ワイロの品の競売会
(4月18日)

  腐敗防止キャンペーンの一環なのだろうと思うが、賄賂を貰った人から没収した品々を競売にかけるという方法がある。犯人が大物であると、この競売会にタイトルがつくのである。その年に没収した品々を競売にかけるなどの方法ではなくて、犯人の名前が付く競売会がある。新聞などでも報道されるから、無償で名前を付けてもらえてイベントが行えるのだから、もしこれが企業の名前とか商品であれば抜群の宣伝効果がある。しかしこの場合は犯人の名前である。最近行われたのは、河北省政府事務庁の秘書の李真と言う人の名前が付いた競売会があった。競売会の名前は"李真の案件・競売会"といったふうになる。既にこの男は去年11月に死刑になっているから、自分で宣伝効果を知ることはできない。この男は"河北第一秘書"と言われていたが、地位が第一というわけではなく、権力を持っているとか、頼めば何とかしてくれるという意味の、あだ名としての第一秘書である。

  やっぱり中国の袖の下というのは、袖の下には収まらないくらい凄いのである。朝9時半に始まった競売は、夜の7時30分に終ったくらいに、品物の数も多かった。619件もの品々が競売にかけられた。賄賂として貰った物は、金銀製品や中国人が好む玉が多かったらしい。その他にはバブル期の成り金紳士が収集したような物も多い。例えば中国画の画集なのであるが、台紙の部分が金の板でできた画集とかがあった。それから金の大仏とか小さい仏様。お決まりのプレゼントは外国の時計とか高価なブランデーなどである。こう言った競売では外国製の腕時計が、ざくざくと必ず出てくる。

  中国人のプレゼントの仕方というのは、チョッと日本人と違うように思える。日本人であれば、プレゼントが贈られる人にとって役に立つかとか、少しは考えると思うが、中国では違うようで、できるだけ豪華なものをドンと送るというのが中国式である。私ならブランディーやウイスキーを貰えば喜ぶが、中国人が殆ど飲まないブランディーやウイスキーもよくプレゼントされる。中国で売っているウイスキーやプランデーは、中国人向けには賄賂用、日本人向けにはカラオケ用に売れているだけなのではないだろうか。私のプレゼントされたのは(といっても賄賂ではないが)、体に良いと言われる漢方系の高い薬で、貰ったほうが飲むか飲まないかなど考えないでくれたようである。送り手側が豪華な物を送ったと思えばいいわけである。しかし、今回のように自分の送ったものが競売に掛けられてしまうと、目立ったことが却って都合が悪い事になったかもしれない。

  今回の競売会では、成金趣味の物が、あまり良く売れなかったらしいが、去年行われた沈陽の市長と副市長の計二人分の競売は凄かった。三日間に渡って競売が行われ、売り上げは6000万円もなったのだとか。その中には自動車とかゴルフの服装なども含めて、800件もの品物があったらしい。

  とにかく中国の賄賂は凄いのだが、こんな物を貰い続けていれば、いつかはばれると分かりそうなものであるが。それでも賄賂を貰い続けるというところが凄い。しかし名前を付けた競売会は賄賂防止に役立つのだろか。やっぱり死刑にしたほうが効果があるのだろう。競売会に名前をつけてもらえるような人は、皆死刑になってしまった。