中国では、出産前に医者が胎児の性別を親に教えてはならないことになっている。男女判別を目的とした検査も行ってはならないらしい。なぜなら性別を教えた場合、女の子だと分かると中絶してしまう可能性が高いからである。違法に検査すると違反となって、罰金があるらしい。しかしそこはそれ中国の事であるから、ちゃんと闇で調べてくれるところもあるし、性別が分かった後で中絶してくれるところもある。その超音波検査か何かの検査で、男女の別を教える場合、男であると300元で、女だと200元とか。男子の方が高いのは、男子であったことによるご祝儀代が含まれているらしい。これは冗談。

  上の検査が違反であっても、それが行われていて、検査の結果が有効に生かされている明らかな形跡がある。それは男女の出生率の比率がアンバランスになっていることから分かる。特に農村などでは男児の方が異常に多いのである。その結果として女性が足りなくなり、嫁さんにする為に女性を誘拐して、農家に売るのが商売になったりする。つい最近も、農家に売られて子供までできしまった女性の話が、テレビで紹介されていた。嫁さんの末端価格は4000元くらい、約6万円くらいであった。

  会社のある若者に聞いた話なのだが、生まれる前に医者に診て貰ったら、男の子であるとのご宣託であった。しかし生まれてみると女の子であったそうな。そこで私は、医者の検査が出鱈目でなかったのかと、聞いてみた。結果が違っていたのだから腹が立たないかのとも聞いてみた。その若者の答えは意外にも、「男の子と思わせて、喜ばせてくれたのだから、それでいいのだ」と、わけのわからない答えだった。私に言わせれば、ただの藪医者じゃあないのかと思えるのだが。

  先の話のように、男の子と診断すれば、収入が多くなるならば、男の子だと言って収入を増やしたのかもしれない。私なら結果が違えば、そう勘ぐりたくなる。結果が違っていたのであれば、医者に、「結果は予想と違っていましたね」とぐらいは、言ってみたくなると思うのだが。

  「間違った理由を聞かない」、という裏には、何か中国的事情でもあるのだろうか。つまり「中国の検査は、何時も間違いがありがちだから、文句を言っても始まらない」とか、無料で検査して貰ったのだから文句が言えないという事情でもあったのだろうか。「中国では、本当のことは言わないで、嘘を言っても、相手を喜ばせることの方が、いいことである」という考え方があるのだろうか。今となっては、もうこの話の続きは聞けない。その若者はもう会社をやめてしまったからである。中国では日本より、すぐ会社をすぐ辞めてしまう人が、ずっと多い。

  最近の調査では、最近の男女の出生率のアンバランスさは、都市部で116対100で、農村部では122対100であるとか。男子が都市部で16%も多く、農村部では22%も多い。2000年の時点で、20歳以下の人口中男性が2000万も多かったのだとか。このことから毎年少なくとも100万人もの男性が、結婚の機会にめぐり合えないだろうと予測されている。

  この男女出生率の異常なアンバランスの原因は、二番目の子供が選別を受けるからだそうである。このアンバランスを是正するには、二番目の子供の、女の子が堕胎されるのを防がなければならないと言うことらしい。今年始めのある会議では、胎児の性別判別が可能な全ての医療施設の管理を強化しなければならないと提案されたそうである。また、法に定めることによって、超音波検査などによる男女の鑑別を止めさせ、密か行われる男女判別を、厳重に処罰しなければならないとしている。

  ついさっき(7月1日)、子供販売団の一味が捕まったニュースをテレビで見た。犯罪にかかわった犯人は60名以上、捕まった犯人は28名、見つかった子供は30名以上である。購入、誘拐、運搬、販売と分業制になっていたのだとか。当然男の子の方が、価値があり、男の子だと8,500元から8,600元で買って、11,5000元から12,000元で売れるのだとか。女の子だと2,500元で買えると言っていた。運搬の際も男の子は゛"大貨"と呼ばれて、女の子は"小貨"と呼ばれていたとか。なお、子供を購入するか誘拐するかは、購入するほうがずっと多いらしい。誘拐するなどの危険を犯さなくても、購入する方が安全で、購入が可能であるらしい。

  子供の売買の値段や、"購入できる"など、子供や女性を物のように書くのは、書かないほうがよかったかもしれないが・・・・・

男女判別の為の検査は違反