北京で女子十二楽坊を見る
(2月18日)
北京の女子十二楽坊の写真

  2月1日に北京展覧会劇場で女子十二楽坊を見てきた。北京で本物の女子十二楽坊を見たと言っても、この歳になると、そんなに大騒ぎすることでもない。しかし、日本で女子十二楽坊のツアーのチケットが10分間で売れたと言う話しを聞くと、本物を見たと自慢したくなる。自慢したいと言っても、北京の中国人にこの事を言っても、誰も関心が無い。女子十二楽坊などまるっきり有名ではないので、誰も知らないのである。10分間でチケットが売れたんだと強調しても、中国ではそんなこと(インターネットでのチケット販売)は不可能で信じられないから、10分で売れたなんて、何のことだろうと思われるだけである。

  そんなわけで、中国人と女子十二楽坊を見た喜びを共有する事は出来ない。第一、北京で女子十二楽坊が出演する事が広告に出た事も無いのだから。この演奏会に行った人も、誰もそんな(日本での)有名人が出演する事など、知らずに見に来たのではなかろうか。

  私も北京で女子十二楽坊が出演するなんて知らなかった。知ったのは、ある人が女子十二楽坊が演奏会に出ることを調べて教えてくれたので、偶然分かったのである。その人は北京の旅行社の人で、たまたま女子十二楽坊の話をしたら、何で日本でそんなに人気があるんですか、などと言いながらも調べて、教えてくれたのである。

  女子十二楽坊もあまりの拍手の無さに戸惑ったかもしれない。中国の演奏会と言うのは、外人が中国で知られている曲などを演奏すると、熱狂的な拍手を受けるが、知らない曲などでは、拍手はパラパラである。今回の女子十二楽坊の演奏も、日本では知られている曲、"自由"など二曲を演奏したが、北京人には誰もが分からないので、拍手はパラパラ。日本の演奏会でならば、義理にでもある程度の拍手はもらえると思うのだが。やはりここは中国である。この演奏会は中国で最近作曲された曲を集めた演奏会だった。女子十二楽坊は、それを演奏する数組のグループの一つとして出演したのである。

  思えば、最近は良く音楽会を聞きに行ったり、ダンスを見に行ったりしている。去年の年末から数えると、アルゼンチンタンゴのダンスを見に行った。このダンスの題目が「タンゴ女郎○○・・」、女郎とは穏やかな言葉ではないが、中国語では若い娘さんと言う事らしい。これはタンゴの好きなお嬢さんとでも言う意味かもしれない、そう言えばタンゲーラ(タンゴの好きなお嬢さん)という題名の有名なタンゴの曲があった。

  ブラジル国立舞踊団と言うのも行った。サンバの踊りがたくさんあるかと思ったが、そんなに多くは無かった。アイルランドのアイリッシュダンスも見てきた。アイリッシュダンスは「魂の舞」と言う題名がついていた。題名ほどは感動的でもなかったが、あの足だけで踊る踊りと言うのもなかなか良かった。

 そう言えば一月に入ってから工人体育館の国際何とかサーカスも見に行った。キップは全て闇のキップを、半額くらいで買って入いるのだが、このことについては以前書いたと思うので、省略する。

  以下は北京での舞台写真の撮影についての話なので、興味が無い人は、読み飛ばしてください。

  舞台の写真撮影はとてもブレ易い。舞台は意外に暗いので、シャッタースピードが遅くなりブレ易い。またアップにして撮るからブレやすい。踊る人はよく動くからブレ易い。このように悪条件が重なっているのだが、何故これが悪条件になるか、カメラに詳しい人なら分かると思うが、とにかくブレてしまってピントが合った写真がなかなか撮れない。舞台のいい写真を撮るコツは、出来るだけ近づいて、カメラを固定してブレないようにして撮るしかない。

  幸いデジカメの写真なので、ボケボケの写真の中から使えそうなものを選んで、ボケた写真をなんとか修正して、見られるようにするのである。実際のところボケた写真の修正はかなりのところまで可能である。

  演奏会場での写真撮影についてであるが、何故演奏会場で撮影が可能か、不思議に思われる人がいるかもしれない。答えは、ここは中国である、と言う回答が適当だと思う。中国でも赤信号の時、横断歩道を渡るのは禁止なのであろう。しかし守る人は殆んど居ない。同じく劇場での撮影は、原則禁止である。しかしこのルールを誰も問題にしていない。横断歩道の状況と同じとして説明すれば、理解してもらえるかもしれない。

  しかし、中国ならば、どこでも赤信号で渡っていいかと言うと、そうでもない。北京第一のメインストリート、長安街では赤信号のとき横断できない。舞台の写真の問題もこれと同じである。北京で言うならば、保利劇場など、一流のところは駄目らしい。この劇場では、開演前に7項目か9項目かの注意事項を繰り返し繰り返し、放送して啓蒙に努めていた。しかし、しつっこいほどの啓蒙にもかかわらず、演奏中に携帯で話す輩も出てくる。

  中国で舞台の写真が撮れることについては、中国特有の事情もあるように思える。中国のカメラマンというのは、以前は、幹部の働き振りを民衆に伝える役割があって、御用カメラマンであった。であるから会議で、出席者が思慮深げに資料などを見ているところを、すぐ側まで近づいて撮影する。音楽会といえども幹部が参加する芸術活動の一環として報道された。その為、音楽会でもカメラマンは熱心に動き回って撮影する。そのような使命感がなせる技なのか、会議でも、音楽会でも、カメラマンの動きが目立つ。控えめな日本のカメラマンとは違うのである。それならばと、一般の人も音楽会場で写真を撮っても良い、ということになるのではないだろうか。

  しかし音楽会でフラッシュを焚く者まで現れるのはいかがなものか。フラッシュの光などせいぜい4,5メートルしか届かないのに、それでもフラッシュを焚く輩がいる。ちゃんとマニアルを読んでから写真を撮ってもらいたいものである。屋外でもフラッシュを焚いて撮影している人は、日本より中国でよく見かける。