何でこんな表題になったか? 実は中国で、福原愛ちゃんへのインタビューがあって、その中で、有名な司会者が愛ちゃんに、「歴史を勉強したか」と聞いていたからである。 司会者が、卓球に関係ないことを聞いた理由は明らかである。日本が中国を侵略した歴史を学んでいるかと聞きたかったのだろう。中国のテレビは日本兵をやっつけるドラマをしょっちゅうやっているし、60年以上も前に戦死した抗日英雄を、ニュースの中で日替わりで紹介しているくらいだから、その司会者としても、更に踏み込んで「日本人は反省していないのでは」と、聞きたかったのかもしれない。しかし愛ちゃんはまだ子供でもあるので、そこまでは聞かなかった。しかし「歴史を勉強しているか」とは聞いた。

  福原愛ちゃんへのそれに対する答えは適切なもので、「歴史は勉強したことはある。しかし、それほど詳しくはない」というものであった。「歴史を勉強したことがない」と言おうものなら、やっぱり日本は侵略戦争の歴史を学んでいなくて、反省もしていないのだという印象を与える効果があったかもしれない。そうなったとしても、愛ちゃんの責任ではないことは明らかである。

  この司会者は愛ちゃんに対して、「愛ちゃんの家族は、仕事を辞めてしまったが、愛ちゃんが代わりに稼いでいるのか」と、家庭の事情まで、かなりぶしつけに聞いていた。これに対して愛ちゃんはまともに答えられずに(愛ちゃんの中国語は上手だったが)、可愛い目に一杯涙を溜めて、答えをかわしていた。

  愛ちゃんに、「歴史を勉強しているか」と聞くくらいだから、中国では正しく歴史を勉強しているのかというと、それがどうしてどうして、歴史を勉強しているというより、愛国主義を勉強していると言った方がいいのかもしれない。当然自国民が、自国民を大迫害した文化大革命については教えてないだろうし、人民解放軍が日本をやっつけたと言っているが、日本が降伏した国民党政府の活躍や功績は教えていないだろう。

  他にも例を挙げれば、中国人自らが言う、中国文明5000年と言う言い方はおかしいのであって、歴史を正しく理解していない例でもある。中国語のインターネットの検索で偶然発見したのだが、「いわゆる“五千年文明古国”の根も葉もない話」(原題―所謂“五千年文明古国”的無稽无之談)と言う論文が載っていた。  http://www.10000year.com/Article/lsxk/zggds/200503/22.html  

  これによると、中国の文明としての歴史は3600年前くらい(殷・商王朝ができた頃)なのに、「我々は5千年の文明がある古くからの国家だ」と、中国政府はいつも宣伝していると書かれている。勿論、中国の5000年前には新石器時代の文化はあった。しかしこれは、世界の歴史学者の標準では文明とは言わないのである。それを大幅に5000年の文明と言うのは、「何についても中国は素晴らしくなければならない」という、中華思想というか愛国主義というか、そういう観点から歴史を認識したのである。だからどうしても中国は“五千年文明古国”と言いたいらしい。

  因みに上記の論文の著者の名前が明記されていない。もしかしたら中国ではこのように歴史について、正しい認識を述べると、やばいのかもしれない。中国語の掲示板では、手ひどい反論が書かれていた。「お前は中国人であるはずはない、もしかしてお前は日本鬼子じゃないのか」なんて書かれていた。中国人なら、中国は“五千年文明古国”だと、知っているはずだと言いたいのだろう。

福原愛ちゃんへのインタビュー、歴史を勉強したか?