会社である女性の結婚の写真を見せて貰いました。結婚式の写真ではありません。結婚式は未だなのに結婚の写真はあるのです。それも立派なのが。結婚のアルバムですね。アルバムと言っても今では、デジタル化してパソコンで見えます。そのアルバムの女の主人公が目の前に座っているので、いろいろ聞いてみました。費用は5000元だそうです。給料の二ヶ月分以上でしょうか。アルバムを作るのに気合が入っています。かかった時間は、まるまる一日がかりで、朝の7時半から夕方6時半までかかったそうです。 撮影場所は、スタジオではもちろん、公園にも出かけて、屋外でも撮影したそうです。換えた衣装は純白のウエデングドレスから始まって、清朝のころの衣装から、もっと古い形式の中国服まで6セット。アルバムになっている写真は約50枚でしょうか。

  写真の出来は? 綺麗です。 化粧も専門の美容師がいて素晴らしいです。なんと言っても素晴らしいのは、演出と言うか振り付け(?)と言うのか、それが素晴らしいです。そして出演者の演技がまた素晴らしい。二人はすっかりその気になり、見つめあったり、肩を寄せあったり、うっとりとして目をつぶってみたり、まるで映画のスチール写真を見ているようです。抱擁したり手を繋いだり、二人でたっぷりと愛の世界に浸っていました。二人の将来はバラ色で、愛は永遠に変らないことを確信しているように、一緒に45度くらいの角度で空の彼方を望んだり。小道具もスタジオの背景も、いろいろとシーンを替えて沢山の写真が撮ってありました。

  会社の目の前に座っている女性は、目が大きく鼻が高くて、綺麗なので見栄えがするのですが、それだけで写真の出来が良くなるわけではないようです。その気に成りきって演技するとか、照れないでやるとか、そのあたりが重要なのかもしれません。ラブシーンのような写真を見せてられて、照れてしまったのは私の方で、見せて呉れた女子は、全く照れていませんでした。

  中国人女性と結婚する日本人男性は、必ず結婚写真と言う、この恥ずかしい儀式を通過しなければならないかもしれません。ある、中国人女性と結婚した日本人から聞いた話ですが、羽織はかまと日本刀を持って写真を撮られたそうです。そしてお互いに見詰め合うように言われたそうですが、出来なかったと言っていました。日本人はこう言った場合、どうも駄目なようです。中国人は照れないのかもしれません。日本人から見れば七五三の写真のように見える写真でも、それを照れずに演じるのが中国の結婚写真のようです。

  話を元に戻して、目の前に座っているアルバムのヒロインに、いつ結婚式をしたの? と聞いてみたところ、結婚式はまだで、来年の5月1日のメーデーの頃だとのことでした。しかし、結婚証は貰ったとのことです。最近の中国人の結婚って言うのは、いつのまにか同棲を始めて、後で親戚などが都合がいいときに結婚式を挙げるのが多いようです。そう言えば、先日の中国のゴールデンウイークである国慶節の時は、ホテルは連日結婚式でした。

  ところで、結婚が同棲から始まると言う習慣は、会社の別のおばさんに聞くと、4,5年前はそんなことはなく、結婚式を挙げてから生活を始めるのが普通だったと言うことで、まず同棲というのは最近の傾向のようです。

  そんなことをいろいろ聞いていたら、隣りの独身女性がまだ別の人の結婚のアルバムがあると言うので、それも見せてもらいました。これもデジタル化してあって、パソコンで見えるんですが、こっちの女性は全く見覚えがない。まるで女優みたいなので、誰? と聞くと9階の王さんだというのです。王さんは何時もはメガネをかけている小さい子なのですが、メガネをはずして、メイクをきれいにすると、全く見違えるようになり、それこそまさしく映画の主人公のように見えました。

  王さんは未だ結婚していないと思っていたら、いつのまにか結婚していたようです。中国では結婚しても会社に届ける必要は無い(税金が安くなるなんて税制もない)し、姓も変らないので、結婚式でもなければいつ結婚したのか分かりません。王さんの場合も、結婚証は貰った(役所の届は出した)そうですが、やはり結婚式は来年の5月のゴールデンウイークだそうです。

  王さんはもともと小柄で素顔も綺麗な女性なんですが、写真を見て直ぐ本人が誰なのか気が付きませんでした。まさに変身していました。今の写真はデジタル写真ですから、かなりの修正が可能なようです。しかし修正と言っても本人の写真と確認できる程度ならいいのですが、中国の修正の許容差というのがかなり広いようで、従って生身の本人と写真がかなり違って・・・・・・。どうも日本で許される修正の許容差よりはずっと広いようです。

   それとこっちのアルバムには、文字が入っていていました。デジカメ写真だから文字入れなんか簡単なんですね。中国語だから、なんと書いてあったかちゃんと記憶していませんが、ここから永遠の愛が始まるとか、この愛は終わることがない、なんて書いてあったような・・・・・。 とにかく背中がむずむずするような文句が書かれていました。日本人ならこんな文字は入れないし、入れないほうがいいのに、何て思ってしまいました。

  結婚写真を会社に持ってくると言うのは、やはり自分の写真に自信があるからなのでしょうか。 確かに二人とも奇麗で、よく出来写真でした。

  何しろ、中国の最近の傾向は結婚式より、まず結婚写真のようです。それに掛けるお金も半端ではありません。

結婚式より結婚写真