ローマ Ⅱ)







ヴァチカン



皇居の半分にも満たないという世界一小さなヴァチカン市国は、ローマの中心地と向き合うようにテヴェレ川を挟んだ西側にあります
誰もが知るカトリックの総本山、世界中から多くの人が押し寄せる“小さくて大きな国”

又ここは世界一の芸術の都でもあります。


前回は大聖堂をガイドの後を追って30分ほど見学し、たしかその後1時間弱のフリータイムだった…?
“クーポラにも上がれますよ”と言われたけれど時間的に無理と判断、余裕のない見学時間設定にガッカリした経験あり

以前の穴を埋めるべく、ヴァチカンは今回の旅行の最大の目的地
個人入場は場当たり的に行くと延々と続く行列に並ぶ事になると知り、旅行決定早々に9時入場の予約をとって臨んだのでした




ヴァチカン博物館



地下鉄の最寄り駅を降りると既に一定方向に人の流れ…

9時前に到着、先ずは受付でコピーして持参した予約券と入場券を交換
そして日本語のオーディオガイドをレンタル、いよいよ…





美術館へ行く前に…





ビーニャ広場



入場直前から降り出した雨がちょうど止んでいたので外へ


 正面には松ぼっくりと2羽の孔雀像

ビーニャというのは松ぼっくりの事、つまりはこの広場の象徴という事でしょうか
古代ローマ時代には噴水だった由緒あるものだとか、ミケランジェロが作ったという階段の上に鎮座しています


クーポラの最突端
後方の丸屋根はサン・ピエトロ大聖堂


広場中央に写っている玉
クーポラのゴールドの玉は同じ大きさ

クーポラの大きさ、想像できますでしょうか




ヴァチカン博物館というのは、古代から現在までの芸術品を擁する世界最大のもの
27もの美術館と博物館で構成され、展示コースは7km以上もあるそうです




ピオ・クレメンティーノ美術館

先ず最初はエジプト博物館…





様々な彫像・美術品やミイラ等が展示されている
文字が刻まれています


ガイド本を参考に回るつもりでいても、実際に歩き始めると行程は違ってしまうもの
本は気にせず足の向くまま…の鑑賞となりました





ベルヴェデーレ彫刻庭園



美術館の中にある八角形の庭
それぞれの角に古代彫刻の傑作が並んでいます
ラオコーン群像
ふたりの子供と共に蛇に締め付けられている



マリウスの回廊、ブラマンテの廊下を抜けて…


数え切れない数々の彫像が展示されています


ベルベデーレのトルソー




トルソーというのは“幹”の意味
転じて頭や手足のない胴体の彫像を指すそうです

このトルソーはミケランジェロの研究対象となり
後の作品に反映している…と


中央はヘラクレスの金箔像







タペストリーの回廊&地図の回廊…

左右両方の壁にズラ~ッと飾られています

ラファエロの弟子達の下絵に基づいてブリュッセルで織られたものとクレメンス7世時代の福音書の物語をテーマにしたフランドル製のタペストリー
システィーナ礼拝堂の下部壁面にかけるために制作されたそうです



イタリア各地を描いたフレスコ画






薄暗いギャラリーで光り輝いていたのが天井


おびただしい数の絵や装飾で、ひとつひとつ見ていられないけど

とにかく “きれい!”



タペストリーや地図よりも
天井の写真を撮っている人の方が多かったかも…


マリア無原罪の間










ラファエロの間


ラファエロと弟子達によるフレスコ画が飾られた4つの部屋

後期ルネッサンスのローマで、彫刻・建築・タペストリーの下絵制作など絵画以外の分野にも才能を発揮した
25歳の若さでヴァチカンでの仕事を与えられたラファエロは、ローマ教皇の寵愛を得て巨額の収入・屋敷を手に入れ、又多くの弟子達に囲まれていたといいます

37歳の若さでこの世を去る短い生涯の中で、温か味のある優しげな素晴らしい作品を残しています



壁画 & 天井画






“アテネの学堂”






署名の間に描かれたフレスコ画



   自画像部分のアップ
   黒の帽子を被っているのがラファエロ
古代の偉大な哲学者達が議論をしている場面を描いたこの大作には、ラファエロの同時代人の容貌が描きこまれている

中央のアリストテレスと並んで立つ白い髭のプラトンはレオナルド・ダ・ヴィンチ
画面左前方で考え込むヘラクレスがミケランジェロで、ラファエロ自身も右端に顔を覗かせている

以前はアリストテレスはミケランジェロ…と言われてきたが実は…
ここでは省きますが、興味深い後日談が紹介されています♪



縦が5.77m、横8.14mという大きな壁画、部屋の後ろの方に行かなければ絵全体の写真は撮れない
ところがそう大きくもない部屋の中ほどに大きな説明台が設置されているのです
写真を撮ろうと台の後ろに回ると台が邪魔して半分しか入らず、前に回ると距離が近くてカメラに納まらない…

カメラを構えている人の手や頭を避けて頑張って撮りました、これでも…


修復されて甦った美しい絵、本当は心に刻んで置けばいいのでしょうが、やはりカメラに納めたい…(o^-^o)

壁いっぱいに描かれた力強くも美しい絵、それはそれは素晴らしいものでした







システィーナ礼拝堂



ミケランジェロの天井画と祭壇の “最後の審判” の画で名高い礼拝堂である
礼拝堂の天井画は1508年~1512年の作
最後の審判は1536年、既に60才になっていたミケランジェロが5年の歳月を費やして描いたもの

ここも修復により完成時の美しい色彩を取り戻し、当時と同じ感動を与えてくれます

“最後の審判” 天地創造から人類再生までを9場面で構成している








ピナ・コテカ



11~19世紀に制作された絵画&タペストリーを展示する美術館


メロッツォ・ダ・フォルリ作のフレスコ画 “奏楽の天使”



ブルーの空を背景にした天使の表情や巻き毛がさわやか…
素敵な天上の音楽が聞こえてきそう♪
ダ・ヴィンチ作 “聖ヒエロニムス”




チョッと不気味…
28歳頃の作品といいますが、未完成のまま残されていたそうです



37歳で亡くなったラファエロ最後の作品、  “キリストの変容”

完成間際に亡くなり、下部の悪魔に取り付かれた少年は弟子が加筆したと言われていた
それが近年の修復時の鑑定で、ラファエロ本人のものと判明したそうです








ヴァチカンのポスト






大勢の人が絵葉書を買って書いていました
私達も記念に…と、自分宛のエアメールを投函♪
出口へと続く美しい螺旋階段





ヴァチカン博物館を出て、次はサン・ピエトロ大聖堂へ…


いったん外へ出て
高くめぐらされた塀に沿って広場の方へ歩きます



おしゃべりしていた衛兵さん
制服が可愛いのでつい…


サン・ピエトロ広場


ベルニーニの列柱廊
 高さ13m・284本の柱からなる回廊が、広場を包み込むような印象を与えます
回廊上の聖人像、140体ありベルニーニの弟子達の作品です





  サン・ピエトロ大聖堂


初代ローマ教皇・聖ペテロの殉教の地に、コンスタンティヌス帝によって4世紀に創設された
16世紀にはブラマンテが大改築を命ぜられ、以後ミケランジェロ・ラファエロ・ベルニーニなどに引き継がれ、120年の歳月をかけて完成した

今なお聖ペテロの司教座として絶大な影響力を持っているカトリックの総本山である

広場中央に建つ高さ25m余りのオベリスク
エジプトから運ばれたもので、17世紀にこの地に移された

前回はたしか正面入口から入ったと記憶
今回は右側柱廊に沿って行列が出来ていて、その後部に並んで…

やはり少~し変ってました♪
昔ながらの槍を持って警護に立っているスイス人傭兵
スイス人傭兵を警護に使うのも
教皇庁の中世以来の慣行だといいます

出口付近にいた二人の兵士は笑いながらおしゃべりしてた
休憩中か待機?
動いている(?)衛兵、初めて見た!


入口まで来たら賛美歌が聴こえてきた
何事かと思って外へ出てみたら…



どういう人達かはわからなかったけれど、クーポラに登った時も下から歌声だけが響いてた
ずっと歌い続けるのも疲れるでしょうに…(*^_^*)




ベルニーニの天蓋(バルダッキオ)




捻れた柱や過剰なまでの装飾が施されたブロンズの天蓋
十字架を含めると高さは29mという大きなもの


その後ろに聖ペテロの司教座が見える
ベルニーニはバルダッキオが聖ペテロの司教座の額縁の役割を果たすように
配置などに工夫したらしい


ミケランジェロのクーポラ 入口から後陣までは200m以上
いかに大きいか…




クーポラと天蓋の下で教皇が祭礼を執り行う
世界で最も神聖な場所である


ピエタ像




19年前に見たヴァチカンで一番印象に残っていたのがコレ
ミケランジェロ23歳の作品だとか


悲しい場面のはずですが
繊細な彫刻は静かな美しさを生み出している
素晴らしさに口元が綻んでしまいます


素晴らしいものは何度見ても素晴らしい♪

実はこのピエタ像、正面に向かって左側中ほどにあったと記憶していたのに実際は入ってすぐの右側
あまりの違いに頭の中は大混乱!?


帰ってから昔の写真を引っ張り出してみたら…
今は十字架の右にある明かり取りの窓、昔の写真を見ると窓は左にありました

窓が移動するわけないし、もしかしたら私の記憶は…
はてさて真相は…??







クーポラへ…



途中まで上がるのに方法はふたつ、5
で階段を登るか7のエレベーターを使うか…
博物館で歩き疲れた私達、ここではエレベーターを使用しました



エレベーター終点に近いクーポラの側廊で


安全の為に張られた金網
2m近くあり、写真を撮るのにチョッと邪魔でした(*^_^*)

クーポラの大きさ、想像できるでしょうか
天蓋や後陣が上から見渡せます









最終目的のクーポラの展望台



大聖堂クーポラの上から見たサン・ピエトロ広場、絵葉書で見るような風景が広がります



中央に延びるコンチリアツィオーネ通りを突っ切った左側、丸い建物はサンタンジェロ城
すぐ近くなので同日に見学を済ませたいところでしたがヴァチカンの休みが日曜
そしてサンタンジェロ城は月曜…

という事で別々の日に訪れたので結局この道は通らずに終わりました(*^_^*)








後日行ったサンタンジェロ城からの眺望
コンチリアツィオーネ通りの先にサン・ピエトロ大聖堂が見えます






クーポラから降りて時計を見ると4時前
博物館に入ったのが9時だったから7時間近くヴァチカンにいたわけです
余裕をみて5時間程度を予定していた私達、2時間のオーバーには笑ってしまいました

疲れも感じる事もなく夢中で歩き回ったわけですが、帰ってから関係書籍を見たら入っていない部屋がいくつもありました
いったい7kmのうちの何キロ分の展示作を見たのでしょう

ヴァチカンの偉大さを改めて感じたのでした♪