北京での一人暮らしの食事は(7月23日)

  朝は軽くパンにするか、麺類を茹でるとか、冷凍の包子などを蒸かすなどして食べます。まあ軽い食事です。蒸し器は無いですが、鍋に少し水を入れて鍋の中にどんぶりを入れ、その中に天津包子を入れれば簡単に蒸上がります。大きいトマト一個と牛乳だけの場合もあります。

  昼は会社があるビルの地下食堂で食べます。ここのは当然中国料理ですが、レストランの料理とは違うので、家庭ではどんな物を食べているのか、食べ方はどうかなどが分ったような気がしました。例えば主食として、米のほかに中身の無い饅頭や、薄くした餅(小麦で作った薄い餅、日本の餠とは違う)、いろいろな形をした小麦の粉から作って製品などを同時に食べることが分かりました。これらをご飯と一緒に食べるのです。米のご飯と小麦粉製品の主食を交互に食べるのも、結構意外な感じがしました。

  おかずは殆んどが、炒めたものにドロっとした感じの中国の調味料をからめたものです。炒めた料理が基本らしいが、意外にさっぱりとした炒め物は無くて、ドロっ、ネチャっとした料理ばかりです。煮物も殆んど無くて、焼き物は絶対に出ないです。中華鍋で作る料理ですから、全部こうなるのでしょう。当然脂っこいです。

  夜はビールを飲みながら、簡単なものを作って食べます。普段は日本の味の方がいいので、外食はしないで、うちに帰ってから作って食べます。もっとも簡単な日本食というと、中国人が恐ろしげに避ける、生卵ご飯です。肝心なのは醤油で、日本製のものを使えば、日本の味になります。それにご飯はいちいち炊くわけではなく、冷蔵庫があるので、ご飯を冷凍しておきます。食べる時はそれを電子レンジで暖めるだけです。

  会社の中国人に、必ず帰ってから料理を作って食べると言うと、かなり大変な努力をしているように思われますが、電子レンジもあるので、冷凍したものを解凍して使えば簡単です。ところが会社の独身の若者などは、冷蔵庫も無い人が多いですから、とてもこんな芸当は出来ません。冷凍庫の中には作り置きのカレーライスもありますし、鮭の切り身や、冷凍の餃子などもあるので、結構いろいろな料理が、短時間でできます。しかし中国風の味付け絶対にしません。

  もっと複雑な料理も出来ます。中国料理には絶対にない無いと思われる、焼き魚料理なども可能です。魚を焼く網は、そごうで売っていた、たった一つの、日本製魚焼きの網を100元も出して買ってきたものです。これで、鮭の切り身も焼けます。最近は、シシャモもあります。シシャモは、"多春魚"として冷凍の物が売られています。冷凍の羊肉串を買ってきて、羊の焼き鳥もできます。中国で焼き物が無いわけではないですが、焼き物で中国にあるのは恐らく羊の焼き鳥くらいでしょう。しかしこれとても家庭では道具がありませんから絶対に出来ません。(注記;焼き魚を食べたければ、大都会ならば、日本料理屋に行けば食べられます。しかし北京あたりでも、新鮮な海の魚を買うのは難しいです)

  他には焼き飯も作りますし、たまにはカラーライスやハッシュドビーフも。日本の醤油でレンコンやサトイモの煮物も作ります。だしの素と醤油と砂糖で付けた味は正に日本の味です。日本の味と言うと、蕎麦も作りますし、スパゲッティーもできます。スパゲッティーは日本の味とはいえないですが、そのインスタントの味付けは日本製です。

  しかし普通作る料理は、極めて簡単な物ばかりです。キュウリやトマトのサラダ(洗って、切って、マヨネーズをかけただけ)や、大きい豆腐を買ってきて湯豆腐にして、鰹節をかけて食べると、それだけで腹一杯になり、それで食事が終わってしまいます。普通作るのはこのような簡単な料理の方です。

  日曜日、一人で外食するなら、日本料理とか回転寿司、西洋料理、ピザとかですね。中華料理は一人の時は食べません。中国料理なら飲茶料理くらいです。これは一人の時でも食べますが。中国料理は宴会とかで、皆で食べに行く場合だけです。それに中国料理は一人ではとても食べずらいです。そう言えば汚い店の天津包子などは結構美味しいものがあってこう言うものは外で食べますね。ラーメンも日本資本のラーメン屋があるので、そこで中国ラーメンよりずっと高いラーメンを食べます。

  因みに社員の食事に付いて聞いてみると、意外と貧しい食生活のようです。大部分の社員は地方から出てきて、下宿しているような状態ですから、テレビなども無いし、まして冷蔵庫など無い生活のようです。冷蔵庫が無ければ、まともな料理はできないでしょう。私の40年以上も前の学生時代の下宿生活のレベルと同じくらいかも知れません。私もその昔はこんな程度だったのかなーと改めて思いました。その頃と比べると結構豊かな暮らしができるようになりました。しかしこの豊かな感じは中国の中での比較であって、決して日本の中の生活と比べて、贅沢をしているわけではありません。日本のそばつゆの味で、これぞ日本の味だと感激しているくらいですから。