波の伊八” を訪ねて…





本名を武志伊八郎信由といい、文政7年に73歳で亡くなるまで多くの欄間彫刻などの名作 を遺しています

高くあがった波が崩れようとするその一瞬を見事に表現
波を彫らせては天下一…と言われ、葛飾北斎の富嶽三十六景 “神奈川沖浪裏”に大きな影響を与えたそうです

今も受講中である何度目かの教材であった『波の伊八』
この時は残念な事に怪我で受講できなかったけれど資料だけは目を通し、実際に見てみたいものだなと…

のんびりしていた休日にふと彼のことを思い出し、房総にあるゆかりのお寺に出かけてみました



行元寺 (いすみ市)

入母屋造り二層の山門 本殿
本殿正面、ここが出入り口
  “牡丹に錦鶏” (webより)  

中に入ると正面は最近修復された極彩色の彫り物で飾られている
この欄間彫刻は徳川家公儀彫り物師であった高松又八の日本で唯一残っているものだとか
 岩絵具に漆や金箔などかみ合わせた優雅な彩色がなされ
桃山文化の豪華絢爛な雰囲気が漂う
伊八の作品が見当たらないので何処に?…と思っていたら本堂を抜けて裏の方へ…
薄暗い旧書院の方に、北斎に多大な影響を与えたという伊八の彫った波がありました

左が伊八が彫った波、右は北斎の名作『神奈川沖浪裏』

自然光だと波が微妙に変化する…との説明がありましたが、薄暗い部屋ではちょっと…
作品の保護のためには仕方ないのでしょうね










飯縄寺




緩やかな曲線を描く茅葺屋根の山門をくぐり…

奥正面は鐘楼 4面に彫物が施された鐘楼

左側にある社務所で受付手続きを済ませて本堂へ向かいます


本堂




誰もいなくて、どうぞお好きに…といった感じ
驚きと共にかえって緊張してしまいました(#^.^#)

小さなお寺だけれど、落ち着いた感じで居心地が良い
煌びやかな彩色もないのに何故か華やか…

桜の咲く頃もう一度来たいな
そんな事を考えていました♪
本堂左面



結界欄間の中央には壮年期の最高傑作とされる“天狗と牛若丸
天井は墨で描かれた“龍”
煤で真っ黒だった天井から、平成の大修理の際に発見されたそうです
烏天狗と大天狗の二つの面
正面の龍や阿吽の彫物も見応えある






お昼前の出発だったので既に夕刻
他へ行っても閉門時間なので、飯縄寺のすぐ裏になる太東崎に寄って帰宅する事に…

2~3分も走れば到着です

千葉県南東・九十九里浜南端に接する太東崎 海抜約63mに建つ無人の太東埼灯台



灯台前の公園にも“波の伊八”のポスターが

その昔、きっと伊八もこの辺りから太平洋を眺めたのでしょう