中国の炭鉱事故はどうしても止まらない。本当に止まらない。12月7日の日記に,、このテーマで書いたばかりなのに、その当日にも100人以上の事故が起きていた。河北省唐山市の炭鉱で、現在74名死亡、32名行方不明、だから実際の死亡者は100名を越えるだろう。こんな大きな事故にも関わらず、中央テレビの夜8時(事故発生から一日後)のテレビでは何も伝えていない。11月27日の171名死亡の事故の後では、こんな程度ではニュースにならないのかもしれない。今日のテレビではバクダットの爆発事件の方のことを詳しく伝えていた。

会社の帰り(8日)に夕刊を買ってみたが、こんなに大事故なのに何も書いてなかった。多くの人が死んだ炭鉱の大事故にもかかわらず、慣れてしまってて無関心なのかもしれない。それとも地方の貧しい人達のことだから関係が無いからなのか?

  中央テレビのホームページには流石にこの事故のことは載っているが、タイトルは「国家主席胡錦涛と総理温家宝が、閉じ込められている鉱員を全力をあげて救えと指示を出した」というものであった。ついでに「党と国の幹部は、この問題を高度に重視している」と書き添えてある。

「党が重視している」などと言うことより、まず事故がどうなったのか、どうしてこんなことが度々起こるのか、現在の状況はとかついて書いてもらいのだが、日本の新聞の見出しのつけ方と違うのは、共産党式で仕方がないのかもなのかもしれない。救助員は安全に注意して、二次災害を防ぐようにと、親切な指示が出されていることも伝えていた。事故の事実を伝えるより、総書記の有り難いお言葉を伝えるのが重要らしい。

  ニュースに拠れば、この鉱山は元は国営であって、私営に移管された炭鉱だそうなのだが、まだ基礎建設と称する段階の炭鉱で、生産許可証も安全生産許可書も出されていないのだとか。それにもかかわらず7月から既に一万トンもの生産を果たしてしまって、500名以上の鉱員がいるのだとか。何故こう言うことになるのか、やはり地方までは中央の指示が届かないのか。しかし河北省唐山は北京からそう遠くはないのである。生産許可証が無いのに生産をしている炭鉱とは? 常識では理解出来ない炭鉱のようである。でも中国ではよくあることなのだろう。

  一連の炭鉱事故をニュースを見ていると、中国国家安全生産監督管理総局の局長・李毅中という人は本当に大変らしい。事故の度に事故現場に駆けつけて、ざまざまな対策を指示し、禁止事項も発令している。多分この人は厳寒の黒龍江省(11月27日の事故)から帰ってきたばかりだろうのに、今度は河北省である。

  この局長の指示の中に、坑内に下りた人数を漏れの無いようにハッキリさせろ、というのがあった、これは先の黒龍江省の事故で、坑内に入った人員さえも確定できず杜撰さが暴露されたので、それでこの指示になったのかもしれない。

  他の指示には、、技術資料と鉱主の口座を凍結しろ、鉱山幹部を逃がすな、速やかに鉱内の状況を把握するようにしろ、という指示もあった。

  実は、12月2日に起きた河南省の、私営の炭鉱の出水事故(前の日の日記にも書いたが)では、42名が行方不明になったにも関わらず、鉱主をはじめとする幹部9名が逃げてしまって、坑内の様子が解らず、救出にも支障をきたす状態になった。全くモラルの欠如した経営責任者なのだが、このことがあったので、口座を凍結しろとか、関係者を確保しておけという指示になったのかもしれない。このように中国の鉱山事故は犯罪に発展する。鉱山の責任者が逃げることはよくある。8日現在、8名は既に捕まったが、鉱山主はまだ逃げている。

  中国国家安全生産監督管理総局の局長・李毅中という人は、本当に忙しくて眠る暇もないように見えるくらいニュースによく登場する。その指示の中に度々出てくるのは違法な炭鉱は、直ちに操業を止めろ、ということである。しかし本当に事故を無くすには、違法な炭鉱の操業停止だけに留まらず、正規の炭鉱も操業停止にしなければ、事故は止まらないのではなかろうか。違法ではないように見える炭鉱であっても違法であったり、違法な炭鉱が何時の間にか操業を始めたり、安全を許可した安全監督局の局長が逮捕されてみたりでは、何が安全なのかわからなのではなかろうか。

  でもそんことをすれば、直ちにエネルギー不足に陥る。だから多くの炭鉱の操業停止などできない。そうなると事故は無くならない・・・・

どうしても止まらない炭鉱事故の続き