"増高"とは何のことか分かるだろうか、収入を増やし高めようと言う政府のスローガンである・・・・   なんてことではない。ならば"増高葯"なら分かるだろうか。"増高"とは、私から見るとこの言葉は、中国らしい言葉であって、中国人の考え方の一面を表しているように思える。"増高"とは背を高くするとか、背を高くする薬のことである。北京辺りの、子を持つ親なら、この言葉を誤解なく理解できるのではないだろうか。中国人はこのことに日本人よりずっと関心があるように思える。ちなみに結婚の広告で、自己紹介にでてくる背の高さは、男性は全て172cm以上である。170cm以下の人は一人もいない。

  中国にはいろいろな薬がある。頭が良くなる薬と言うのもテレビで宣伝している。子供が何かドリンク剤みたいなものを飲んで、智力が高くなったなんて叫んでいる。育毛の薬で、以前日本でも有名になった「101」も、今でも中国では健在である。これを発明した人は、十大発明家(?)だとか言って宣伝していた。使用前、使用後の写真が比較されて載っていた。つるつるの頭が、ふさふさの髪になっていた。このような薬があるなら、もちろん豊胸の薬の広告もある。これも使用前、使用後の写真付である。

  傷やケロイドが消えると言う薬も最近までテレビで宣伝していた。この薬は塗り薬であるが、テレビの広告で見てみると、この薬を塗っているとみるみるうちに傷跡が消えていく。妊娠した時にできる妊娠線なんかもみるみる消える。みるみる消えていくのはテレビの広告だから、"みるみる消える"のを信じる人はいないかもしれないが、一週間で効果が有るといっているから、それを信じる人は多いのではないだろうか。実際に酷いケロイドの子供に、二ヶ月も塗ってみたが、全く効果がないというテレビの報道があった。塗り薬で治るはずはないのは、解りきったことだと思うが広告でだまされる人は多いようである。

  最近になって、新聞に増高は全部偽だ!という北京当局の記事が載っていた。それ以来、その偽薬の宣伝は無くなったが、偽薬なのだから、許可しないとか、販売を許さなければ、それでいいのではないかと思うのだが、堂々と売られてしまうところがおかしい。新聞で、「増高は全部偽だ!」と、わざわざ宣言するところをみると、これを信じて、子供のために買う人が結構多いようである。「増高」という言葉に、中国の親が関心が高いのは、薬などで「増高」が可能と信じているからではないだろうか。私の感想では、そういうことを信じる人が多いところが、中国らいしいと思えるところである。

  そう言えば"増高"のテレビの宣伝でも、テレビの画像処理の効果で、背がみるみる高くなっていった。考えてみれば、テレビでこういう宣伝の映像が流れるのがおかしい。もしかしてテレビ局にとっては、広告収入が上がればいいと考えていているだけのことで、偽物とか、本物とかチェックは無いのかもしれない。まさかテレビ局に勤めている知識人が、"増高"を信じているはずはないと思うが。いや中国の知識人でも信じたのだろうか?

  中国のテレビは公営でもコマーシャルがたくさんある。そして中国のテレビには、国民を良い方向に導く役割があった筈である。具体的に言えば、国を愛するとか、共産党に感謝するとか、などである。しかし、中国のテレビ局は愛国主義の問題には熱心だが、オッパイがみるみる大きくなる広告については、それが本当かどうかについては、どうでもいいようである。

"増高"とは何のこと