お宝

真っ暗な公園の入り口に
置き忘れられているのは
おや、補助輪付きの自転車です

前カゴにボールを乗せたまま
ぐっすり眠っていましたよ
今日は暖かい夜でよかったね

でも、ちょっと待て、と
僕は自転車のブレーキをかけた
もしや…

案の定、公園に居ましたよ
灯りに照らされたお砂場に
ひとりで遊ぶ男の児が

シャベル持って
ぽつぽつ掘っていましたよ

(何をお探し?)

すると彼はきょとんとした後
ニッと笑ったのです
泣いた跡のある顔で

(お宝!)

僕らはすぐに帰りました、もちろん
公園の入り口までは一緒に
だって、雨も降りそうでしたしね

(はて、お宝って?)

僕は考えちゃいましたね
暫し腕組みして

   (2000.1.6)



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