たゆたい

ビルの谷間で立ちすくみ
人々の流れをせき止める

心地よいざわめきに包まれて
私という実体が消えてゆく

全てが人工的である筈なのだが
既に整列を放棄しているようだ

自ら生み出した者たちに己を委ねること
埋もれたノスタルジーに背を向けること

あの海原や草原などは
もう忘れてしまってもよいのだ

実際、俺たちには無縁であって
金持ちどもにくれてやればよい

この舗道や路地、そして人という棲物
これらが新たな自然環境となっている

そう・・・都会人類という棲物
単なる共存者としての棲物

私は、これ以上の何も要らない

       (2017.6.6)



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