安徽省の古民居の旅ー3
(2月7日)

○ 外で立って飯を食べる人々
  この辺りは、やはり北京辺りと違う事も多いようである。家の建て方など明らかに違いうが、そのほかの習慣にしても違いが多い。例えば歩きながら、又は立ったままで食事をしている人が多い。このような食事の仕方は南の方に多いようである。湖南省の湘西と言われる所でもたくさん見た。北京ではこのような食事の方法をあまり見ない。但し工事現場などでは、食事をしているとき立ったままの人がいる。工事現場ではテーブルがないから、仕方がないとしても、家がちゃんと有るのに何もわざわざ外に出て、立ってご飯を食べることはないのにと思うのであるが。

  ホテルでの寝付きを良くする為に、スーパーにぶどう酒を買いに行ったのであるが、紹興酒がたくさんあった。これにはチョッと驚いた。中国で紹興酒を売っているのは当たり前と言われるかもしれないが、北京のスーパーでは殆ど売っていない。南の方は、紹興に近いせいか、北京などより紹興酒がよく飲まれるようである。北京人は紹興酒のような、中途半端な(アルコール度が低い)酒は飲まないようである。

  この辺りには、牛のほかに水牛がいる。牛と水牛の混在地帯である。もっと南に行くと水牛ばかりになるのだろう。

  やっぱり、方言は凄い。ガイドの話では村ごとに違った方言があると言っていた。そう言えば、この近くに前共産党総書記・江沢民の故郷があるそうである。今の胡総書記の演説は、手本にしてもいい位であるが、江沢民元総書記の演説は訛りが強くて、とても手本になるものではない。

 方言が凄いと言っても、運転手やガイドは普通語を話す。私は土地の人とは話が全く通ないので、運転手が普通語を話すのは、簡単な通訳として役に立つので便利だったもっともこっちの話す中国語は、簡単なものであるから、通訳も簡単だろうけれど。


○ レストランでオジヤを作って食べる
  昼飯は運転手と一緒だったので、あまり貧しい食事では格好が悪いかななどと考え、それに食堂の老板(ボス)も料理を熱心に勧めることもあって、食べきれないほど料理を注文してしった。ど田舎の食堂にもかわらず、三回の食事で、100元、120元、130元も掛かってしまった。その上当然の事であるが、料理も残ってしまった。残すことにいつも抵抗感がある私は、夜の一人の食事は、なるべく無駄のない注文をしようと考えた。

  それで黄山の麓の湯口のホテルのレストランでのことであるが、鶏肉豆腐鍋があったので、それとご飯だけを頼んだ。生卵をくれと言ったら、鍋に入れるのね、なんて言ってあっさりと生卵を二個持って来てくれた。更に調子に乗って青菜もくれと言ったら、これも持って来てくれた。ビールを飲みながら鶏肉と豆腐を先に食べて具を減らし、それから鍋にご飯と卵を入れて、おじやを作って食べた。自家製おじやは美味しくて安かった。何しろ料理一種類で済んだのであるから。卵代と青菜代は無料だった。やはり中国料理は一人なら一種類で十分である。

  次の日の晩、黄山市の四星ホテルに移って、そこのホテルのレストランにも一人で入った。ここでは一人の客を受け入れたことが無いのか、一人用のテーブルを、急遽用意しだし、それも一段と高い中央の台の上にテーブルを置きだした。そんなところで一人で食事をしたら、目立ってしまうので、見世物じゃないんだからと言って、テーブルを下に降ろしてもらった。"見世物じゃないんから"と言ったというところは嘘である。そんなことは中国語で言えないのである。

  ここでもおじやを作って食べようかと、メニューを見て鍋物の欄を見たが、鍋といっても、ここのは下でアルコールを焚く方法の鍋は無かった。だからおじやはチョッと難しいと思って、なおメニューを見ていると、若い服務員が、一人なら主食だけで十分でしょうと言うのである。これはもっともなご意見で、主食の楊州チャーハンだけでも、一人では食べきれなかった。こんなもっともな意見を言う小姐に出会ったのは、初めてであった。

  普通レストランに一人で入ると、一人で食べることが分かっているのに、冷菜は何がいいか、この肉の料理が美味しいがどうかとか、名物の魚とか、地鶏がどうとかこうとか、果てはスープは何にするかなどとうるさいのである。しかも一種類の料理でも食べきれないということが分かっていてもそう言ってくる。しかしこの小姐は私にとっては、常識的で、親切な服務員だった。

  しかしもう一人の可愛い服務員は常識が通じなかった。二本目のビールを頼んだら、これが気が抜けていて、泡が出ないのである。これは泡が出ないから換えてくれといっても換えてくれない。一本目のビールと同じ種類だから何の問題もないだろうなどと反撃されてしまった。泡末が無いという中国語はちゃんと通じたはずである。ビールは泡が大切なんだと言っても(そう言ったつもりなんですが)、どうしても換えてくれない。

  声を大きくでもしなければ駄目かなと考えていると、さっきの常識のある服務員が来て、さっさと買えてくた。後で考えたのであるが、たかがビールの泡で大騒ぎをするのは私くらいでなんだろうか。他の中国人は黙って気の抜けたビールでも飲むのだろうか。それであの小姐はそんな経験が無いのかな、なんて思った。ここは四つ星のホテルのレストランだったのだが。

  朝食はワンタンと包子三個で、三元40円位の朝食も食べた。こういう食事も又美味しかった。