中国の文明と文化のお話
(4月26日)

隣の村の中の壁に、"文明の創造に貴方の参加を必要としている"と、でかでかと書かれていた。このような標語は石灰で書かれていて、美観上あまり良いものではない。最初なんと大げさなことかと思ったが、どうもこの"文明"とは、"新しい中国文明を作ろう"ということではないらしい。ゴミをやたらに捨てないとか、ルールを守るとか、礼儀正しくすると言う程度のことらしい。しかし北京の町の中ではこのような石灰で書かれた標語を殆ど見かけない。それで農村のみに"文明"の普及が必要かなのかと思ったが、よく見ると、北京市内でも"文明"普及が必要らしかった。

最近北京で見たものは、"文明乗車"と言う小旗を持った人が、バス停で"並べ並べ"と叫んでいた。つまり行儀よく列を作って、乗車するのが、"文明"の一つであるらしい。"文明"とは何も大げさなものではない。

但しバス停に人を一列に並べるのは難しいと思う。バス停にバスが止まる場合、バスは一定の場所に止まらない。そうであると例え人が並んでいたとしても、人々はわらわらとバスの入り口の方に走り出し、そして列は無くなるか、扇状の列とも言えない塊になると思う。"文明乗車"を指導していたのは始発駅の柵があるところだけで、強制的に一列になるところだけであった。

それにしても文明の指導をするとかされるとか、中国もかなかなか大変なことが多いようである。実は、よく見ると文明を守ろうという表示は、私が住んでいる団地の中かにもあった。9行の注意事項みたいなものが書かれていて、九行といっても、一行の中に三つの項目が書かれている。つまり27項目もの文明遵守事項が書かれているのである。その中には"計画育成"とも書かれていて、これは一人っ子政策のことで、必ずしも軽い意味の文明とは言えないかもしれない。

更によく観察してみると、地下鉄の中にも守るべき"文明乗車"がこと細かく書かれていて、その中には"自主的に切符を提示しよう"などとも書かれていた。ここまで書く必要があるのかと思われるものまで書かれていた。注意事項はかなり丹念に書かれている。私の会社のエレベーターの中には、痰を吐くななどの他に、下着で乗るな、背中を出したまま(つまり上半身裸であることか)で乗るな、大声で話すなとも書かれていた。今までの中国は、成文化された法律などがかなり少なかったはずである。それなのに庶民には事細かに指示するのは意外に感じた。

そう言えば、北京の一流音楽会場に行ったときも、八項目もの注意事項が何回も放送されていた。日本だと二項目位の注意事故であるかもしれない。中国の"文明"とは守るべき注意事項と考えればよいのかもしれない。

次ぎは文化の話しである。"文化程度"と言う言葉があるが、これは日本語の文化とは違う様である。つまり学歴のことで、"文化程度"の欄には大学卒業と書くのである。日本語流に解釈して、自分の文化程度が低いとか高いとか書く必要は無い。日本語では学歴が低いからと言って文化の程度が低いということはならないし大学を出ているからといっても文化人とは言われない。

しかしこの中国語の"文化程度"の中には、学歴が低い人は文化の程度も低いと言う意味が、含まれているように私には思えるえるのであるが、どうであろうか。