中国人に"着替える"と言う日本語を教えたら、何時着替えるのかという質問が返ってきた。で、こちらは、ん? と考えてしまった。何時着替えるって、当然会社から帰ったら着替えると思ったのだが。 それで、会社から帰ったら背広から普段着へ、寝る時には普段着から寝間着へ、翌朝は寝間着から背広へと、一日に三回くらいは着替えるサイクルがあるはずだ、と言ってみたのだが。

  中国人はあまり着替えないのではなかろうか。会社勤めでも、背広にネクタイという服装は少ない。どうも仕事中の衣服と普段着の区別が無いらしい。だから会社や工場から帰っても着替えないようである。当然仕事で制服を着るという事も多のだが、警官や郵便局員なども制服を着たまま通勤するようである。中国の警官は家の中でも警官の服装でいるのかもしれない(見たことがないのでハッキリは分からないが)。警官は帽子を被っている時が公務中なのだと聞いたことがある。帽子を被っていなければ、通勤途中なのかもしれない。

  新聞によれは、中国の公的機関では制服を作りたがり、制服が多いとのことなので、制服には愛着があって、家に帰ってもなかなか脱がない(この理屈はちょっと考え過ぎな)のかもしれない。

  会社勤めでも、あまり背広にネクタイの姿をしないと書いたが、実は農作業中でも道路工事中でも背広姿のままで働いている人が多い。私から見ると道路工事中に背広姿というのは似合わない感じがするのだが、こういった人たちは一日中、背広のままであるに違いなく、着替えをしない着たきり雀状態の人達なのだろう。

  では、寝るときはどうかというと、パジャマなどをあまり売っていないところからすると、やはり寝間着に着替えないのではないではなかろうか。以前、吉林市にいた時、吉林市の曹さんという人に、寝るとき何を着て寝るのかと聞いてみたところ、裸で寝るのだと言っていた。吉林市はとても寒い地方なのだが、部屋の中は暖かいのある。曹さんに、このことを聞いたのは10年位前の事であるが聞いたことを良く覚えている。女性も裸で寝るのかと聞いたので、よく覚えているのかもしれない。答えは裸になるのは男だけで、女性は裸にならないということであった。

  実はパジャマなどの寝間着は、以前よりは多く売られるようになったのは確かである。確かにパジャマ姿をよく見かけるようになった。よく考えてみると中国では日本でより、よくパジャマ姿を見るような気がする。会社の近くに大きな病院があるのであるが、パジャマを着たまま、入院患者が散歩に出てくる。一旦パジャマ姿になると、外出時でも着替えないようである。つまりTPOを考えて着替えるなんてことはあまりしないらしい。

  こんなこともあって、中国の毎日の生活のサイクルでは、着る、脱ぐ、着る、脱ぐ、のサイクルがあっても、着替えるサイクルは少ないか、無いのかもしれない

着替える