久しぶりの日本
(1月12日)

  久しぶりの日本の空は青かった。遠くのビルもハッキリ見える。用事があって東名高速を自動車で走ったが、富士山がきれいに見えた。帰りは西から東に走ったが、今度は富士山に夕日が当たってとてもきれいだった。南アルプスのあたりの山も遠くに、雪をかぶって見えた。

   久しぶりの自動車の運転だったが、日本では安心して運転できる。歩いていても日本では道が平らで、段差が少ない。歩道に変な段差なんて無い。道に関して言えば、日本ではゴミや埃が少ない。尾張一宮まで行って雪に遭って困ったけれど、雪解け水が跳ねても自動車はたいして汚れなかった。

  日本の自宅が在る住宅街の周りを見回してみると、ビニールの切れ端などは無いし、家の軒下にガラクタなど無い。だから毎日道を掃除する必要も無い。

  街に出てレストランで食事をしたが、昼からオバサン同士で食事をしている。暮れの繁華街(東京ミネラリオ)を見に行ってみても、爺さんも婆さんも若者に交じって見物に来ていた。日本では年寄りでも結構出歩いている。しかし住宅街では家に中に引きこもっていて外は静かである。

日本のラーメンは美味しい、あっちのラーメンもこっちのラーメンも食べて見たくなる。日本の中華料理も美味しい。水道の水(千葉県佐倉市の水)もそのままで飲めて、しかもおいしかった。

日本に居ると日本の良い所に気が付かないかもしれないが、日本と中国(北京あたりの)では、チョットした周りの環境でもかなり違う。まず空の様子が違う。前に北京の空の様子を、“冬の日の幻想”に喩えて書いたが、あれは誉め過ぎであたかもしれない。中国の空はスモッグで見通しが効かず、遠くのビルが霞んでしまう。東京の湾岸高速からも富士山が見えたが、北京では北京の西にある西山も中々見えない。この原因は多分スモッグであると思う。それから比べると日本の空はとてもきれいで青かった。夜になれば星が良く見える。北京の“冬の日の幻想”の実態はスモッグである。

  中国の運転の仕方は日本のそれと随分違う。中国では割り込み優先で、先に頭を突っ込んだ方が勝ちと言う運転の仕方である。絶えずすごい割り込みに気を付けなければならない。運転の仕方と国民性はどこかで関係があるのだろうか。中国の交通法規はどうなっているのだろう。交通法規の上では直進優先であっても、実態はそれを無視して割り込みがあたりまえになっている社会の様な気もする。そうであるとすると法律による規制は、あまり効果が無いと言うことなのだろうか。実は中国では車だけではなく、列への人間の割り込みも多いのである。

  北京の歩道は舗装されている所が多いが、結構凹凸があって、取り外したポールのボルトの頭が、歩道にそのまま残っていたりする。歩道にボルトの頭を残しておく工事というのは、どうしてそうなってしまうのだろう。とにかく歩道が日本ほどは平らでないのである。

   昨年の末、北京で連続して雪が降ったが、北京の街のタクシーは雪解けの水で相当汚れていた。日本では雪であれほどは自動車が汚れない。やはり北京あたりでは乾燥していて、砂埃、土埃がとても多い。それに北京あたりでは家の周りが結構汚い。“胡同”の家の軒下などはガラクタが積んであって相当乱雑である。私が住んでいるアパートの階段にも、私物のガラクタが散乱していて、美観上酷い状態になっている。私が気になるような状態でも、この辺の人は気にならないらしい。とにかく日本では路地裏でもあれほどにガラクタが散乱している事はない。専属の掃除人がいなくても清潔である。中国ではビニールの切れ端でも紙屑でも気軽に捨てるから、専属の掃除人が居ない場所では清潔さが保たれない。

  今の中国で金を持っているのは、若者であって老人は金が無さそうである。それで老人はあまり繁華街などには行かない。その代わりと言うわけでもないが、家の周囲では何時もぶらぶらしている。家の周りでおしゃべりや日向ぼっこをしているのは、中国的現象である。日本では何故か外でひなたぼっこをしている老人が少ない。中国では60歳前に退職する人が多いし、年金を貰っている人は少ない。保険制度も老人を保護していない。


  日本では昼間からオバサン連中がグルメなレストランで食事をしている。中国ではオバサン同士で会食をするなんて事は全くない。少なくとも私は見たことがない。これは金が無いと言ういこともあるかもしれないが、オバサン同士で外で食事をすることは、タブーとは言わないまでも、そんな事をするものではないという、社会的制約が有るようである。

  ラーメンは日本の料理である。中国で日本のラーメンの様な美味しい麺を食べたことが無い。中国に本場のラーメンを食べに行くなんて、これは大変な誤解である。日本のラーメンの麺は中国のものと作り方も違う。ラーメンは日本が本場で、日本のラーメンは中国のラーメンよりずっと美味しい。確かに中国にラーメンと言う名前は有るが、名前は中国から来たものである。

   中国料理も日本の中華料理の方がずっと美味しい。日本の中華料理は日本人向きに出来ているから当たり前といえば当たり前である。と言うことは中国の中華料理は日本人に合っていないとも言える。中国の料理は、量が多い事を誇りにしている様な料理で、味は中国的調味料の味が強烈である。辛さにしても変な辛さの味が多い。油の使用量も多くて料理が脂っこい。魚は骨が取られていないから小骨が多く、激辛の料理も多いし・・・

  すべての中国の中華料理がこのようであるわけではないが、少なくとも北京あたりの料理はこうである。日本の中華料理となると、中国特有の香辛料を使用していないから、辛いと言っても変な辛さの料理ではなく、マイルドな味である。その代わり量が少ないのが、日本の中華料理である。(、中国にも美味しい中国料理は有る。露天の小籠包や羊肉串などは安くて美味しいし、外国人がよく行く高級ホテルのレストランなどの料理も美味しい)

  そんな訳で、日本に帰省中の友達との会食に、二回も日本の中華料理の店を利用した。そして用事があったのであちこちドライブをしたが、関東平野の北からでも富士山はよく見えた。日本の空気は中国の空気よりずっと澄んでいるようである。