チャイって何でしょう。チャイはインドの煮出し式ミルクティー。いやいやそのチャイではなくて、中国語のチャイなんですが。実は近いうちに近くでチャイが発生しそうなので期待しているのです。ミルクティーではないチャイは、何のことだか分からないでしょうね。じゃ「拆」は分かりますか。これも分からないでしょう。しかし北京人なら、チャイと聞けば相当なインパクトを受ける言葉なんです。

  チャイの字は拆です。折るではないですよ。拆です。正しく書けば、拆遷が正しいのかもしれません。拆遷の訳語は取り壊して立ち退くことだと辞書にありました。しかし拆の字の一字だけで、十分この意味は伝わります。もともと拆の字には分解するとか、ばらばらにすると意味があるだけで、立ち退き取り壊しの意味はないと思うのですが、「チャイ」の一字だけで十分なのです。拆はそれくらい強烈な字なのです。強烈な印象は○の中に拆と書くともっと強烈になります。権力の裏づけがあるからです。直径1mくらいの○の中に拆と壁に書かれると、取り壊すから立ち退け! と言う命令のように見えるからです。見えるだけじゃなくて、多分立ち退き命令です。命令に従わなければ、あとに強制執行が控えているからです。

  考えてみれば立ち退き命令であったとしても、その通達を文書で出せば済むのにと思いますが、何故か目立つようにでかでかと壁に「丸に拆の字」を殴り書きするのです。多分、一斉に取り壊すぞ、という意味も含んでいるのでしょう。実際に取り壊すのは、政府ではなくて、取壊し業者であり、業者に依頼するのも政府ではなくて開発業者のようですが、強制執行の裏付けがあるわけですからちょっと凄いのです。壁に書かれた「丸に拆の字」の意味は「立退き命令兼一斉取壊しの強制執行」の意味と理解するのが正しいのかもしれません。

  中国の場合は、日本と違って立ち退きに何年も掛かるなんてことはありません。実はチャイの対象になるのは、私の家にも会社にも近い報国寺の横なのです。ここの場合、三月の中旬位に、これこれの理由でチャイがあるから、新しい契約や現状を変えることをするなと言う張り紙がされて、4月の中旬に5月8日から6月8日までに立ち退けという、これも張り紙の通達が出されました。どうも中国では各家庭毎に文書を郵送して通達するなんて制度はないみたいです。通達は張り紙だけのようです。この辺りは私の昼の散歩道だから詳しいのです。

  しかし今日5月28日現在では、殆んど引っ越した形跡はありません。表通りの店もまだ営業を続けています。しかし通達の張り紙は殆んど破られています。この行為は当局への反感があるのかどうかは分かりません。当局の通知が本当に突然であるのかどうかも分かりません。補償問題などもあるはずですから、そう言う問題は既に済んでいるのかもしれません。もしくは補償する必要がない不法な居住者なのかも?  

  これから何が起こるか興味津々で毎日観察しています。「丸に拆の字」は今のところ未だかかれていません。これから書かれるのかもしれません。実は、私は先見の明があったのです。スラムのような凄い所だと思って、写真に撮っていたのです。どんなところか興味がある方は、ホームページの写真の方をご覧ください。興味津々だなんて言うと、強制立ち退きで人が困っているのに何んだと怒られそうですが、北京の光と影のうち、影の部分が無くなることなのですから、喜ぶべき事なのです。さしづめ北京の光とはオリンピックのことでしょう。

  立ち退きは立ち退かされる人にとっても歓迎すべき事だという意見もあります。補償金が入ってトイレやシャワーがある家に移れるのですから。立ち退き前の家はトイレも無く相当ひどい状態です。現に私の家の大屋さんは、私が住んでいる辺りにあった平屋が取り壊されて、その代り私が住んでいる部屋を安くて手に入れたらしいです。そして自分達はもっといい家を持っていてそこに住んでいるようです。しかし立ち退きに抵抗しする人も結構いるようです。王府井の裏側のビルが取り壊しになるらしいですが、どうもそこに協和病院が増築されるらしいです。王府井のような一等地から住民を追い出しことができるのも中国ならではの事でしょう。

  話を元に戻して、本来分解するという意味の「拆」の字が、何故「取り壊し」の意味で使われるか? これはホームページの日記の部分に書きましたので見てください。北京辺りの建物はレンガで出来ていますから、壊すのではなくて、レンガをバラバラにして再利用したからなんです。そうそう、この強制立ち退きプロジェクトのことを「城中村」プロジェクトと言うんです。その理由は・・・・・・、書き出すと長くなりますので、これも前の日記に書いてありますから、興味とお時間のある方はご覧ください。

  実は○の中に拆と書かれた実物を写真でお見せしたいのですが、あいにく私の写真が無いので、人様のホームページを拝借いたします。
http://chaipage.main.jp/
のぺージの写真でとくとご覧ください。 題して「チャイのある風景」ですと。なかなかおしゃれなネーミングです。でもこの風景は結構強烈で迫力があるでしょう? 私の写真でないところが残念です。

チャイについて