物業公司
(12月06日)

  中国の団地やビルの管理は、○○物業公司と言われる会社が管理している。物業公司と名前がついているが、管理会社である。管理会社が管理しているのは日本と同じであるが、日本よりずっと管理範囲が広い。物業公司は殆どの場合警備や清掃も担当している。中国ではどこでも警備と掃除にかかわる人が、日本よりずっと多い。団地でもご多分に洩れず、警備員と掃除人が沢山居る。日本ではそれほど必要とされない警備員と掃除人が、中国では何時も何処でも必要とされている。そうしないと盗難とゴミが多くなると言うことかもしれない。

  物業公司は郵便物の配達もしたり(ビルの中の物業公司は、配達された郵便物を会社迄を持ってきてくれるが、団地の物業公司は持ってこない)、有線テレビ、暖房の修理をしたりもする。水道費、電気代の徴収をするところもある。電気や水道の故障があるときは、物業公司に連絡する。団地内の事件についても警察より先に、まず物業公司の警備員に連絡することになっているらしい。この様に、物業公司のサービスの範囲はとても広い。

  その物業公司のいろいろな仕事の中でも、特に目立つのが警備である。その警備の方法であるが、何はともあれ団地を囲ってしまうと方法である。囲ってしまえば安心とでも言う様に高い塀を巡らす。そして入り口を一つか二つにしてしまう。かなり大きい団地でもそうである。私が居る団地は相当大きいが、それでも入り口は二つだけである。その上自動車が通れる入り口は一つだけである。入り口から遠い人の不便など考えない。入り口を少なくして、そこを抑えて管理しようという発想らしい。団地の奥の人は、不便なので塀を乗り越えたり、中には塀に穴をあけてしまう人も居る。私の部屋の位置はまだ良い方であるが、私には塀に穴をあけたい人の気持ちが良くわかる。塀の柵の鉄格子が金鋸で切られると、それを防ぐために更にそこが強固になる。

  住民の便利さより安全が第一と言う考えもあるだろう。しかしその警備と言っても、警備員が巡回するわけでもないし。出入りする人をチェックするわけでもない。警備員は守衛所にただだらっと居るだけである。私が通る門で警備員がすることは、自動車の進入を許さないことである。自動車は別の入り口まで遠回りしてから、入らなければならない。自動車の進入を許さないことは交通安全の為とかも考えられるが、そうではない。私が通る門は広くて自動者が通るのになんの問題も無いところなのである。以前は自動車も通れた。もともと中国にはタクシーが構内に入るのを嫌う団地や大学が結構有る。そう言ったところは公共性のある場所でも、構内が広くて不便なところでも外部の自動車の新入を許さない。部外者は排除して安全を保つと言う発想であろうか。それてとも関係者だけに自動車の進入の権利を与えると言った考え方かもしれない。

  我が団地でも、外部の車が団地に入る場合、お金を徴収し始めたことがあった。外部からの車からは、当然お金を取る権利があると考えたのであろう。しかしさすがにこれは住民の反対があった為か、暫くして中止になってしまった。それまでは門のところで何時も揉めていた。管理会社でありながら住民の為のサービーなどはあまり頭にないようである。サービス会社と言うよりサービスの悪い村役場と言って感じである。

  その団地の入り口であるが、夜になるとここが閉じられて鍵がかってしまう。それで真夜中に帰る時は、門を乗り越えなければならない。これも保安の為とも言えるが、実情は決してそうではない。入り口を乗り越えても警備員は寝ていて起きても来ない。不審者の侵入を防ぐならば、起きていてチェックするべきである。鍵さえ掛けておけば安心と言う考えの警備では、殆ど意味がないのではと思うのだが。

  いずれにしろこの歳になって、高い塀を乗り越えて怪我をしたなんて、笑い話にもならないから気をつけなければならない。(ここまで書いてきて、疑問が湧いてきたのであるが、団地の中には自動車を持っている人が結構いる。その自動車が真夜中になると、団地に入れないなんて、いかにも不合理である。別の入り口に回れば、自動車も人も入れるのかもしれない。しかし全てが凍り付いている真夜中に、別の入り口が開いているかどうか調べに行く余裕は無い。やはり近くの入り口の門を乗り越えるしかない)

  この住民にとって極めて不便な入り口の少なさに付いてであるが、改善の要求にならないのだろうか。それとも永い間城壁に囲まれて暮していた中国人は、これが当たり前と思っているのであろうか。一党支配の影響であまり意見を言わなくなっているのだろうか。家の作り方(中国の多くの民家は、高い塀で囲まれている)などをみていると、囲わないと不安、鍵を掛けないと不安、という考え方が染み付いているように思える。ちなみに団地の家の窓には鳥籠のような鉄格子を付ける。4階の家でも付けているところがある。そして扉は二重にしたりする。それはそれで仕方が無いことだとしても、囲ってしまえば安心とか、鍵を掛ければ安心とかの考え方があるのではないかと思う。この考え方は安全の点からからみると極めて危険な場合がある。過去には非常口にまで鍵を掛けてしまって、大量の死者が出た火災があった。

  いずれにしろ団地の入り口の数をもっと増やして、鍵などを掛けずに、住民の便利さを優先する物業公司であって貰いたいものである