旅行者の皆さん、中国料理は美味しくないですよ、用心してください

  勿論、全ての中国料理が美味しくないわけではありません。美味しいものもあるし不味いものもあります。でも中国に初めて旅行にきて、中国料理はこんなものなのかとビックリした人も多いと思います。先日、ある日本人と什刹海の辺りを散歩して、それから四川飯店と言うレストランに入りました。そこに日本人の旅行者がいて、四川料理を食べていましたが、ビックリしてあきれていました。

  什刹海の辺りは観光地ですらこの辺りの胡同巡りをしたあと、四川飯店で食事すると言うコースがあるのでしょう。そこの客は3分の2くらいが日本人でした。私達の周りに二組の日本人がいたのですが、どちらの組もマーボ豆腐の辛さにビックリしていました。私達はあの痺れる辛さを食べてみようという確信を持ってそこに入ったのですが、旅行者の日本人達は辛くて食べられないようでした。そうなんです本場の四川料理のマーボ豆腐は日本のマーボ豆腐とは味が違って痺れるのです。四川料理といえばマーボ豆腐ですから、ガイドもその料理を奨めたのでしょう。

  いずれの旅行者もガイドがいましたら、ガイドがここに連れてきたのでしょう。場所的にも、暗い胡同(北京の路地)の奥にありますから、初めての日本人ではとても来られないところです。

  日本人の旅行者も、中国のマーボ豆腐が凄いものだなんてことを知らないから食べたにきたのでしょうが、ガイドもガイドです。中国のマーボ豆腐は日本のマーボ豆腐と違って、とても辛くて痺れるんですよ、とか教えられないものでしょうか。ガイドにはそんな知識が無いと言われるかもしれませんが、そんなことはないでしょう。ガイドの目の前で、辛くて食べられないなんて言っているのですから。それに殆どマーボ豆腐を残しているのですから分かるはずです。或るガイドはこのマーボ豆腐を食べないと罰金として三倍の料金を取るなんて冗談を言って脅していました。ツアー客を脅してどうするつもりなんだと言いたいです。

  実は私たちは、昼にもマーボ豆腐を食べて、このマーボ豆腐は痺れないなぁ〜、なんて言って、夜は本格的な四川料理に挑戦したんです。昼に食べたマーボ豆腐というのは日本人がよく行く店の料理でした。昼間、万里の長城見物に行ったのですが、長城と北京の中間にツアー客が利用する食堂があって、そこは日本人のツアー客がたくさん立ち寄るせいか、日本人も食べられるマーボ豆腐でした。痺れませんでした。

  夜、本格マーボ豆腐に挑戦したのは私が言い出したのではなく、別の日本人が提案したのですが、その人は痺れるマーボ豆腐好きだからだし、私も久しぶりだから食べて見ようかと思ったのです。しかし私には目から汗が噴出し、やはり食べられませんでした。口の中がおかしくなって、他の料理の味が分からなくなってしまいました。

  旅行者の方で、中国のマーボ豆腐も、日本と名前が同じだから味も同じだろうなんて、見くびって安心している人いませんか。私もインスタントのマーボ豆腐の素などを使って、マーボ豆腐を作るんですが、中国のものとは味が全く違いますよ。

  私の意見は、日本人をガイドするガイドたる者は、日本人にとって、中国のマーボ豆腐は決して美味しいものではというくらいの知識は持ってほしいということです。せめて中国のマーボ豆腐は日本のと違って痺れますよ、くらいのことは言ってほしいものです。そうすれば注文しないかもしれないし、注文したとしても予備知識がありますから、あまり驚かないもしれません。自分達が好きだから、日本人も好きだろうとか、四川料理は有名だから、マーボ豆腐を食べるべきだなんて考え方は間違っています。

  四川飯店もそうです。もっと考えるべきです。私が辛さを半分に出来ないかと聞いたら出来ないということでした。大体、この店の大部分は日本人なのです。ですから観光客の日本人がいなくなると、7時ごろには誰もいなくってしまいました。ウエイトレスも料理人も食べ残されたマーボ豆腐を見てなんと思わないのでしょうか。食べ残しといえば、一組のご夫婦は量が多すぎるとも言っていました。ここのは二人とか三人とかのセットメニューがあって、そのご夫婦は二人分のを頼んだらしいです。このメニューは日本人のためのサービスとして考えたのではないかと思われます。それはそれでいいのですが、何せ量が多いのです。中国人は食べ切れないほどの料理が出てくると幸せになれるものなのでしょうか。それとも大食いなのか。中国人が大食いだとしても、四川飯店は日本人がたくさんくる店なんですから、もっと日本人向けのサービスをしてもいいと思うのですが。

  別の上品なご婦人が、ガイドが居ないときに、北京の他においしい料理は無いですかと、私に聞いてきました。北京ダックはおいしいですよと、教えてあげましたが、それは食べる予定があるとのことだったので、羊のしゃぶしゃぶなんかどうですかと、教えてあげました。四川料理ほど有名ではなくても、まだまだ北京においしい料理はたくさんあるのです。とにかく、四川料理が一番美味いなんて中華思想を人に押し付けるのは止めて貰いたいものです。なにせ北京のマーボ豆腐を食べて、口の周りが腫れ上がる人がいるのでから。まあしかし、日本の中華料理と中国の中華料理とは違うものだと、身をもって体験するにはいい経験かもしれません。とにかく、マーボ豆腐は初めて北京に来た日本人をビックリさせる為の料理ですね。ガイドにすればおしい料理店に案内してあげたつもりなんでしょうが。