私が勝手に小泉首相に提言すると言ったって、聞いてはくれないと思いますが、そして提言の内容は聞くほどの事も無いと、一蹴されそうですが一応書いてみます。日本では、今年、日本では災害が多かったらしいですが、提言の内容は、災害や事故が起きた場合、国のトップとしてどう対処したらいいかということに付いてです。何でお前にそんな提言が出来るとかと、真面目に問われると困るのですが。私はほとんど中国にいるので、テレビを見たり、時々新聞を読んだりするので、災害が起きたとき、指導者がいかに対処するかということは、よく分かりましたので、それを参考にして、提言をしたいと思います。なお、小泉首相が災害の際に、どのように対処していたかは、日本にいないので、殆んど分かりません。

  大きい事故や事件が起きた場合、できるだけ早く、「各方面に全力を尽くせ」と指示を出すことです。そしてそれをテレビのニュースなど流すのがいいです。"各方面"とはどこのことで、"全力を尽くせ"とは何に全力を尽くすか、などの問題があるかと思いますが、これらのことはハッキリしなくてもいいのです。とにかくすばやく指示を出して、政府のトップが、この問題に一生懸命取り組んでいる様子がわかればいいのです。

  「国のトップは既に適切に対処するように要求を出した」なんて報道をするのもいいです。要求とは便利な言葉で、要求を出してしまえば自分責任は問われないで、相手に責任があるように仕向ける、という効果があります。それに要求を出したと言うだけなら簡単ですから、こう言う報道はしたほうがいいいのです。それで要求の具体的内容と、誰に要求を出すか? そんなことはどうでもいいのです。ハッキリしていないほうがいいのです。却って要求を具体的に、ハッキりさせると、その予算はどうするのかとか、それは自分の部署の責任ではないとか、そんなことが問題になってしまったりします。災害がきっかけになり、危機管理ができていないなんて問題が露見したら困りますから、そういうことは避けたほうがいいのです。

  もともと、危機管理とは、総書記とか首相とかが、急に特別なことを言っても機能しないのではないでしょうか。本当の危機管理は危機に備えるマニュアルがあって、そのマニアルに沿って対処していれば、特別に国の指導者が、指示や要求を出す必要は無いかもしれません。しかし、わざわざ総書記とか首相の名前を使って要求を出すところに意味があるのです。だから要求の内容が具体的でなくてもいいのです。

  「政府の幹部は、この事態を高度に重視している」とニュースを流すのもいいです。これを聞くことによって被害者や関係者が安心するとともに、政府のトップがいかに人民の事を気にかけているかを演出できるわけです。

  あるとき、中国で飛行機事故が起きて多くの人が亡くなりました。私はそのニュースを日本のインターネットで先に知ったのですが、中国のニュースではどう報道するかと見ていたら、ニュースの最初に、江沢民総書記からの、亡くなった人達の家族にお見舞いの言葉を伝えるとともに、上記の例のごとく、各方面に全力を尽くすように、指示を出した事を伝えました。それからおもむろにある空港で飛行機事故が起きたことを伝え始めました。確かに事故の内容のニュースより、総書記の名前が先に出てきました。

  事故が起きた場所に慰問に行って励ますのも、効果的なことです。洪水が起きればカッパと長靴で現場の最先端に行って、堤防の修復をしている人にがんばれと言うのもいいです。日本の首相も、地震があった後視察や激励に行ったかもしれません。しかし中国のトップのほうが、日本よりお見舞いや慰問にはよく行くようです。先日はエイズの日がありましたが、このときも総書記がエイズで入院にしている人を慰問に訪れ、患者とバッチリ握手して励ましていました。ここで重要なことは慰問自体も重要なことですが、もっと重要なことは、それをニュースに流すと言うことです。そうしなければ何の意味もありません。

  大きな問題が起きたら、直ぐ駆けつけ顔を見せる事は重要なことですが、そうはいかない時もあります。そのときはお見舞いの電報を送る事でもいいです。しかしお見舞いの電報を送った事が、ニュースにならなければ意味がありません。プロパガンダ(政治的宣伝)としては、大したことでなくても、そういったことを人民に知らせるということが大切なのです。

  もう一つ重要なことは、お見舞いを受けた人や、励ましを受けた人達が、満足な顔をしていなければなりません。不満を言ったり、何かを訴えたりすると、プロパガンダとしては逆効果だからです。

  例えば総書記が農家を視察する場面では、やさしい指導者が、農民の隣に椅子に座って並びます。決して高い立場から物を言うような映像は流れません。「今の生活はどうですか」などと聞きます。答える方の農民は「共産党のリーダーや幹部のおかげで」、とか、「政府の支援によって」とか、満面の笑顔で答えるとますます効果的なわけです。そういう答えができる人が選ばれているのでしょう。先のエイズの日の慰問の例でも、患者の顔にモザイクなどかけずに、患者の笑顔が映っていました。

  そう言えば韓国の北側の国では何でも「大首領さまのおかげで」という枕詞をつけて報道がされるとか。中国ではあれほどは酷くはありません。しかし何かチョッとだけ似ているところもあります。両者とも共産主義の国だからなんでしょうか。

  以上の私の提言は参考になりましたでしょうか。やはり参考にならいかもしれませんね。日本では重大事故のニュースの前に、首相のお見舞いのニュースを流してはまずいでしょうね。やはり日本には日本のやり方が合っているのかも知れません。そうそう、今度の新潟の地震の際に、首相が結婚式に出席したとかの報道が流れたように記憶していますが、ああ言う報道が流れては拙いですね。ああ言うニュースは流させなければいいのですよ。いや日本ではそれは出来ない。まあそうでしょうね。日本は、指導者にとって結構不自由な国なんですね。

小泉首相への提言