その地平

私の眠りは絶望の眠り
叫び

失われているのではなく
埋もれている
切り取ることも
写し取ることさえできない

そこにあるものと
そこにはないものと
ありのまま、とは何なのか
同一の平面に「描かれた」もの

誰も見ようとはしない
付箋のような言葉が貼り付けられている

ハーモニクスのような霧消を受け入れなければ
日々の生活は成り立たない

向き合う必要がなくなっている
暮らす、という意味が消えていく

委ねることによって自由は生まれない
相手が人間である必要はない

絶望という、一つの世界
鳥が甲高い声を張り上げている

追い越されてゆく
無意味であることを受け入れること

私の眠りは絶望の眠り
その地平を歩く

    (2017. 5.13)



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