北京はまさに秋たけなわ、収穫の秋です。街角でもいろいろな果物が売られています。瓜やスイカの季節は過ぎましたが、栗や葡萄、梨やリンゴも出てきました。変わったところでは、ほうずきの実、棗なんてのもあります。梨には日本の品種の豊水なんてのもありましたが、どうも日本のものほどみずみずしくないです。こちらの人は果物の皮を剥かずに皮ごと食べるんですね。夏には桃がありましたが、あの毛の生えた皮を、そのまま食べるんです。それに一般に果物が日本のものより硬いです。棗の実を会社の女の子がくれるんですが、あの小さい実を皮ごとガリガリやるのは、チョッとなんなので、要らないと断ったら、何故食べないの、美味しいのにと言っていました。美味しくないとは言えないから、日本人は果物を皮ごと食べないのだと言いましたが、あの棗の実は皮を剥いたらなくなってしまいます。それに棗というはチョッと硬いし。 街角で沢山果物が売られていますが、次の日には果物売りのリヤカーが一つも見えなくなってしまいました。城監(街の商売とか、品質なんかを取り締まる、警察?組織)の取締りがあったようです。しかしこれは一時的に追い払ったようなもので、翌日には様子を伺いながら、果物売りが現れます。果物売りは何故追い払われるのか? 多分許可書を持っていないからかもしれません。でも許可書を持っていなくても商売はできます。取り締まりのときだけひっそりとしていればいいのですから。しかし北京は中国の顔でもありますから、共産党の何かの会議が開かれるときなどは、取締りが長く続くので、果物売りもチョッと困るかもしせん。 とにかく北京の人は、カリカリと音を立てながら果物を沢山食べるようです。 秋は穫り入れの季節です、中国語にも秋は黄金色の季節という言葉があリます。いままでせっせと働いた成果が秋に現れて、豊かな収穫が有る訳です。その秋の実りを、海外で穫り入れている中国人がいます。その人達とは政府とか国営企業などでせっせと働き、いや、汚職や汚職でせっせと蓄財に励み、その金を海外に移しておいて、バレそうになると海外に逃げてしまった人達です。そのような人は一説には、4000名以上いると言われています。せっせと稼いだ金は50億ドル以上にもなるのではないかとも言われています。 「海外に逃れた汚職官吏達の秋」から(中国語) 何でも日本と比較してはいけませんが、日本は人口が中国の約10分の1ですから、日本のスケールに直すと、日本には、賄賂で稼いで、海外へ高飛びして逃げてしまった人が400人くらいはいると言う勘定になります。 そんなに中国から逃げた逃亡者が居るはずはないと言われるかもしれませんが、ほんとです。しかも大物で海外に逃げている人が多いのです。 国家電力公司総経理・高厳 貴州省交通庁庁長・盧万里 河南省煙草専売局局長・蒋基芳 中国銀行広東開平支店支店長・許超凡 河南省服装輸出入公司総経理・董明玉 などなど。 女性でも負けはいいません。そのとき58才であった浙江省建設庁の副庁長・楊秀珠も、秋の穫り入れに向かうために、2003年4月20日に娘、娘婿、孫などを従えて、上海から出国しました。出国には違いないのですが、シンガポールを経由してアメリカに逃げたわけです。そのとき既にアメリカには、五箇所もの高級不動産と高額の銀行預金が蓄えてあったそうです。 これらのマスコミで有名になった人物の他に、有名でない有象無象の汚職官吏の海外逃亡者もぞろぞろだとか。上の例では私営企業の経営者のようの見える人もいますが、大物高官と書いてありますから、大抵は官吏です。こう言うことをするのは"公僕"である役人なんですね。多分共産党員でもあります。 こうして見てみると、海外逃亡者って、なんか格好いいですね。落ちぶれた逃亡者じゃあなくて、海外で秋の収穫の美酒に酔いしれていられるわけですから。それにスケールもでかいです。逃亡先も前もって下調べがしてあって、犯人引渡し条約の無いアメリカとかカナダなどの先進国を選ぶようです。前にも書きましたが、自分の子供を留学させておいて備えておく、なんてことはよくあることらしいです。これに比べると日本人というのは何か気が小さいというか、スケールが小さいと言うか。日本人ではこうは行かなくて、海外に逃亡してはみたものの、やっぱり日本がいいなんて言って、帰ってきてしまう人が多いのではないでしょうか。日本人の逃亡者と言えば警察の目に怯えてひっそりと暮らすと言うイメージですが、中国の汚職官吏の逃亡者は、なんだか悠々と余生を送っていると言う感じですね。 それにしても愛国教育の盛んな中国で、よく国を捨ててまで、よその国へ逃げる気になれますね。日本では愛国教育はあまりやっていないですが、汚職を働いた場合でも、国を捨てて逃げないですね。何故なんでしょう。中国では国を愛していない人が多いから、国外に逃げる人が多く、それだからこそ愛国教育が盛んなのかなと思ってしまいます。中国で国外逃亡が多い理由は、汚職の場合、死刑になりかねないと言うこともありますが。 秋は寂しい季節でもあります。中国にもそんな感じの言葉があって、汚職官吏の海外逃亡者にも秋風が吹き始めたと、前出のページに書いてありました。逃亡者にとって天国であったアメリカが、海外からのマネーロンダリングの為の金に、厳しく対処するように変わったてきたそうです。 それだけでなく、中国側もあまりの海外逃亡者の多さに、中共中央は「党政府機関、公安部門人員出国時の出国通行証、パスポート管理措置」と言う緊急通知を8月始めに出したそうです。そして、九つの巡視組を八つの省に派遣して、緊急会議を招集して、高級幹部の出国通行証、パスポートを取り上げ、管理部門に統一管理をさせたとのことです。中国政府もここまでやるかと言うくらいのことをやりますね。やっぱり国外逃亡者は多いってことですね。 このことは藪から蛇を叩き出す効果があったらしく、外電からのニュースですが、今年8月3日の晩から5日までの間に、全国の空港などで60名以上もの、逃亡を企てた高級"公僕"つまり官吏がつかまったのだですと。そのうち6名もが副庁長クラスの高級官吏だったそうです。全員がパスポートや通行証を持っていて、ほかにも金融機関や税関の外貨持出し証明証を持っていたのですって。中には60万ユーロを持っていたお方もいたのだそうです。中国のこういう証明書って、何とでもしてしまう人には、何とでもなってしまう国なんですね。そして中国には海外逃亡を企てる"公僕"が多いですね。驚きました。 これからは中国の汚職官吏で、海外逃亡を企てている者にとっては、冬の時代に入るのでしょうか。先に挙げた国家電力公司総経理の高厳なんて人は、まだ海外に高飛び出来ていないのではないかなんてニュースもありました。しかし依然として姿をくらましたままです。 他の国のことですが、簡単に海外逃亡できないようになって欲しいですね。しかし、役人のパスポートを取り上げてまで、海外逃防止するってのも大変ことですね。しかし、基本的には共産党の汚職役人の跋扈を、まず防止しなければなりませんね。 |
秋の穫り入れ |