中国は大変なことになっているのだ

  中国の大変なこととは、共産党幹部の汚職が多いとか、都市と農村の貧富の差が拡大しているとか、大気汚染が進行しているとか、急速に老人国家になるとか、そういったことではない。そのことも大変なことだけれども、大量の中国人男性が一生結婚できないことになるのである。119.92 という数字がある。これは2000年の人口調査で、女の子が100人生まれるのに対して、男の子が119.92人も生まれていると言う数値なのである。圧倒的な嫁不足になりつつあるのである。皆さんはこのことを知ってるでしょうか。

  日中の交流は今後ますます盛んになると思われる。すると日本人が中国人を嫁さんに貰うなんてケースがもっと多くなるかもしれない。これは中国人男性から見れば、ある種の日本人男性による中国侵略、略奪ではないかと言う議論が出てくる恐れもある。

  さらに中国人は金持ちになると必ず愛人を持つという。これは会社の中国人女性に聞いた話である。複数の女性に聞いてみたが、全員がその話は本当だと保証してくれた。また新聞記事で見た話によれば、中国の役人で汚職を働いた者(大部分は共産党員)の95%は愛人がいたと言う。このことは金持ちまたは成金が、一部の女性を囲い込むことになるので、中国の結婚可能な女性はますます少なくなる。

  上の話は実は冗談である。二つの例によって適齢期の女性がよそに奪われるのは本当だとしても、その数は中国全体から見ればほんの僅かであるから、大勢には殆ど影響が無いはずである。しかし中国全体の嫁不足は凄いことになっていて、2020年前後には2400万人もの男性が結婚できないことになるらしい。東京都の人口の2倍もの男達が結婚できなくてうろうろしていることになる。

  先の119.92と言う数字であるが、出生率の比率の細かな端数まで発表することにどんな意味があるのか、その真意がよく分からないが、とにかく男女の出生率では男の子のほうが20%も多いのである。下の人民日報の記事を参照してください。
    http://opinion.people.com.cn/GB/1036/4589732.html  

  男の子の出生率が20%も多いという数字は、全国平均の数字である。だから平均以上の数値のところが当然あって、省で言うと一番目は海南島の海南省で、135.6にもなる。二番目は広東省で130.3である。アンバランスさはこの様に異常な数字になっている。そうして二番目の広東省については、1982年の調査では110.4、1990年は112.0であったものが、2000年には130.3となり、ますますアンバランスさが増す傾向にある。だから2006年の今はもっと凄い数字になっている可能性がある。もう一つの問題点は都市部と農村との格差で、都市部では男女比が116対100であるものが、農村部では当然高くて122対100である。都市部では男児が女児より16%も多いが、農村部では22%も多のである。更に局地的に見れば150という比率の場所もあるのだとか。いやいやもっと凄い数字を見つけた。峡西省の岐山県の二番目の子供の男女比は253.5対100であるのだとか。
    http://www.lznews.cn/html/2005-03/107871.html

  二番目の子供の出生男女比が何故そうなるのかは、以前書いた日記、「男女判別の為の検査は違反」を参照してください。
    http://www.catv296.ne.jp/~t-homma/dd050702.htm

  何故こんなアンバランスになるかというと、新聞には男尊女卑の観念が理由だと書かれていたりする。これはどうしても男児が欲しいと言うことである。都会より農村部の方が男児の割合が当然高いと書いたが、“当然”というのは農村部の方が男尊女卑の風習が強く残っているからである。しかし実際は男尊女卑の風習のせいばかりにする訳にはいかない。他にも中国ならではの事情がある。中国の農村では殆ど(または全く)社会保障制度が無いから、男の子を作って、老後の面倒を見てもらいたいと言う切実な願いがある。男の子がいなければ、実際問題として自分の老後は、露頭に迷うことになりかねないのである。

  こういった考え方は、北より中国の南の方が強いのではないだろうか。だから海南島とか広東省が、より異常な状態になっている。広東省についての記事では、1985年から2000年までに男子が170万も多く生まれていて、2000年から2020年までには更に男性が291万人も多く生まれる予測がある。従ってバランスをとる為には、他の省から460万もの嫁さんを連れて来なければならないとしている。しかし中国全国で嫁不足であるから、広東省に他省から嫁さんを呼び寄せることなどはできない。ちなみに北京でさえ110.6なのである。

  男尊女卑の観念が理由といっても、観念だけでは男女の出生比がアンバランスになることはない。具体的には女児の胎児の間引きが行われるからである。間引きの前には検査がある。生まれる前に男女の判別をするのである。このことは「男女判別の為の検査は違反」の日記に書いたが、治療目的以外の「男女判別の為の検査は違反」と決められている。にもかかわらず闇でこの検査は行われている。違反であるのに判別検査が行われているのは、どうしても男の子がほしいという強迫観念が、順法精神より凌駕しているからなのだろう。そうして女の子は要らないとして間引きされる。新聞には人流とか薬流とか、無痛流産とかいう広告が踊ってる。人流は人工流産、薬流とは薬物流産のことである。

  おりしも7月15日が世界人口日ということで、“女の子を愛し関心を持とう”というキャンペーンが行われた。つまりは間引きしないようにということであるが、この異常な状態を改善する方法はあるのだろうか。2400万人と言う数は、すでに生まれてしまった数だろう。だから対策は無いのでは? 間引きしないようにと言っても、それは次の世代に対する対策に過ぎない。

  他に疑問点もある。日本の統計と比べると、2000年以降の男女比の統計の数字が無いのは何故なのだろう。また2000年時の調査の数字が120と言う数字のほかに116.9だという数字がある。何故二つも男女比の数字があるのか。中国の統計の数字は正しいのだろうか。もしかした結婚できない男性の数は、ら2400万人よりもっと多いのではないかろうか。とにかく正確では無いにしても、多くの男達が余っていることは事実である。そして東京都の人口の2倍もの男達が結婚できないでいる状態は、社会不安の原因にならないだろうか。この様な状態は、世界でもまれに見る、始めての状態と言えるのではないだろうか。他の国ことながら心配である。

  日本に戻ってみると、勝ち組と負け組みという、組み分けが言われていたが、今後中国では結婚できた組と結婚できなかった組というふうな組み分けが始まるのかもしれない。この組み分けは男子についての組み分けである。