オルファの刃が折れないなんて言うと、OLFAの会社の人に怒られるかも知れないが、中国のオルファは折れないのである。皆さんは刃が折れるカッターナイフをご存知だと思うが、あの刃が折れない。もともとあの製品は刃が折れるのでオルファ、会社の名前もOLFAと成ったらしい。OLFAという会社のホームページを見ると、あのカッターのことを"折る刃"式カッターと言っていて、この発明の誕生秘話が載っている。OLFAと言う会社の創業者が、昭和31年に発明したものだそうである。

  このカッターは、使用した刃の部分が切れなくなると、その部分を折り取って、新しい刃を出して、切れ味を保つわけである。古い刃が折り取れるように、斜めに溝がついている。

  中国にもOLFAの製品とそっくりのものがあるが、刃が折れないのである。もちろん、刃を折り取るための斜めの線も入っている。しかし刃は折れない。ペンチで挟んで折り取ろうとしても折れない。形はOLFAの製品とそっくりだから、中国のオルファは折れないと言いたくなるが、これはOLFAという名前を騙っているわけではないから、OLFAの正規の製品でないことは確かである。

  そうするといろいろと疑問が湧いてくる。斜めの線は何の為の線であるのだろう。刃の先の方は捨てられないとすると、手元の方の刃はいつになったら使うのだろう。この形のカッターは中国のあちこちでよく見るから、よく売れているらしい。しかしOLFAの創業者が一生懸命考えた、刃先がいつでも鋭利な状態のままに保てるという機能は、中国では実現できていないわけである。それでも売れているらしい。そんな製品でも、今までになかった製品だから売れるのだろうか。刃が折れないとしても、刃が出たりり引っ込んだりするところは、確かに機能的ではあるけれども。どうせ真似るのだったら、刃が折り取れると言う機能も真似て、それを宣伝して売ったほうがいいのにと思うのだけれど。

  しかし、折り取れるほどの微妙な深さの溝をナイフに刻むのは、難しいのかもしれない。だから中国で真似をしようとしても、真似られないのかもしれない。それならば一層のこと、溝を付けないほうが、安くできるのにと思ったりした。外観の真似だけは相当上手い。でも、機能を真似るということはなかなか難しい。自分の北京の家のトイレに入るとき、いつも思うのだが、洋式便器は日本のとほとんど同じだが、中国のは排泄物が便器の壁にくっ付いて残るのである。壁にくっ付かないような形にすれば良いのにと思うが、それが出来ない。日本の物がそう言ったことに考慮されているのは、長い間の技術の蓄積なのか、物作りへのこだわりなのか、これはトイレに座りながら考えたことである。

  折れないオルファについては、さらにいろいろな疑問が湧いてくる。この製品の特許権とか知的所有権の問題はどうなっているのだろう。中国折れないオルファを偽物と言ってもいいのだろうか。偽物が横行している中国のことだから、真似などはお構いなしなのだろうか。折れないのだからあれは偽物ではないのだろうか。特許権はもう消滅しているのかもしれない。しかしあのデザインだけでも、日本人が考えた物だという証明を、どこかに残しておいて貰いたいものである。

  おそらく殆どの中国人は、このカッターナイフは日本人が発明したことも、刃を折って使うことも、ましてブランド名が、日本語の"折る"と"刃"からネーミングされたことも知っていないであろう。

折れないオルファ