フィレンツェ (Ⅲ)






サン・マルコ美術館



14世紀に建てられた修道院、サヴォナローラも修道院長を務めたことがある
現在は美術館として公開されています


ここには修道士にして多くの宗教画を描いたフラ・アンジェリコの作品が最も多く展示されています


フラ・アンジェリコ “受胎告知”


2階の僧坊へ行こうと階段を上り、踊り場で向きを変えたら目に飛び込んできたこの絵
それほど期待も持たなかった絵だったのですが、それはそれは素晴らしいものでした
展示場所の意外性もありましたが大感激、しばらく見とれていました


2階は僧坊が並んでいる




各々の部屋の中にはフレスコ画が描かれている
磔刑図など様々なものがありましたが、私好みの絵を選んで…









アカデミア美術館


コジモ1世が初代総長を務めた美術アカデミーが前身で、美術館としての開館は19世紀だといいます


ここにはシニョーリア広場から移された、大理石を素材に2年を費やして完成したというミケランジェロ作の彫刻 “ダヴィデ像”がある
通年とても長い行列が出来てなかなか入れないと聞いていましたが、寒い2月というのは私達の狙い通り人も少なくすんなり入場…




奥の円蓋の下に置かれたダヴィデ像



視角に入ると同時に思わず “ワ~ッ、すご~い!” の叫び声があがります

台座を含めると6m、首が痛くなるほどの高さです
ヴェッキオ宮殿やミケランジェロ広場のとは比べものにならない迫力
凛々しい顔もさることながら筋肉の美しさにも圧倒、これが本物ということなのでしょうか

巨大な大理石の塊をひたすら彫って創り上げたミケランジェロ
改めて凄さを感じます

像の周りをゆっくりひと回り、見飽きる事なく見上げていました♪

(イメージ)








メディチ・リッカルディ宮殿


建設後約1世紀に渡りメディチ家の邸宅であったが
その後リッカルディ家の所有となったもの


城塞のような堅固な外観は
当時の典型的な富裕層の邸宅様式だとか…



建築当初は1階外壁のアーケードは開いていて
一部を塞いで窓を入れ込んだのがミケランジェロだそうです

ミケロッツォの中庭


  
  アーチの上のメディチ家紋章



フィリッポ・リッピの聖母子像


鮮やかな色彩が美しい天井画
煌びやかなルカ・ジョルダーノのギャラリー







サンタ・マリア・ノヴェッラ教会




サンタ・マリア・ノッヴェラ中央駅の真前に建っています

前方と後方では全く雰囲気が違った教会でした

後方に見えるのがSMN中央駅 駅側から教会に沿って反対側に回ると一般の入場口

白の大理石に緑色の大理石を組み込んで幾何学模様を配したファサードが素晴らしい

下部は14世紀半ば、上部は15世紀の完成だとか…
言われてみれば下層部アーチがややゴシック風で上部はロマネスク?
でもこういうデザイン…と思えば何の不思議もありません♪



マザッチョ、ブルネッレスキ、フィリピーノ・リッピなどの著名な美術作品が鑑賞できる

今は思い出せる絵画も、ごくごく近い将来脳裏から消え去ることでしょう(-_-;)


中庭で…
ここにもフィレンツェのシンボルが!










ミケランジェロ広場へ



前夜決めたのが “朝起きて雨が降っていたら行くのはやめよう”

出発の頃には今にも降りそうな厚い曇、迷ったもののやはり行ってみようと言う事になり…





今回のフィレンツェ観光で唯一乗った乗り物がこのバス
30分の乗車です


駅近くにあるタバッキという、日本のキオスクのようなお店でチケットを購入
乗車後は車内の機械(右の緑色)で刻印するだけで自己申告のようなもの

“チケットなしで乗る悪い人っていないのかしら?”

電車に乗るにも改札もなければ駅員もいない…
ヨーロッパで電車やバスに乗るとつい考えてしまいます(o^-^o)




ミケランジェロ広場





フィレンツェを一望できる
ビュースポットとして人気の広場



目の前に広がる旧市街の風景に見入っていたら雨がパラパラ!
慌てて傘を出したら間もなく上がり…

黒く重く垂れ込めた雲はなかなか動いてはくれないけれど、雨が降らないのを感謝しなくちゃと思い直して…(*^_^*)



1時間ほどの間にも、空というか雲は目まぐるしく変化します


広場中央にに堂々と立つダヴィデ像
もちろんレプリカです
赤が目に付いたので近付いてみると…
シンボルマークでした




街の反対側
トスカーナの山々が見渡せます

フィレンツェに現存する最古の市壁も見えます






サン・ミニアート・アル・モンテ教会



広場を抜け左側の坂を上っていくと
11世紀に創建されたロマネスクの教会堂へ着きます


白と緑の大理石の美しい幾何学模様のファサード
サン・ジョバンニ洗礼堂と並ぶ
フィレンツェ・ロマネスク様式の代表作


通りかかった司祭様




高台に上ると常にドゥオーモの赤い屋根が目に入ります♪






帰路はバスには乗らず、徒歩でドゥオーモ方面へ…



グラツィエ橋を渡って…


北側に見えるのがヴェッキオ橋
先日見たのとは反対側になります










左はダンテ・アリギエーリ像

生誕600年を記念して広場中央に設置されたもの

今は教会前の石段に移されています


サンタ・クローチェ教会

















ここにはイタリアの偉人の墓や記念碑が多い








主祭壇に向かって右側にあるヴァザーリ作のミケランジェロの墓




これだけはまだ鉄骨を組んだだけでかろうじて見えたものの
続くはずのロッシーニやダンテの墓等は全て修復中でした


下の写真のように工事を隠す(?)写真入の垂れ幕がかかっています
修復作業終了後には、長年の汚れを落とし当時の姿に甦った墓碑が見えることでしょう

まだまだ先のようですが…





向き合う左側…


こちらが先に修復されたようです
君主論”のマキュアベリの墓 ガリレオの墓碑

異端とされたガリレオは教会内に葬る事を許されず
没後100年以上たってようやくここに今の墓が作られた






正面の主祭壇も鉄骨だらけで大工事の現場と化しています



ジョットの壁画で装飾された礼拝堂


コレも勿論(?)写真





芸術作品が多い内部も1/3が工事中といってもいいくらい、お目当てのものもほとんど見られなかった…

これじゃ入場料は半分にして欲しい…と話したものでした




聖具室にある礼拝堂


素晴らしい教会である事は事実、でもここまで一時に工事をされると…
工事でほとんど見られなかった教会…という印象だけが残りそう!

この大修復工事、日本の金沢大学の宮下教授の指導の下に行われていると後日知りました
来訪時に知っていたらもっと違った目で眺めていた事でしょう
あまり詳し過ぎる情報も迷いの元と、美術館のチケット予約以外はネット情報を避けていたかも…

次回の教訓と致しましょう


中庭の回廊
出口付近の壁にかかっていたナイチンゲールの記念像









ここを最後にフィレンツェともさよなら…、再びローマに戻ります




フィレンツェから戻って来たのが5時前
まだ明るい事もあってホテルから近い レプブリカ広場へ向かいました




レプブリカ広場





ナイアディアの噴水









サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会




元はディオクレティアヌス浴場だったのを、16世紀にミケランジェロが円形の温浴室と中央の巨大な冷浴室の部分を利用して改築したという教会です
一度に3000人を収容できたといいい、外観からは想像できない空間が広がります

ファサードは大浴場の遺構をそのまま残したもの

広場に面しているので新旧の景観のミスマッチが面白い♪
主祭壇







壁面は絵画と華やかな装飾で飾られ、色とりどりの大理石が敷かれた床面も美しい




左側の円から白い大理石の一見通路が床に伸び、その周りに様々な絵が描かれたレリーフがはめ込まれています
何らかのメジャーのように見えるけれどこれは子午線だそうで、日時計のような働きをしていると…

グレゴリオ暦の正確さを計るためにクレメンス11世が作らせたとか…



壁面の2枚の絵に挟まれた紋章のようなもの


この真ん中に穴が開いていて
そこから太陽の光りがさしこむようになっている
その光りが上の写真の何処に射すかetc....



わかったようで???
単にきれいだったのと物珍しさで撮っただけでした…(o^-^o)






こちらも同じく???


はかりのようなものの先に腕があり
その指先にあるのは地球儀

ガリレオ関連のものらしいけど…



確信ない説明で“ごめんなさい”なのですが、教会内部のかなりの床面積を占めていて見学者の興味を引くのです
せっかく撮った写真、お見せしようと載せました(o^-^o)




 
行きそびれていたサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会の中にも入り、その後チョッピリ夜の散策を楽しみました

本日というより、今回の旅行はこれで終了
朝8時から夕方6時頃まで、ランチタイム&ティータイムを除いてほぼ歩き詰めの毎日…
それでも疲れを感じる事もなかったのは、やはり歴史を肌で感じる事ができた素晴らしい街だからでしょう

心に残る素晴らしい思い出を胸に、明日はいよいよ帰国の途につきます








      





ローマ~フィレンツェ間の移動に乗ったユーロスター

右のようにロゴ部分は赤に白字で同じ

たまたま撮った写真を見て “あら?”
先端部分のデザインが往復で違っておりました
ローマ → フィレンツェ フィレンツェ → ローマ






      








到着時を思い出し、 見覚えある建物が見えるかと眼下を凝視するも…

予想を裏切って飛行機は即海上へ向けて飛行
考えてみたら往復同じ場所を飛ぶはずないのです、そんなことしたらぶつかってしまう…(*^_^*)
往路の感激をもう一度…の甘い夢は泡と消え去ったのでした♪





古代ローマに思いを馳せ、輝かしいイタリアルネッサンスの風に触れた旅もあっという間に終わり…
夢中で過ごした2都市での滞在をこうして思い出していると、まるで数日前まで居たような気さえします

以前の記憶と違って治安も良く、埃っぽく感じた街全体が日本と大差なくきれいになってるように思いました
以前は抵抗があった“永遠の都” という言葉も、今なら納得できそうです♪



行った本人は様々な場所や作品との出会いで感激したものですが、この旅行記を見て下さったあなたは…

各地を回ったわけではないので風景の変化もなく、ましてや教会が多いときては退屈だったことでしょう
ここまでお付き合いしていただいて本当にありがとうございました(o^-^o)