こんな人は中国に住めない(6月19日)

  老後、中国に暮らしてみたいなんて人もいるらしい。何と言っても中国は日本より物価は安いから、経費は年金で足りるかもしれない。治安はそう悪くないし、特に中国に縁がある人は中国に親しみがあるだろうから、老後中国でのんびり過ごすのも悪くないと考える人もいるようである。それに中国は外国であるから、異国情緒も事欠かない。中国的混沌とした異国情緒がいいと言う人もいる。さらに風光明敏な所もあるし温暖な所もある。ただし中国には温泉付きの別荘というのは少ないかもしれない。

  とにかく物価が安いのは魅力である。特に食べ物は安い。米の値段など5kg200円位で買える。日本の10分の1位である。ビールを家で飲むならば1本30円で飲める。朝飯は小竜包10個45円位で食べられる。豚肉は500gで140円、卵500gで30円、にんじんやトマトなどの野菜は500gで20円くらいだと思う。この500gというのは中国の基本の単位で1斤と言う。上記の値段については買い物をするとき、値段を確認してしてから買うことをしていないので、値段については正確だとは言えないけれど、10元(150円)札を出せば、野菜などはたっぷり買える。とにかく日本よりずっと安いのは確かである。

  しかしこんな人は中国には住めないと思う。

1. 中国で自分で車の運転をしたい人(中国は割り込み優先で、隙あらば割り込もうとしている中国人が殆どだから、とても危険。普通の日本人は運転しない方がいい)

2. 中国の道の横断が怖い人(信号無視が普通。信号の無い所では自動車を縫って渡れる能力を身に付けないと、道路を渡るのが怖いと思う)

3. 焼酎、ウイスキー、日本酒を飲みた人(中国には中国式の臭い焼酎はあるが、日本式の焼酎やウイスキーは少ない。どうしてもこれらを飲みたい人は、なかなか手に入らない輸入品を買わなければならない。しかし地方都市では無理かも)

4. デパ地下やスーパーで総菜や弁当を買って簡単に食事をしたい人(中国に惣菜や弁当は少ない。有ってもその味が問題。当然だが中国の味)

5. 日本の味でなければ駄目だという人で、外食が嫌いな人(自炊するためには日本の醤油と味噌が重要だが、中国にも醤油はあるが味がかなり違う。輸入品を買えれば問題は無いが、これは高いし、買えるところが限られている。日本から送ってもらえれば問題は無い)

6. 日本料理屋で、日本の料理を食べたい人(北京や上海には日本料理屋が沢山あるが、風光明媚な昆明にはあるかな?)

7. 何時も刺身を食べたい人、海の魚を食べたい人(北京とか大連とか上海に住んでいれば何とかなるが、内陸部で海の新鮮な魚はなかなか手に入らない。普通は川魚で、骨ごと料理するので骨が多い)

8. 旨い中華料理を食べたい人(実は本場の中国料理と日本の中華料理は味が違う。だから中国系調味料が合わない日本人は、本場の中華料理に幻滅を感じるだろう)

9. 食の安全について気になる人(注水豚とか瀝青豚というのをご存知だろうか。注水豚は豚肉の重量を増すために、生きている前に強制的に水を飲ませたり、堵殺してからは口や肛門から強圧の水を注水して、豚肉の重量を増す方法。瀝青豚は豚の毛を抜く為にコールタールを使って毛を抜く方法。もちろんこの方法は違法である。しかし中国では違法であっても、監視の目を潜ってこのような違法の肉が売られる)

10. 自然食野菜を食べたい人(中国でも温室物の野菜が多くなって、冬でも生野菜が食べられる。しかし怪しい殺虫剤が使われていないかどうかは、どこが保障するのだろう。日本への輸入でも何時もチェック体制が問題なる)

11. 家の修理をきれいにやってもらいたい人(これは中国ではなかなか難しい。技術を持った修理職人はどこにいるのだろう。探すのが大変。大きな単位、例えば大学とか公営企業にはお抱えの専門職がいるが。いたとしても修理方法は、日本人が期待する方法と雲泥の差である。埃だらけにされる)

12. 綺麗な皿で料理を食べたい人(中国の陶器は有名であることを歴史で習ったが、意外にデパートで売っている食器の種類は極めて少ない、綺麗な銘々皿などは無い。大勢でつついて食べるための愛想の無い皿ばかり)

13. 居酒屋で軽く一杯やりたい人(中国には酒を飲むのが目的の居酒屋は無い。中国の店は食べるのが目的。仕事が終わってからの“飲みに行こう”と言う言い方は無い。飲みに行きたいなら駐在員ご用達の日本料理やスナックになる)

14. 玄関から私生活を覗かれたくない人(北京あたりの住宅は、玄関も、その先の廊下も全くない。このような形式だと、ドアを開けるといきなりリビングになっている。だからドアを開けると部屋の中が丸見えになってしまう。場所の節約の為か所謂エントランというものが全く無い。以前上の階の住人がよく喧嘩をしていたが、喧嘩の声は、一旦ドアから外に出て、階段を伝わり、私の家のドアから侵入してくる)

15. 工事などで、家の中に土足で入ってこられたくない人(じつはこれは大分よくなったように思う。最近はこちらでも床に木の板を使うようになったせいかもしれない。しかし断固として土足を拒否しないと、土足で上がってこられる。靴を脱がせることに成功したとしても、その靴下がとんでもなく臭いことがある)

16. ごみが散らかっていることが気になる人
17. 病気が心配な人、入院の可能性がある人 
18. ガァーッと痰を吐くのが気になる人
19. 時々音楽会で西洋音楽を聞いてみたい人。
20. 公衆のトイレが気になる人(北京ではかなり綺麗になったが)
    
  16から20までは説明不要だろう。これを読む人の為に書いた文章にしたつもりが、客観性の無い私の意見になってしまった。長く中国に住めないのは私自身のことである。