか? 手をつないで歩くことは、「長い間、見苦しいことと思われてきたが、若い世代は臆することなくやっている」(近ツー)という。ただし、ベタベタは見苦しい。日本ではないことをくれぐれもお忘れなく。一方、デート代は男性が支払うのが一般的。「絶対に割り勘!」と意固地になるのは避けたいものだ》とある。

  デートコースの紹介で、《いよいよデートの始まり。北京では王府井で買い物を楽しみ、什刹海(シーシャンハイ)の夜景で決めるのが『定番』という》のは、確かにデートコースとして相応しいと思う。但し《人前で手をつないでも違和感はないのだろうか?》のあたりの文章に何か違和感を感じる。

  日本人は人前で手をつなぐことは少ないかもしれないが、日本でそれをしても何も問題が無いはずである。それが北京に来たとき、北京でそのまま実行して何が違和感になるのだろう。パリに旅行に行っても、手をつないではまずいことはないだろう。それなのに中国だと何故心配になるのだろう。中国が共産党の国だからだろうか。中国で紅衛兵が騒いでいた頃のことが頭にあるからなのだろうか。それとも中国が儒教の国だからと考えているからなのだろうか。まさかイスラム教の戒律が厳しい国と間違えているわけではあるまい。手つなぎに対して心配する理由がどうしても分からない。

  中国が北朝鮮のような国ならば、そこで手をつないだら、警察に捕まるのではないかと恐れるのも一理ある。情報が閉鎖されればそう言う誤解も生じる。しかし北京の情報は良く見てみれば分かるはずである。中国の《若い世代は臆することなくやっている》の、やっていることは手つなぎのことを言っているのだろうか。手つなぎだったら、じいさんばあさんもやっている。それどころか中国では男同士でも仲良く手をつないで歩いている。人民解放軍らしき人が手をつないでいるのを見たことさえある。それに北京の若い世代が臆することなくやっているのは、手つなぎどころではないのである。

  それから《ベタベタは見苦しい》とある。確かにベタベタは日本人からすると見苦しい。しかし日本人というのは、夜になって見えないところで何をやっているか分からないが、明るいところでは、言われなくてもベタベタしないものなのである。中国人と日本人とどちらがベタベタしたがるのかよく観察してほしい。だからベタベタしないようになんって、日本人に言う必要は全く無いはずである。中国は戒律が厳しいイスラム回教国ではないのである。

  アラブの国への旅行なら注意が必要なのかもしれないけれど、《日本ではないことをくれぐれもお忘れなく》と言う部分もちょっと引っ掛かる。日本と中国とフランスと比較した場合、中国は特別な国だとでも言いたいのだろうか。中国は日本ではないことは確かであるが、そこを何の為に強調するのか意味が分からない。

  もし日本人が北京に来て、仮に日本ではしないベタベタをやったとしても、それが見苦しいと思うのは日本人であって中国人ではない。だから日本人にアドバイスするなら、日本人の前ではベタベタしないように! と言えばいいのである。ベタベタは見苦しいとこの記事を書いた人は、あまり北京の街中のことを知らないらしい。日本人の感覚からすると、中国人は日本人よりずっとはしたないのである。人目につくバス亭のそばで恋人同士が固く抱き合って動かないでいる。多分愛を確かめ合っているのだろうけれど、日本の習慣とは明らかに違ってベタベタしていて、はしたない。中国人は日本人よりずっとベタベタなのである。

  日本人ならそうしたくなったら、木陰に行ってするようなことを、バス亭でとかバスの中と地下鉄の中とかでやっている。大抵の込んでいるバスや地下鉄の中では、男の膝の上に女が座っている。中には女性がうっとりとしているのもいる。バスの騒音と振動の中でもロマンチックな気分に浸れるものらしい。彼らは、人も騒音も含めて、周りのことを全く気にしないで自分達の世界に浸ることが可能らしい。このことに関しては確かに中国人は周りの人も、そのことをあまり気にしない。こんな環境だから日本人がチョッと羽目をはずしたって、何の問題も無いのである。しかし喧嘩は別である。喧嘩すると好奇心が強い人達がわらわらと集まって来る。酔っ払いなんかも日本より目立ってしまう。女の酔っ払いに付いて《日本ではないことをくれぐれもお忘れなく》と言っているなら忠告は合っているのだけれど。

  そもそも、この記事のデートと言うのは日本人同士のなのだろうか、それとも中国人とのデートを言っているのだろうか。もしかしたら中国人とデートするときの注意を言っているのかもしれない。あなたは日本人なのだから、中国人に引きずられてベタベタし過ぎると日本人のからみると、みっともないですよという忠告なら分かる。そう言えば《デート代はどう分担するのか?》と言う部分もおかしい。この問題は日本人同士なら北京に来たからといって、改めて迷う必要もない。日本での方法と同じようにすればいいはずである。だからこれは中国人とデートする時の心配なのであろう。この記事の前に中国人とデーする場合と書いておいてくれれば、疑問が湧いてこなかったのだけれど。中国人とのデートの話だったら、デートコースの紹介の前に、相手を見つける方法を紹介しておいてほしいものである。