中国ではハンカチを売っていない。上海ではどうかと言われると、確信は持てないが売っていないのじゃあないだろうか。中国に返還された香港ならあるかもしれない。北京では、大きな百貨点でも売っていない。しかい珍しいことを発見したのであるが、北京の繁華街、王府井の東方広場の中に、一年くらい前、おしゃれなハンカチ専門店ができた。ハンカチを売っているのを見たのは始めてである。しかし今でも店が残っているだろうか。

  なぜ中国でハンカチを売っていないか? 理由は簡単、中国人はハンカチを使わないからである。使う人がいないから買う人がいない。だから売れないのである。それであの店は、もうつぶれたのではないだろうか。ハンカチを使わないならば、トイレに行って、手を洗った後、どうするか。ハンカチで拭かないで手をブラブラと盛大に振って、風にあてて乾かすのである。だからトイレから出てきたことは見ればすぐわかる。手を振りつつ歩いているからである。但し、手を洗わないで出てきた人は、トイレから出てきたのかどうかは分からない。

  よく考えてみたら、中国でもハンカチを売っていた。但しあれはお土産用に刺繍された絹のハンカチなどで、外人向けのものである。中国国内向けに、実用品として使えるハンカチは売っていない。昔、中国の人にハンカチをよくあげたが、あれは何処へ行ってしまったのだろう。多分壁の飾りにでもなっているのかもしれない。

中国ではハンカチを売っていない