官が勝つか、民が勝つか。正確に言えば、取締まり側が勝つか、違反者が勝つかという攻防戦についてである。建物の塀や橋の下に、やたらに汚らしく、電話番号が書かれている。この電話番号の目的は、偽の証明書を作るという為の広告の電話番号である。偽の証明書と言うのは、何の証明書か? 私はこの方面に詳しくなはないが、書かれている電話番号の所に電話すれば、大学の卒業書など、様々な偽物を作ってくれるらしい。その電話番号の書き方はあまりにも汚い。殴り書きのようにして書いてあるが、違法な広告だから、このように書いた方が、広告効果があるのだろうか。闇に紛れて慌しく書くからこうなるのだろうか。とにかく汚らしく書かれている。

  この違法広告を何とかしたほうがいいのにと、いつも思う。私の住んでいる団地のエレベーターの中にも、"小広告"といわれる電話番が書き散らしてある。こっちのは室内装飾の広告であったりして、違法な広告ではないが、私にはとても気になる汚さである。しかしここの住民にとっては気にならないのかもしれない。そして違法な電話番号の広告も、案外何とも感じていなかったりするのかもしれない。

  しかし、当局から見れば、この世界的にも恥ずかしい広告を、オリンピックまでには無くさなければと思っているに違いない。それで街中の電話番号を時々消してみたりするのだが、次から次へと書かれるので撲滅できない。犯人は夜コッソリ書くのだろうし、書いてある電話番号に電話しても、犯人は用心深くて容易に現れない。それでこのこの違法報告は一向に後を絶たない。それでも共産党大会などの前には、思い出したように一斉に消してみたりする。消してみても時間がたつと白く消された上に、また電話番号が書かれて、却って電話番号が目立ってしっていたりする。

  しかし最近、バスに乗った時、よく観察して見たのだが、この違法広告がよく消されている。どうやら当局は重大な決心をして、徹底撲滅作戦に転じたのかもしれない。違法広告が書かれると直ぐに、その上を塗料で塗って消すのである。最近の作戦は、「書かれたら消す、書かれたら消す」作戦のように見える。徹底撲滅ではなくて徹底抹消である。この攻防戦の様子を観察をして見ると、現状は8対2の割合で当局側が勝っているようである。私は当局がこの作戦を諦めないで、徹底抹消を続けるように願っているのだけれど。

  この消し方には問題があって、消す時の塗料の色がまたよく目立つのである。灰色の橋脚に黒い色で電話番号が書かれる。その上を真っ白い塗料で塗りたくる。こうすると消した後が却って目立ってしまう。せっかく消すのだから、お金が掛っても下の色と同じ色の塗料を揃えて、その色で消すようにしてはどうだろう。塗り方も殴り消し的な塗り方ではなく、もうちょっと丁寧な塗り方にしたほうがいいのにと思うのだが。恥の上塗りではなくて、汚さの上塗りである。どうも中国的消し方では、綺麗になったとは思えないのだが。

  落書きの消し方に、中国的消し方と、日本的消し方があるか? 私には違いがあるように思える。

(最近の日記の話題は、汚いとか乱雑であるいう話が多くなってしまった。反省して、きれいな中国についても書かなければならない)
落書きにおける攻防戦